04 学校が始まりましたよーって話
引っ越しやら、なんやらであっという間に終わった春休み。
今日から私も高校生です!
高校は、中学からの持ち上がりなので、中学からあまり変わりなく新鮮味がないけど、楽なのでいい。
でも、制服が変わらないのは、乙女心的に気に入らない。
「おはよう、咲笑」
リビングに行くと大輝にぃが挨拶してくれる。
ちなみに、大輝にぃの服装はスーツではない。
職場に行ってから白衣を着るらしい。
切実に思う。
今から着てください。
「おはよ~」
とあほな思考を隠して挨拶を返す。
今日の朝ご飯は大輝にぃが作ってくれているようだ。
ちなみに、この家には当番なんてものはない。
基本的に朝ごはんは大輝にぃが作り、それ以外の家事は兄がやっている。
なぜなら、兄は「社長」という肩書きだけで、重要な会議以外は出勤せず、家で仕事しているのだ。
「会社来てもうるさいだけなんで、家でゲームの制作だけしてて下さい。重要なときだけ呼ぶんで」
と一緒に会社を建てた後輩に言われたらしい。
それでも、週2で会社には顔を出している。
しかし、だいたいの時間暇な兄が家事をやる!っと言ってくれたので、私達は任せることにした。
でも、休日は流石に手伝ってるよ!!
言い訳じゃないよ!事実だよ!
うん、たまにサボるのは許してください。
「咲笑、ご飯できてるよ。今日から学校だろ?」
と大輝にぃに言われ頷いて、ご飯を食べ始める。
ちなみに、兄は朝に弱いので起きてこない。
ーガチャ
とドアの開く音がして、りーくんが入ってきた。
「はよ」
まだ、ちょっと寝ぼけてる。
寝癖がちょっと可愛い。
「涼。おはよう」
「おはよ~」
りーくんは寝ぼけた目をしたまま、大きなテーブルの前に座る。
大輝にぃはりーくんはいつも朝ご飯を食べずにコーヒーだけを飲むことを知っているので、何も言わずコーヒーを出す。
もちろんブラックで。
「ありがとう」
とりーくんは大輝にぃからコーヒーを受け取るとそう言う。
ちなみに、私は寝起きのりーくんが一番可愛いと思う。
私はご飯を食べ終え、制服に着替えるために自分の部屋に一回戻った。
ちなみに、私の部屋は1階にあり、りーくんと大輝にぃの部屋は2階にある。
2階にはまだ部屋があるのだか、兄はまだ同居人を増やすつもりなのだろうか?
なんて考えてるうちに着替えが終わり、リビングに戻る。
大輝にぃはもう準備が終わって少し余裕なのか、コーヒーを飲みながらテレビを見ている。
そんな大輝にぃの横を通り、洗面所に行き、身支度を整える。
一応女の子なので、それなりに気にしたり、しなかったり。
髪の毛はりーくんのが結びたがっていたが、いないのでしかない。
自分で、耳のあたりで2つに結ぶ。
ちなみに、2階には、シャワールームと、洗面台、トイレがあるため、りーくんは2階で身支度したようだ。
洗面所から出てきた私に気付いた大輝にぃは
「何時に出る?」
と聞いてきた。
「うーん。7時半くらいかな」
と答える。
「そう、なら送ってく」
と大輝にぃは言ってくれた。
ラッキー!と思いながら大輝にぃに
「ありがとう」
と言う。
それからドタバタと、私同様に部屋に着替えに行っていただろう、スーツ姿のりーくんが降りてきて、
「頑張れよ、高校生!」
と、私のほっぺにキスをし、
「大輝!今日、録音しよーぜ」
なんて言って、家を出て行った。
学校が始まったから朝の時間も早くなって、しまったようだ。
ちなみに、りーくんの言う録音とは歌友で動画投稿しようぜ!という意味だ。
「まったく、涼は…」
と大輝にぃは不満げにつぶやいたが、この2人は仲良しだ。
そんなこと言うと、大輝にぃとりーくんにキモイって言われるけど。
SFに入ってから、大輝にぃとりーくんはライブハウスで知り合い、大輝にぃの紹介で兄と仲良くなったらしい。
コーヒーを飲み終えた大輝にぃは立ち上がり、
「俺らもそろそろ行くか」
と車の鍵を手に持った。
「うん」
と私も言い、鞄を持って、ローファーを履き、家を出る。
ちなみに、元祖母の家であるこの家は家だけでなく駐車場も広く、車が4台分止めるスペースがある。
実際止まってるのは、りーくんの車と、兄の車と、大輝にぃの車の3台だけど。
その中の、黒の外車に大輝にぃは乗り込む。
かっけぇーなーおい!
私も乗り、車が走りだす。
「どう、新学期?楽しみ?」
「うん。楽しみっちゃー楽しみだけど、新鮮味がないかな?」
「なら、外部受験すれば良かったじゃん」
「いいのー!今の学校気に入ってるから!」
「そう、ならいいけど。女子校だから、変な虫つかなくて俺も安心だしね」
大輝にぃの最後の方の言葉が気になる。
過保護なんだよ。そんなに危なっかしいかな?
「大輝にぃは、私のこと子供扱いしすぎ!」
「子供扱いじゃないんだけどなー」
と言いながら苦笑いをする大輝にぃ。
本当のこと言っただけだし。
そんな会話をしているうちに学校に着いた。
「大輝にぃー、ありがと」
と言い、車を降りようとしたところで、大輝にぃにおでこにキスされる。
「気をつけてな。放課後、家着いたらメール入れろよ?」
と言われ、面倒くさいと思いながらも頷いた。
「じゃーねー」
と言い、私は今度こそ車を降りた。
私の通う学校、深森学園は、名前の通り深い森の中にあるわけではなく、普通の住宅街にある学校である。
私立の中高一貫校であり、女子校である。
しかし、隣の区の男子校、水瀬学園と兄妹校なので、学校の中を他校の男子が歩いているなんてことはたまにある。
レンガ造りで綺麗な校舎が特徴である。
私は校門をくぐり抜け、昇降口に行き、自分のクラスを確認する。
1年2組。
メンバーも楽しくなりそうなメンバーだ!
騒がしい1年になりそうだ、と思いながら足早に教室へ向かった。
セリフの脱字部分訂正しました。
少し加筆しました。