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36 知らなかったって話

引き続きりーくん視点です。


 ミミのことが気になって合同準備になかなか集中できなかったが、なんとか終わらせて帰宅すると、お気に入りのオレンジのソファに寝転がり、ゲームをしているミミを見て安心する。 


「あ、おかえり」


 と、俺の存在に気付いき、ミミは顔を上げた。


「ただいま」


 と、言い、俺はコーヒーを入れるためにキッチンへ行く。


 出来上がったコーヒーを持ってミミの隣に座った。


「そういえば、ノリが病院に行くってたけど、大丈夫だったのか?」


 と、ミミにあたかも今思い出したかのように聞く。


「うん…。大丈夫だよ」


 途端に表情を曇らせたミミ。

大丈夫だと言うが、全然大丈夫そうに見えない。


「本当に大丈夫か?」


 と、俺が言うと、ミミはソファの背もたれに顔をつけるように、反対を向いてしまった。


「うん…」


 と、気のない返事だ。


「浪川も心配してたし…」


 と、俺が言ってもミミは返事をしない。

 そんなミミに腹が立って、こちらを向かせようと、ミミの肩を引いた。

すると、ミミはソファからコロンと転がり落ちる。

このソファは、すごく低くて、床との段差がほぼない。

だから落ちても痛くないだろうが、普通なら止まることが出来るはじなのに、おかしい、と思った時には遅かった。



「大輝にぃーーーーー!!」


 と、突然大きな声でミミが叫んだのだ。


 ドタドタドタという慌ただしく階段を駆け下りる足音が聞こえて、大輝がリビングに入ってきた。

すぐにミミを視界に入れた大輝は、ミミに駆け寄って行く。


「咲笑。ソファから落ちたのか?」


 と、大袈裟に心配した様子だ。

落ちたとしても大したことではないはずなのに。


「うん。起きれないから起こして」


 とミミは大輝に手を伸ばした。

赤ちゃんじゃあるまいし、起きられない訳がない。

よく分からない2人を俺はどうしていいのか分からないからとりあえず見守る。


「安静にしてろって言ったろ?足、ひび入ってるんだから」


 大輝は、やれやれというように、ミミを起こした。

俺は、驚いて固まってしまう。

足にひびが入っている、だなんて、俺は知らない。

ミミは俺にそのことを言わなかった。

大輝は知ってて、俺は知らない。

またもや、ミミに腹が立つ。


「部屋に行きたいから大輝にぃ手伝って」


 と言い、ミミは大輝に立ち上がらせてもらい、大輝の肩を借りながら歩き出した。


「ミミ!」


 俺はミミを呼び止める。


「なんで、さっき言わなかった?」


 ミミは黙っていた。

でもそれからしばらくして言った。


「言いたくなかったから」


 と。


「ふざけるなよ!!」


 つい怒って怒鳴ってしまった。

ミミの肩が大きく震えた。

あっ、やってしまったと思い、ミミの顔を恐る恐る見ると、ミミは今にも泣き出しそうな顔をしていた。


「ごめんなさい。じゃあ、おやすみ」


 ミミはそれだけ言って大輝と、自分の部屋に入って行った。



 ミミはごめんなさいと言った。

でも本来謝るべきなのは、俺の方だ。

ミミの怪我を知らなかったとはいえ、病人を転がしたのだから。


「ごめん」


 ミミには聞こえないと思うが呟いた。

ミミの部屋はリビングとつながっているが、だからこそ防音はバッチリなのだ。



 ミミに謝りたい。

怒鳴ってしまったことと、手荒く扱ってしまったこと。

そして、ミミがなんであんな態度をとったのか聞きたい。



 とにかく、明日落ち着いてから話そうと思った。



 



りーくんおこでしたね(笑)

次は咲笑視点に戻ります。

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