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29 せんせい?って話

 りーくんと目が合ったが、すぐにそらされてしまった。


「先生ー!遅いよー」


 と、一人の女生徒がりーくんに走り寄っていく。


「ごめん、ごめん」


 と、りーくんは、その生徒に言い、杉谷先生と、緑青の河合先生のもとへ言った。


「遅れてすいません。補習の生徒をみていて…」


「そうなんですか、お疲れ様です。大丈夫ですよ。一段落したら、自己紹介お願いしますね」


 と、杉谷先生が言う声が聞こえた。


 私は、ついりーくんをガン見してしまう。

こうしてみると、確かに先生って感じだ。

いや、実際先生なんだけどさ。


「ねぇ、聞いてる?」


 中井先輩に声をかけられて気づいた。

今、天使のイラストの発表してるんだった。


「すいません、ぼーとしてました」


 と、私は謝る。


「もう、しっかりしなさいよね、で、どれがいいと思う?」


 と、透に話をふられた。

てか、みんな絵うまくない?

私が下手すぎるだけかな?


 でもやっぱり、


「中井先輩の、素敵ですよね」


 と、私は、中井先輩の描いた天使を指さした。


「やっぱり?じゃあ、満場一致で、俺の絵を元にって、ことでいいかな?」


 中井先輩は、嬉しそうに言った。

満場一致か、すごいな。


 きりのいいところで、杉谷先生の大きな声が聞こえた。


「手をとめて、一回こちらをみてくれ」


 その言葉通りにする。

教卓の前にりーくんが立った。


「えっと、遅れてすいません。緑青高校の仲辺涼です。合同準備頑張りましょう」


 みんなが拍手する。

そして、みんなが作業に戻って行く中、一人の生徒がりーくんに近付いて行く。

さっきの子だ。


「せーんせい!先生も、手伝ってよぉー」


 りーくんの手を引っ張ってこちらに連れてきた。

なんか、ちょっとムっとしてしまう。

りーくんは、制作班の方に来た。


「仲辺先生遅いよ!」


 と、隣にいた中井先輩は言った。


「悪い悪い。で?なにするんだ?」


「えっとねー、とりあえずダンボール集めかな?」


 中井先輩が答えた。


「じゃあ、私使えるダンボールないか、職員室に聞きに行ってきましょうか?」


 わざと、りーくんの方を見ながら言ったが、りーくんは、私の方を見てくれない。

なんだか、凄く寂しく感じた。


「うん、お願い。じゃあ、俺らは材料考えないと。ダンボール以外で何使うかなー?」


 中井先輩がそう言ったところで私は席を立った。


「咲笑、私一緒に行こうか?」


 透は、りーくんのことを知っているので何か言いたげだが、とりあえずもやもやした気分なので、一人になりたくて、断った。


 ドアを開こうとしたところで、杉谷先生に声をかけられた。


「どこ行くんだ?」


「えーっとー、ダンボールを取りに行こうかなーっと」


「そうか、なら化学室がいいと思うぞ。最近教材関係でダンボールいっぱい届いてたから」


「はい、ありがとうございます」


「一緒に行くか?」


 杉谷先生が気づかってくれたが、断った。

台車とか使えば一人でも余裕だろうし。


 とりあえず、化学室に行くことにした。



「失礼します」



 化学室には、誰もいないようだったが、準備室の方から声が聞こえてきた。



「そんな、私諦められない」


「僕は教師、あなたは生徒でしょう?」


「それでも、私、先生が好きなんです!!」


 なんだ、この昼ドラは。

多分男の方の声は、楠木先生。

で、女の子の方は同じクラスの及川さん。


ここにいたら、出てきたどちらかに、聞いてたのがバレてしまう。


 仕方ないので、とりあえず机の下に隠れることにした。


「離れてください」


 凄く冷たい楠木先生の声。

多分及川さんが、先生に抱きついたのだろう。


「いや。好きなんです!離さない」


 なんで、私こんなの聞いてるの?

いや、盗み聞きしたいわけじゃないんだけど。

うん、仕方ないから、出直すか。


「迷惑です、止めてください。鳥肌が立ちます」


 私が立ち上がろうとしたときに、すごい言葉が飛んできた。


 え?怖い。


「先生…」


 今にも、泣き出しそうな、及川さんの声。


「僕の気持ちも考えてください。なんとも思ってない人に抱きつかれては不愉快です」


 別人みたいに冷たい声の楠木先生。


「先生、ごめんなさい」


 及川さんは、声を震わせて謝る。


「もういいですから、早く出て行ってください」


「先生…」


 ヤバい、及川さんがでてくる。

私はもう一度机の下に隠れた。


「ごめんなさい」


 という及川さんの声とともに準備室のドアが開き、及川さんは、化学室を出て行った。


 及川さんに、見つからずにすんだみたい。

でも、とりあえず出直そう。

てか、もう化学室からダンボール貰うの諦めようかな?


「盗み聞きですか?咲笑さん」


 後ろから聞こえて来た声に、心臓が大きく跳ねた。

恐る恐る、振り返れば、当然の如く、楠木先生がいた。


「ごめんなさい、聞くつもりじゃなかったんですけど…」


「いいですよ、別に。大したことじゃないですし」


 にっこりと笑いながら言う楠木先生。

えっ?笑うところなの?


「でも、困ったなぁー」


 わざとらしく言う楠木先生。

なんか、嫌な予感しかしない。

とりあえず、聞き返してはいけないと、私の本能が、言っている。


「彼女、化学係なんですど、このことで、多分係の仕事しずらくなっちゃったかもですね」


 聞き返してないのに、話し始めたー。

その話、笑顔でする話じゃないよね?


「そうですね…」


 とりあえず、相槌をうっておく。


「もし、仕事に来なくなっちゃったら、咲笑さん、お手伝いしてくださいね」


 え?決定事項なの!?

ここは、否定しとかないと、流されちゃう。


「えーと、そういう時は、杉谷先生と相談してですね、」


「でも、そしたら、及川さんは、杉谷先生に僕に告白したことがバレてしまうんですよ?」


 確かに、楠木先生の言っていることは間違っていない。

でも、他にやりたい人とかいると思うし、それに及川さん本人がなんとかすること、というか、なんとかしなきゃいけないこと、なんじゃないかな?


 それに、あの時の楠木先生は怖かった。


「もうちょっと、ソフトなふり方はなかったんですか?」


「僕も、及川さんをあんな風にふるのは、すごく心苦しかったけれど、今までの経験上あやふやにしておいて、良い結果になったことはないので…」


 モテるっていうのも大変なんですね。

少し責めるような口調で言ってしまったことを反省する。



「僕はね、昔からストーカー被害に合うことが多かったんです。勝手に連絡先売られたり、家の前で女の子が待ち伏せしてたり…。電車で女の人に痴漢にあったこともありました。本当に最低な思い出ばっかりで、一時期女性不信になったこともありました。女性関係のトラブルには結構悩まされていたんですよね」


 さらに、楠木先生は言った。

それは、確かに女性不信になりますね。

なんだか、すごく申し訳なくなってきた。


「ごめんなさい、責めるようなこと言って…」


「いいんですよ、それで化学係の件は?」


 いや、それは、また別の話だよね。


「でもそれは、及川さんの問題じゃ…」


「昔ですね、ナイフで刺されそうになったことがあるんです、女性に…」


 楠木先生がかぶせるように話し始めたかと思ったら、すごいことを言い始めた。

なにしたら、ナイフで刺されそうになるの!?

だめだ、聞いちゃいけない気がする。


「楠木先生!」


 焦って名前を呼んだ。


「はい?なんでしょう、咲笑さん」


 なんで、そんな笑顔なの?

もう、いいや。

このままじゃ、ずっと話が終わらないし、


「及川さんの代わりやります」


 仕方なく言った。


「そうですか、ありがとうございます」


 今日の中で一番素敵な笑顔で言われた。

はい…。

もう、疲れた。

じゃない、そもそもの目的忘れるところだった。

ダンボールだよ!ダンボール!


「先生、いらないダンボールありませんか?」


「ダンボールですか?あっ!ありますよ、いっぱい!ちょっと待っててください」


 と言い、楠木先生は、準備室に入って行った。

そして、台車に大量のダンボールを乗っけて戻ってきた。


「ちょうど、どこかのクラスにでも寄付しようと思ってたんです、どうぞ使ってください」


「ありがとうございます。台車ごといいですか?」


「いいですよ、僕が運びますよ。一緒に行きましょう」


「ありがとうございます。セミナールームまでお願いします」


「教室じゃないんですね?部活の出し物ですか?」


 そうだよね、普通教室に行くと思うよね。


「緑青高校との合同準備で使うんですよ」


 と、言うと楠木先生は小さく「緑青ね…」っとつぶやいた。


「男子とは、仲良くなりすぎないようにしてくださいね。じゃあ、行きましょうか」


 と、楠木先生は台車を押した。

私も着いていく。

男子と仲良くしちゃだめとか、父親か!



 セミナールームに着くと、大分作業が始まっていた。

ダンボールも、他のところから調達してきたのか、何枚かある。


 台車を押して中に入っていく楠木先生。


「ありがとうございました」


 と、楠木先生にお礼を言い、ダンボールを持とうとしたが、全部は無理そうなので、数枚とって、制作班の方に運ぶことにする。

楠木先生も手伝ってくれた。


 楠木先生が教室に入ると、女子の視線が集まる。

モテるっていうのも大変なんですね。(二回目)

すると、気付いた人達が手伝ってくれて、ダンボール運びはすぐ終わった。


「じゃあ、行きますね」


「台車、返しときますよ?」


 台車は基本事務員室にあるのでそう言ったが、


「これは化学室のなので大丈夫です」


 と断られた。


「そうなんですか」


「はい、じゃあこれで…。後、化学係の件よろしくお願いします」 


 そうだった、化学係。

頷く。


 制作班の方に戻ると、私が遅かったので、職員室でダンボールを貰ってきて先に進めていると、透が説明してくれた。


 天使は立体的にするらしく、ダンボールで骨組をつくっているようだ。

私は、中井先輩に説明してもらい、制作を始める。


 でも、さっきからすごく視線感じるんだ。

りーくんから。

さっき、全然見てくれなかったくせに。

絶対そっち向かないから!


 私はわざと、りーくんから遠い場所に行き、作業を始めた。

胸がなんかもやもやした。

透も、近くに来て、小さい声で、


「あの人同居人の…」


 と言ったので、


「そう」


 とだけ答えた。


 その後、作業をしながら、緑青の生徒と話しているうちに仲良くなった。

女の子三人で、そのうちの一人が、りーくんと、りーくんの隣に座っている女の子はすごく仲が良いって話をしてくれた。


 胸のもやもやが濃くなった気がした。

楠木先生の言ってた、過去の女性関係のトラブルは本当ですが、女性不信になりそうって話は嘘ですね。

上手にかわしてたんじゃないかな?


本当に、楠木先生の話書きずらい(笑)

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