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18 バイクで登校してみたって話

咲笑視点の話に戻ります。


 ライブの日、車に乗った後の記憶がない。

次の日、目を覚ますと私は自分のベッドで寝ていた。


「寝てるお前を大輝が運んでくれたんだぞ、礼言っとけよ」


 と、珍しく朝早く起きていた兄に言われたので、朝ご飯を作っている大輝にぃのもとに行った。


「おはよう」


 と、大輝にぃはベーコンを焼きながら言った。


「おはよー。昨日運んでくれてありがとう」


 と、兄に言われた通りお礼を言う。


「おう!」


 と、大輝にぃは言ってベーコンをお皿に移した。

そのお皿にはすでに、目玉焼きがのせられていた。

それでだいたい朝ご飯は出来上がったようで、大輝にぃはお皿を2枚両手に持った。


「咲笑、残りの2皿持ってきてー」


 と、言われ残っている皿をリビングのテーブルに運んだ。

お皿を置いた大輝にぃが、


「ありがとうな」


 と、頭を撫でてきたが、なんだか手がぎこちない気がする。


「手、怪我でもした?」


 と、不思議に思って聞いてみたが、手に怪我らしきものは見えない。


「ん?心に…かな?」


 と、大輝にぃは言った。

横で兄が爆笑しているが、私はなんで笑っているのか分からなかった。


「じゃあ俺、陸と涼起こしてくるわ」


 と大輝にぃは逃げるように言って、2階に行ってしまった。

2人は昨日夜遅くに帰ってきたようで、まだ起きていないのだ。

いつもは私に「起こしてきて」とか言うくせに。


 しばらくしてから、りーくんが慌ただしくリビングに降りてきて、大輝にぃが入れたコーヒーを飲み干した。

そして、身支度を整えると、


「いってきまーす」


 と、言って私に頬にキスをしようとした。

しようとした、ということはできなかったんだ。

ざーまぁーあー。

避けてやったんだ!

ふん!

昨日のことをまだ忘れたわけじゃないだよん!


「ミミ」


 不満そうなりーくんの声が聞こえてきた。

私はそっぽを向く。

知ーらない。

顔を上げると少し困り顔のりーくん。

りーくんは私の頭を撫でると


「いってきます」


 と言って家を出た。

罪悪感がフツフツと…。

で、でもさ、昨日のりーくんが悪いんだもんね!

さっきのりーくんの顔が頭に残ってる。

……、帰ってきたら謝ろう。


 りーくんがいなくなった後、陸さんが降りてきてみんなでご飯を食べた。

りーくんは今日鍵当番で早く出なきゃいけなかったらしい。

それに比べてゆっくりしている陸さん。

私が制服に着替えて、1階の洗面所で髪を結ぼうとしていたら、ドアから陸さんが顔を出して、


「髪結ばせてー」


 と言って来た。


「いいですけど、陸さん時間大丈夫なんですか?」


「うん!今日は午前中暇なんだよね」


「そうなんですか、じゃあお願いします」


 と私は言い陸さんにゴムを渡した。


「うん」


 と陸さんはゴムを受け取ると、私の髪に手をかけた。

髪のとかしかたが優しい。

前、兄にやってもらった時はハゲるかと思ったのに。

陸さんは器用に私の髪を後ろで1つに纏めるとゴムでゆわいた。

ポニーテールだ。

てか、私も自分でここまで綺麗にできない。


「陸さん、すごい器用ですね!」


 と私が言うと、陸さんは照れくさそうに笑った。


「妹のよくやってたからね。それにしても…咲笑ちゃんの髪、綺麗だね」


 と、結んだ髪に陸さんが触れる。


「妹さんいるんですね!綺麗だなんて…くせっ毛なんですけどね」


 陸さんに妹がいるなんて初耳だ。

でも、なんかお兄ちゃんって感じはしてたなー。

あまり髪を綺麗と言われることがないので少し嬉しい。


「すごい手触りいい」


 と、陸さんはまだ私の髪に触れている。

なんかすごく恥ずかしい…。


「もうそろそろ行かなくちゃ!」


 わざとらしかったかな?と思いながら、陸さんの手からすり抜けて、振り返ると、陸さんは楽しそうに笑っていた。

笑われてる!なんで?


 リビングに戻って兄が寝っころがって暇そうだったので


「学校まで送ってよー」


 と、お願いしてみる。


「えー、「おにい大好き♥」って言ったらいい送ってやるよ」


「おにい大好き」


 真顔と無表情でやってみる。


「なにそれ?全然かわいくなーい」


 と、兄はオネエ風に言う。


「え?キモイ」


「ひどいぞ!兄に向かって」


「だって事実だもん」


「昔はよく言ってたのになー」


 と、兄は自分の膝の高さあたりに手をやり、撫でるような仕草をする。

兄は遠い目をしながら言うので、私は兄を睨みながら


「いつの話してんのよ!」


 と、私は兄の行動をやめさせる。


「言ってくれないのー?」


 と、兄は高い声で言う。


「言ったもん!早く送ってよ」


「だから、可愛く言えって言ってるのー」


 兄は楽しそうに言ってくる。

くっそー、楽しんでるな!

うー、諦めるかと、私は鞄を見つめ考えていると、視線を感じる。

大輝にぃだ。


「俺が送ってこうか?」


 と言ってくれる。


「本当!?」


 と、私は嬉しくてつい大きな声が出た。

でも…大輝にぃ、仕事あるもんね…悪いよね。


「ただし、」


 と、大輝にぃも兄みたいな顔をした。

嫌な予感…。


「「大輝にぃ、大好き♥」って言ったらな」


 兄と同じこと言うなぁああああああ!

うーん、どっちも同じ条件じゃん。

改めて言われると、恥ずかしいんだもん。

仕方ない、自分で電車乗って行こうと、諦めようとしたところで、また違う声が聞こえてきた。


「俺が送ってくよ」


 と、陸さんの声。

ちなみに陸さんは車ではなく、バイクだ。

バイクで登校とか、かっこいい!

陸さんは、この2人みたいなことも言わないしね!


「「陸さんだーいすき♥」って言ったらね!」


 おい!陸さんまで言うの!?

これは3択だよ?

どうする、どうする?

バイクに乗ってみたいって気持ちが今一番大きいんだよねー。


「バイクに乗りたい」


 と、私は言い、陸さんを見た。

陸さんはにっこり笑ってる。

手にはいつの間にかバイクの鍵を握っていた。

でも、何も言わない。

これって待ってるの?

私が「大好き」って言うの待ってるのかな?

意味分からない、私に好きって言われてなんの得があるのかな?

完全に私で遊んでるよね!?

なんか、悔しい!

でも、こんなことしてる間にも時間が過ぎていってるから、電車で行っても間に合わない。

こんなことなら、自分で電車で行けば良かったー。

陸さんと、兄はにやにやしながら、私のほうを見ている。

大輝にぃは無表情だったが、突然


「俺がバイクで送っていく!」


 と、大輝にぃが行って、陸さんの手から鍵をすっととった。


「陸!バイク借りるからな!」


 と、言って私の通学鞄と、私の手を掴んで外へ出た。

ヘルメットを渡され、それをかぶりバイクの後ろに乗る。


「じゃ、行くぞ。掴まってろよ」


 と、言われ身構える。

私は大輝にぃの腰のあたりに腕を回す。

バイクは勢いよく出発した。

風が冷たくて気持ちいいー。

あー楽しい!

車と違って窓がないから景色が車とは違う。

それを楽しんでいる間に学校についた。

でも、バイクは目立つからと、学校から少し離れた所にバイクを止めたのだが。

時間は、大分余裕だ。

流石、大輝にぃ!

若干、髪と制服が乱れたが少しくらい大丈夫だ。


「着いたな」


 と、大輝にぃはヘルメットを脱いだ。

私も脱いで、大輝にぃに渡す。


「ありがとう、送ってくれて。でもさ、どうしたの?」


 と、私は大輝にぃが突然送る気になった理由が気になって聞いてみた。

それに、今日の朝から大輝にぃの様子がおかしいのだ。


「どうもしない」


 返ってきたのは素っ気ない返事。

なんか、少し寂しい。


「そっか。じゃ、いってきまーす」


 と、空気に耐えきれず、そう言ってその場を去ろうとした時、手を後ろにぐぃっと引かれ、大輝にぃに後ろから抱きしめられるような体勢になる。


「待って」


 と、大輝にぃは私の手を掴んで言った。


「どうしたの?」


 私は大分高い位置にある大輝にぃの顔を見上げた。


「言って」


 大輝にぃはつぶやいた。

顔を見られたくないようで、大輝にぃの手が私の目を塞いだ。

というか、「言って」って何を?


「さっきの…やつ」


 大輝にぃは小さな声で言う。


「さっきの?」

 

 と、私が聞くと、大輝にぃはじれたように、


「「大好き」ってやつだよ」


 と、口調を強めた。

まだ、その話続いてたの?!

うー。やだなー、しかも外で?

家で言っとけば良かったなー。


「言ってよ、お願い」


 と、大輝にぃが私の耳元で言う。

私の目は塞がれたまま。

これって人に見られたらやばくない?

いや、ここ死角になってるけど、だめだよね!?

でも、大輝にぃの声がいつも少し違う。

なんだか、大輝にぃのことが心配になってきて、


「大丈夫?大輝にぃ?」


 と聞く。


「大丈夫だから、ねぇ、お願い」


 困った。

本当におかしいぞ、大輝にぃ。

しかも、なんか色気まで感じるぞ。

仕方ない、言うか。


「大輝にぃ、大好きだよ」


 いつもの調子で言うと、大輝にぃは少し苦い顔をして、


「うん、ありがとう」


 と言った。

大輝にぃが、どうしてそんな顔をするのか、私には分からなくてなんだか、胸が痛くなった。


「俺も愛してる」


 と、言いながら大輝にぃは、私を抱きしめた。

なんか、いつもと違うような気がしてドキドキしてきた。

なんか、体温上がってきた。

いつもと違う雰囲気に居心地が悪くなって、大輝にぃを引き離すように、大輝にぃの胸板を押す。

顔を上げると、大輝にぃと目があう。

なんだか、悲しそうな顔をしている。

大輝にぃの様子がいつもと違う、本当に変だ。

私は背伸びをして、大輝にぃの頭に手を伸ばして、頭を撫でる。

大輝にぃは何も言わずに私を見てる。

そろそろ手がつらくなってきたので、手をおろした。

大輝にぃに見られてるのがなんだか恥ずかしくなって、


「じゃあ、行ってきます」


 と、バックを持って、大輝にぃの視線から逃げるように駆け出した。


「おう!いってらっしゃい」


 後ろからいつも通りの大輝にぃの声が聞こえてきた。

なんだかその声に安心しながら時計を見たが、残念ながらHRには間に合わないだろう。


 うわぁーーーーん


 と、心の中で叫びながら学校へ走った。

更新だいぶ間があいてしまってすいません。

次回は、学校のターンです!

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