ああああの思春期
男子高校生のああああはレンタルビデオ店に入った。店内には五人の女性客がいる。その内二人はああああのクラスメイトだ。
ああああはサングラスとマスクを使用した。クラスメイトに気づかれることなく、ビデオ店の奥へ進むことに成功。
桃色カーテンの奥を確認した。中には誰もいない。ああああは奥へと進んだ。通路右側の棚を調べる。特に興味を惹かれるものはなかった。
通路左側の棚を調べる。メモを発見した。『店員リョウコに気をつけろ』と書かれていた。うっすらと血がついている。何も見なかったことにした。
突き当りを右に曲がると、『我が家の犬も興奮した至極の一品』というコーナーがあった。
ああああは『サボテンって……シルエットだけ見れば人型だよね』『私はボディタオルになりたい』『母なる海と意識を結合した男』『コタツの中は異空間』のマニアックな四本を選んだ。
ピンクカーテンを潜り抜け、アニメコーナーへと進む。カモフラージュとして『魔法じじいはナーバス』と『先生はカボチャだった』を手に取った。
クラスメイトの女子の視線を避けつつ、レジへと向かう。店員リョウコが現れた。ああああは逃げ出した。
「お客様、どちらへ?」
回りこまれてしまった。
「会計、済んでいませんよね」
ああああは六本のビデオを置いた。
「あら、アニメでカモフラージュですか?」
リョウコは微笑を浮かべつつ、マニアックなビデオを手に取った。
「『サボテンって……シルエットだけ見れば人型だよね』『私はボディタオルになりたい』『母なる海と意識を結合した男』『コタツの中は異空間』の四本でよろしいでしょうか?」
ああああは精神に二千のダメージを受けた。
「あれ、ああああ君じゃない?」
クラスメイトの女子に顔が割れた。ああああの精神にさらに三千のダメージ。
「あんたも興味を持つ年頃になったのね」
母親がいた。ああああは血反吐をはいた。
「お客様、今ならサービスでこちら三本のビデオの中から一本だけ無料で差し上げます。『俺様はキーボード』『ハニワ彼女』『魅惑のひょうたん』のどれにいたしますか?」
ああああは無言で『俺様はキーボード』を指差した。
「『俺様はキーボード』でよろしいですね。こちらは変態御用達の一本として人気なんです。お客様も変態なんですね」
リョウコの声は店内に響き渡っていた。
クラスメイトと母の視線を一身に受け、ああああは意識を失った。精神が限界を超えたのだ。
――店員リョウコに気をつけろ。メモのメッセージは正しかった。
「なんだこのメモ?」
店員リョウコには気をつけろ。あいつは男子の敵だ。――新しい文章が追加されていた。
後にこのメモが、思春期男子諸君の攻略本になったことは言うまでもない。




