26 大輝にぃの失敗って話
大輝にぃ視点です。
というか、大輝にぃの心の声?かな。
咲笑を好きだと自覚してから、まず咲笑との距離の取り方について考えた。
咲笑は、良くも悪くも俺を信頼し過ぎている。
それは、嬉しいことではあるが、複雑でもある。
このままでは、良いお兄さんで終わりだ。
だから、まず、咲笑に男として認識してもらわなければならない。
だってな、あいつ俺の気も知らないですり寄ってくるんだぞ?!
それは、もう仕方ない。
俺は咲笑にとって「兄」のような存在なんだから。
でも、少し距離を取ると、不思議そうな目で見上げてくるんだよ。
今までだったら、「かわいいなー」とは思ってもドキドキはしなかったでも、なんか、最近というか、自覚してからは、理性がいつ崩れるか…。
あー、怖い。
咲笑泣かれるのも嫌われんのも、絶対やだ。
だから、咲笑が勉強教えてくれって、言ってきた時は一瞬断ろうかと思った。
なんか、理性との戦いに勝てる気がしなかったから。
でも、咲笑をみると長年「兄」をやってきたせいか、断れなかった。
勉強教え終わってから、咲笑が隣に座ってきた。
せっかく、頑張って距離を取ろうとしてるのに!
可愛い。
もう、いっそ、キスしてしまおうか。
そしたら、男として意識してくれるだろう。
なかなか良い案だと思ったが、やめた。
嫌われてしまっては、元も子もない。
俺は、キスしたい衝動を抑えながら、言った。
「油断しすぎだよ、咲笑。他人なんだから距離感っていうのが大切」
一瞬咲笑は、泣きそうな顔をした。
やってしまった、と思った次の瞬間にはもう笑っていた。
だから、俺は、咲笑が俺の言ったことを理解してくれたんだと思った。
この機会に、「兄」を卒業しようと、思って、昼飯を食べ終えて、二人になった時に、言った。
「そろそろ、大輝にぃって呼ぶの、やめない?」
咲笑は、黙り込んで、下を向いた。
それから、目に少し涙が見えた。
でも、笑って、
「勉強しなきゃっ」
と部屋に戻って行った。
そこでようやく気付いた。
咲笑は、俺が「大輝にぃ」という他人であり兄である、存在を否定することが悲しいんだと。
それから、咲笑とはなんだかギクシャクしている。
いってらっしゃいのキスも、ただいまのキスも、なくなった。
勉強教えてーとも来なくなった。
なにより、俺の名前を呼ぶことを咲笑が避けるようになった。
周りのやつらも、気付いてはいても、口出しはしてこない。
でも、困った。
俺は、咲笑とこんな距離感を求めてた訳じゃない。
あー、失敗した。
焦りすぎたのかもな。
焦りすぎの自覚あり、大輝にぃ。
本当は話を進めたかった!!
でも、進まなかった。゜(゜´Д`゜)゜。
次は進めるぞ!!




