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50 子供扱いはいやっ!って話

 次の日、りーくんに話をするため、りーくんの部屋に行った。

 ドアを二度ノックするが、中から何も音は聞こえてこない。

 

「あのね、話したいことがあるんだけど、入ってもいいかな?」


 いつになく丁寧にそう入室の許可を求める。

 しかし、何も返事はない。


 それもそのはず、りーくんは部屋にいないからだ。

 

 そう、これは練習なのだ!

 りーくんに話をする前の練習。


 私がこの練習を始めたのは学校から帰ってすぐ。

 兄は今日は仕事でいないのと、誰も帰ってきていないのを確認してから始めた。


「はぁー」


 緊張してきた。

 大きなため息を吐いて、深呼吸をする。


 もう一度さっきと同じ練習をして、やめた。

 なんだか虚しくなってきたからだ。

 りーくんの部屋の前に座り込む。

 

 空腹を訴えるように、お腹がなった。


「お腹すいた」


 みんなもお腹をすかせて帰ってくるだろう。



 ご飯つくろ。

 

 そう思い立って、台所に向かった。

 私は台所に立ち、玉ねぎを刻む。

 鶏肉を小さく切って、炒める。

 そこにケチャップ投入。


 そう、オムライスだ!

 

 ご飯を混ぜてチキンライスの完成。


 ここまではいつも順調なのだ。


 だけど、ここから…この上に乗っける卵を焼くのが上手くいかない。

 

 五人分に取り分け卵に包んで完成といいたい所だけれど、包める程上手に卵は焼けなくて、とにかくスクランブルエッグ状態で乗っけた。


 お腹がすいた。

 でも、まだみんなが帰ってくる気配はない。


 どうせ、オムライスだけではみんなのお腹をいっぱいに出来ないだろうし、と思い、お肉を焼くことにする。

 ちょっと味付けを濃い目にすると、ビール大好きなみんなは喜ぶ。


 お肉まで完成してしまった。


 とりあえず、オムライスを一人分持って、テーブルに置き座った。

 最近はいつも誰かしらが家にいたから、妙に部屋が広く感じる。


 先に食べてしまおうと思ってオムライスを運んできたが、なんとなく一人で食べるのは嫌で、テレビをつけてぼーとしながらみんなを待つことにした。


 

 玄関から鍵が開く音がして、急いでドアの方に向かう。

 

「ただいま」


 帰って来たのはりーくんで、少しだけ身構えてしまった。


「おかえり、りーくん」


 なんとかそう言って、リビングに戻る。

 

 りーくんはいつものようにネクタイを取って、私のお気に入りのソファに座った。

 

 なんだか緊張する…。


「オムライスあるよー。食べる?」


 平静を装って、りーくんに声をかけると、りーくんはぐったりしたまま、


「おー」


 と言った。

 りーくんは動く様子がないので、テーブルにりーくんの分のオムライスを運ぶ。

 それからしばらくして、りーくんはのそのそと起き上がり、私の隣に座った。


「いただきます」


 と手を合わせて、スプーンを手にとった。

 私もつられるように、スプーンを持ち、オムライスを口に運ぶ。


「うまいな」


 と、りーくんは笑った。

 胸がきゅんっとなって、思わず俯いてしまう。

 それから、学校でのことをなんやらと聞かれた。

 

 食べ終わってから、二人で食器を片付け、ソファーに並んで座り、テレビを見る。

 それからしばらくして、りーくんは当たり前のように私を膝の上に乗せた。

 私の髪を梳くように撫でる。


 私は心臓が口から飛び出るくらいどきどきしているのに、りーくんは何んでもないような顔。

 少し前なら私にとっても、なんでもないような事だったのに、今は恥ずかしくて、どきどきして、逃げたいのにもう少しここにいたくて…。


「りーくん」

「なんだよ?」


 何を言おうとしたわけじゃないけど、名前を呼んでみた。

 上からりーくんが覗き込んでくる。

 さっきまで感じていた愛おしさが、大きくなって溢れ出てきて、りーくんの胸に顔を押し当てた。


「ミミ…」


 と、呟いたりーくんは苦笑いしてから、


「お前今いくつだっけ?」


 と聞かれた。

 

「16歳」


 と素直に答えると、りーくんは遠くを見つめ、


「そうか、まだまだおこさまだよな…」


 と言った。

 

 りーくんはいつでも子供扱いだ。

 今だってそうだ。


 途端に、不安になった。

 

 今告白したとしても、本当に、ちゃんとした意味でりーくんに私の気持ちが届くのだろうか?と。


「好きです」

 なんて言っても、りーくんは妹的な好意として、「そーか。俺もだ」なんて軽く言われてしまうのではないか。


 とにもかくにも、このまま子供扱いされ続けるのは良くない!

 私がりーくんに子供っぽいところを見せなきゃいいんだよね。

 どうしたらちゃんと、大人として見てくれるか…。

 この近すぎる関係では難しい過ぎる。

 むしろ、近すぎるからいけないんだ。

 そうだ!少しだけスキンシップを減らしてみたら、何か変わるのかもしれない!

 

 そう思い立ち、私はりーくんの膝から降りた。

 りーくんは不満げに私を見たがそんな無視だ!無視!


「ほら、ミミー。戻っておいでー」


 と、甘ったるいりーくんの声は魅惑的だが、負けてはいけない。

 その後りーくんはあの手この手で、私を呼び寄せたが決して私は屈しなかった。


 そんなこんなをしている間に、兄が帰ってきて、陸さんが帰ってきて、最後に大輝にぃが帰ってきた。


 なんだかんだで、バラバラの夕食になったが、みんな思い出したことは一緒で、前に話した「オムライスのうた」についてだ。


 歌詞は大方出来ているので、後は曲なのだが、メロディーラインも出来ている。


「多分もうちょいで、楽譜できそうだから、演奏者の依頼をしたいんだけど、入れたい楽器とか、好きな演奏者とかっている?」


 と、オムライスを食べ終わった兄が言った。

 兄が言う演奏者というのは「歌友会員の演奏者」だ。

 基本的に、作曲する人は歌友の演奏者と連携して曲を作るのだ。


「てか、曲調的にバンドロック系にしたいんだけどいい?」


 兄は付け加えるように言う。

 みんな頷いた。


 特にみんな演奏者の名前を挙げなかったので、兄にお任せということになった。


 兄は自分の部屋に戻り、楽譜を作り始めたので、私達も自分の部屋に戻った。

 りーくんはずっと不満げな顔で私のことを見ていた。


 次の日、学校から帰ってくると、机の上には兄が作ったであろうCDがおいてあった。

 帰ってきたみんなと音を聴くと凄くかっこよくて、「オムライスのうた」にはもったいない気がした。


「とりあえず今月末くらいには録音するからちゃんと歌練習しとけよー」


 と、兄に言われたので、ウォークマンに入れて毎日聴くことにした。

 しばらくの間、我が家では誰かしらが、この「オムライスのうた」を口ずさんでいるという状態が起こったのは言うまでもないだろう。


 りーくんは私がスキンシップを避けているせいか、元気がない。

 元気のないりーくんが歌う「オムライスのうた」が妙に色っぽいだなんて思っていることは誰にも言えない。

更新が止まっていたうえに、話が進まない…。

すいません。

これから咲笑が空回って頑張るので、見守って下さると嬉しいです。


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