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おとなしあたー  作者: 音無威人


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20/50

結婚記念日の一幕

「ただいまー、今帰ったよー」

「お帰りなさい、(ブッ)あなた。あら? どうしたのその白い花?」

 見たことない花だわ。彼、花に興味なんてあったかしら。じっと見つめていると、どこか照れくさそうに頬をかきだした。

「エーデルワイスっていう花なんだ。気高い白って意味があるらしくて、君にぴったりだと思って買ってきたんだ」

 彼の抱える白い花はキレイな色をしていた。私にぴったりだなんて恥ずかしいわ。体が火照ってきちゃった。

 あー、やだやだ。年甲斐もなくキュンとするなんて。乙女なんてとっくに過ぎてるのに。

「どうして花を私に」

「結婚記念日だからだよ」

「あっ(ブゥ)」

 そうだったわ。今日、結婚記念日じゃない。どうしよう、何の準備もしてないわ。

「もしかして忘れてたのかい?」

「け、今朝までは覚えてたのよ」

 ホントはまったく覚えてなかったけど。

「ははっ」

「もう笑わないでよ。忘れてたなんて恥ずかしいわ」

「……受け取ってくれるかい。僕の気持ち」

「えぇ、もちろんよ。私はあなたの(ブブッ)妻なんだから」

 彼がくれた白い花は何よりも輝いて見えた。

「嬉しいよ。……ところでさっきからブゥって音が聞こえるけど。この音は何かな?」

 夫はニコニコしている。絶対に分かっていて聞いてるんだわ。イヤになっちゃう。

「おならよ。お・な・ら!」

「君は屁の音までステキなんだね」

「そこまで行くとただの嫌味だわ」

「褒めたつもりなんだけどなぁ」

「気づいていない振りをするのが優しさよ」

「でも君って普段おならをしないから、余計に気になっちゃって」

「言ったそばから、蒸し返さないでよ」

「ごめんごめん」

「あなたのせいよ」

「えぇ、どうして!?」

 私はエーデルワイスの花束を顔の横に掲げた。

「これはエーデルワイスの花」


「そして私は――ヘーデルワイフ(屁出るワイフ)。なんちって」


 私はペロリと舌を出して笑ってみた。夫は盛大に鼻血を吹き出して倒れた。大丈夫かしらこの人……いろんな意味で。

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