表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おとなしあたー  作者: 音無威人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/50

明日死に逝く君へ

 君は明日死ぬ。それは避けられない運命だ。僕は知っている。君の魂の限界を。

 君はきっと信じないだろう。僕の妄言だと吐き捨てるだろう。それでいい、それでいいんだ君は。

 僕はそういう君をこそ好いているのだから。僕を嫌いな君をこそ愛しているのだから。

 戯言だと思って聞き流してくれ。僕には人の死を視る力がある。誰がいつ死ぬのか手に取るように分かるんだ。この能力を僕は「死終エンディング」と呼んでいる。

 君のエンディングは明日だ。





 私には嫌いな奴がいた。神様って奴だ。

 両親はいない。早くに死んだ。親戚は誰も私を引き取ろうとはしなかった。私を受け入れてくれたのは施設だった。

 私と同じ境遇の子がたくさんいて、みんな優しかった。幸せだった。幸せになれると思っていた。

 けど神様は残酷だ。皆死んでしまった。原因はタバコのポイ捨て。施設は跡形もなく燃えた。生き残ったのは私だけだ。

 全てを失った私に手を差し伸べたのは、火事の中から救い出してくれた消防士だった。彼も彼の奥さんも優しかった。両親の愛情を知らない私に、多くの愛を与えてくれた。

 でも彼は殉職し、奥さんは後を追って自殺した。私はまだ十六だった。

 私の周りからは次々と大切な人がいなくなる。だから私は神様が嫌いだ。祈っても願っても叶えてくれやしない。与えてくれるのは不幸と絶望だけ。お前なんか大嫌いだ。





「だ、誰だお前は? 一体何が起きてるんだ」

 空が割れていた。ぱらぱらと空の欠片が降ってくる。地面は大きく揺れ、立っていることもままならない。

 それなのに目の前の男は平気な顔で驚くこともなく、ただそこに立って私を見下ろしている。

「手紙は読まなかったのかい? 君の命は今日までだと忠告したはずだ」

「あの訳の分からない手紙はお前の仕業か! 何なんだお前は? 何なんだこの状況は?」

 私は怖かった。死が身近に迫っている。その事実が怖かった。

「僕は君が心底憎んでいた神様だ。ようやく会えたね。嬉しいよ」

「お前が……神?」

 こいつが神。私を助けてくれなかった神。

「目的は何だ?」

 訳の分からないまま死ぬのは嫌だ。今、何が起きているのかを知りたい。

「僕の目的はただ一つ――物語を終わらせることだ」

「はっ?」

 言っている意味が分からなかった。

「僕だって心苦しいんだ。でも君が死なないと終わらないんだ。ごめんね、僕に才能があれば、もっとマシな人生を与えられたんだろうけど。……思いつかないんだよね、良いオチっていうのがさ」

 なんだ、何を言っているんだ、この男は。分からない。分からない。分からないはずなのに、なぜ私は()()()()()()()()()?

「僕が思い描く君の「死終エンディング」は世界への絶望だよ。君は世界に絶望し、死を選んだ。他でもない君自身の手で終わらせるんだ。さぁ、そのナイフを自分の胸に突き刺せ。そうすればすべて終わる」

「い、嫌だ!」

 手が勝手に動く。死にたくない、死にたくない。止まれ、止まれ、止まれ、頼む、止まってくれ!

「君が死ねば、世界は終わる。なぜなら、この物語は君を中心に形作られているからだ。君こそが世界の核であり、世界そのものなんだ。空が割れているのは君が死に近づいている証だよ。もう止まらないよ。僕の描いた結末はどうあがいたところで変わらない。キャラは神様さくしゃには勝てない」


「――さようなら。僕の愛しい愛しい主人公さん」

「あ、あ、ああああああああ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ