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15 混乱混乱って話

 家に着くと何故か大輝にぃも、りーくんも帰っていた。


 私がリビングのドアを開くと、大輝にぃとりーくんが


「「おかえり」」


 と言ってくれる。

私の後に、兄、陸さんの順番に入ってくる。

陸さんを、見て2人はとても驚いた顔をした。

そりゃ、そうだ!

私にだって状況が理解できないんだよ!

大輝にぃも、りーくんも一緒だろう。


「なんだ、ANか…」


 大輝にぃは、言った。

あの…お知り合いですか??


「久しぶりだな。生きてたの?」


 と、りーくん。

あの…(以下略)

うー、状況が理解できてないの私だけなの!?


「何、変な顔してるの?ミミ?」


 とりーくんが私の顔を覗き込んでくる。


「お前の大好きなANだぞ?」


 と大輝は陸さんを見る。

陸さん?

あんさん?


「お前分かってないな」


 と、りーくんが言ってパソコンを起動させた。

そして、歌友のサイトを開く。

流れ出したのは、ANさんの「Last story」。

ANさん?

ANさん!


「これ、歌ってるの、コイツ」


 と、大輝にぃは陸さんを指差した。


「え?」


 少し大きな声を出してしまったのは仕方ないことだろう。

私は陸さんの方を見る。

陸さんは私に苦笑いしたあと、大輝にぃを睨んだ。

陸さんが、ANさん?


「咲笑ちゃんがANを好きだったなんて知らなかったよ。道理で話が合う訳ね。知ってたらもっと早くに言ったのに」


 と陸さんは納得した顔で言った。

私は混乱した頭で


「だから私は陸さんの声がすごく好きだったんですね」


 と言った。

まだ、陸さんとANさんが完全に繋がっていない。

でも、陸さんは驚いた顔をしたあといつもの優しい笑顔で笑った。

なんだかとても安心した。


 しかし、兄がその空気を壊した。


「咲笑とも知り合いみたいだし、そろそろ言うぞ。コイツ、安藤陸は今日からこの家の住人だ」


……。

陸さんはANさんで、ANさんがこの家の住人?

頭がついていかないよ!

頭の中がぐるぐるしてきた。



「うわー」


 私は叫んで自分の部屋に入り、洋服をひっつかんでお風呂場に駆け込んだ。

陸さんはANさんで、私は陸さんもANさんも両方好き。

だから一緒に住むことになって嬉しいけど、まだちゃんとANさんと陸さんが同一人物だってこと理解できてないから、どうしたらいいか分からなくて、お風呂に駆け込んだ。


 お風呂入るとさっぱりして、心のもやもやがとれるのだ!


 兄が沸かしてくれたのか、お風呂には湯が張ってあった。

私は丁寧に全身を洗い、湯船に浸かった。


ふぅーすっきりー。


 ANさんは、陸さんで、陸さんはANさん。

どっちも私の大好きな陸さん。

でも、何か一致しない…。

ANさんと、陸さんは何かが違う気がする。


……、考えても分からない。


そうだ!2人とも別々の人物のままでもいいんだ。

陸さんはANさん、ANさんは陸さん。

でも、違う。

そう考えればいいんだ!


 そこで、やっと心のもやもやがとれた。


 タオルで適当に身体を拭いて、肩にタオルをかけて、服を着てお風呂場を出ると、いい匂いがした。

今日は、鍋みたいだ。

てか、大輝にぃとりーくんと兄はいつでもたいてい、鍋料理だよね。


 テーブルの真ん中にキムチ鍋がある。

今日はキムチ鍋のようだ。

みんなでご飯食べる用の大きなテーブルの前に、りーくん、兄、大輝にぃ、陸さんが座っている。


 私がリビングに入ってきたことに気付いたりーくんがテーブルに背中を向けて私の方に振り返り、手招きをしてきた。

私はりーくんの前に向き合うように座る。

りーくんは私の肩に、あったタオルで私の髪を拭いてくれる。


「落ち着いた?」


 と、優しい声で聞いてくる。

私は、頷く。

そして、りーくんにだけ聞こえるくらいの声で「ありがとう」と言った。


「あーうん」


 と、りーくんは何故かそっぽを向いて、タオルで私の頭をくしゃくしゃした。

私はそれから逃げるように兄の隣に座った。


「咲笑」


 と、兄は心配そうな顔でこちらを見ている。

なんだかんだ言っても、兄は兄なんだ。


「うん。大丈夫」


「そうか」


 と、兄は言ってりーくんよりも優しくタオルの乗った頭を撫でてくれた。

大輝にぃがこちらを見ていたので、ニコッと笑っておく。

大輝にぃは、微妙な顔をして笑った。


「いきなり、混乱することばっかりでごめんね」


 と、陸さんが申し訳なさそうに言った。


「いえいえ、混乱したけど、もう大丈夫です」


「そっか。なら良かった。もう必要ないかもしれないけど一応自己紹介。俺は安藤陸。大学3年です。紀之とは一昨年の歌友のパーティーで、涼と大輝はライブで共演したのがきっかけで知り合った」


 兄は一昨年から陸さんというか、ANさんと知り合いだったってこと!?


「なんで、兄はANさんと知り合いだったこと私に教えてくれないの!?」


 と、私は兄に飛びかかる勢いで言った。

兄は突然の、ことに驚いた顔をしたがすぐに戻り、


「会わせてやるから、歌友パーティー来いって前言ったよな?」


 と言った。

確かにそんなこと言ってたけど、一言も知り合いだなんて言ってなかったじゃん。

歌友のパーティー行けば会えるかもよ?くらいの意味だと思ったんだよ。


 そう、冬にあった歌友のパーティーに一緒に行こうって兄に誘われたが、断った。

あまり歌友で顔を知られたくないのだ。

歌友は好きだ。

でも、歌友で顔を出すのは嫌。

でも、もっと早くに陸さんがANさんだってことが分かったんだから行けば良かった。


「うー」


 と、私は兄を睨む。

兄は気にした素振りはないが。


「てか、大輝にぃも、りーくんも、なんでANさんと知り合いって教えてくれなかったの?教えてくれてもいいじゃん」


 と、私は次に大輝にぃとりーくんにも文句を言う。

分かってるよ、八つ当たりだよ。

私がパーティーに行けば良かったんだもん。

兄は置いといて、大輝にぃとりーくんには申し訳なくなってきたが、


「陸っていうか、ANと、ミミを会わせたくなかったから」


 と、りーくんはなんでもないように言った。


「俺もー」


 と、大輝にぃ。


「え?なんで?!」


 りーくんも、大輝にぃもなんでそんな意地悪なんだ!

兄はニヤニヤしているだけ、陸さんは爆笑している。


「流石咲笑ちゃん!面白い!!」


 と、陸さんは楽しそうに言った。


「面白くないですよ!私にはとても大事なことです」


「そう。大事なこと?本人が目の前にいるのに?」


 そうだ。大事なことを忘れてた。

目の前にANさんがいるんだ!

でも、うん。

改めて本人と言われるとどうしていいのか。

ちょっと照れる。


「あの、ANさん…」


「ん?」


「ファンです」


「うん」


「握手してください」


 と、私が言い、手を出すと、ANさんがそれを握ってくれる。

てか、普通に握手会みたいだ。

感激!

実は私、ANさんの握手会にも、ライブにも、言ったことがないのだ。

歌友の会員特権を使ってもANさんファンは歌友会員にも多くいるのでなかなかチケットがとれないのだ。


「いつまで手握ってるの?」


 と、りーくんが私と陸さんの間に入ってくる。

それでも、私はこれだけ言いたくて、


「大好きです!」


と言った。


「うん、ありがとう。俺も、咲笑ちゃんが好きだよ」


 と、私の精一杯言った「大好き」に対して、陸さんも「大好き」と言ってくれ、こちら側に手を伸ばしてきた。


 その手をりーくんが止めた。


「俺も、ミミが好きだよ」


「好きだ」


「俺も、お前ら全員好きだぞ」


 ちなみに最後のは兄だ。


「「「キモイ」」」


 私以外の人が声を揃えて言った。

すごいシンクロ率だ。

私はつい、笑ってしまった。

「キモイ」なんて言われていたが、私もみんなが大好きだ。


 それから、冷めていく鍋が心配になり、やっとご飯の時間になった。


「「「「いただきます」」」」


とみんなで言い食べ始める。


 食べてる間に、陸さんとの出会いの話なんかをさせられて、兄には私がどれだけANさんが好きなのかをバラされて、恥ずかしくて自分でも顔が赤いのが分かった。



 今日から陸さんもここに住むということで、なんか盛り上がって来たのでみんなでゲームをすることになった。

 

 4人はすごく強くてついて行けないので、私は「休憩する」と言って台所でココアを飲んでいた。

すると、足音が聞こえてきたので、振り返る。

陸さんだ。


「陸さんも休憩ですか?」


「半分正解で、半分不正解」


 陸さんの言葉に首を傾げると陸さんは、近づいてきて、


「咲笑ちゃんと2人で話たかっただけだよ」


 と言った。

耳元で!

ダメだ、倒れる。


「陸さん!」


 と、私は陸さんから離れる。


「あはは。本当だ。こんなにわかりやすかったのになんで気付かなかったのかな?」


 と、陸さんは笑いながら言った。

いや、こんなに反応したのは初めてだよ。

不意打ちなんだもん。


「陸さん、ばーか」


「ばーかって。仲良くしようよ」


 仲良くって、陸さんがイタズラしてきたんじゃん。

でも、陸さんなりの仲良くしようなのかな?


「はい!これから家族ですもんね」


 と、私が言うと陸さんの表情が固まる。

どうしたんだろう?なんか変なこと言ったかな?


「陸さん?」


 と私が呼ぶと、陸さんは元の陸さんに戻って


「今の言葉、男に言っちゃだめだからね?特に涼とか、大輝とかに!分かった?」


 と真剣な顔で言ったのでよく意味が分からなかったが頷いといた。


「それと、さ。ANのこと黙っててごめんね」


 と、陸さんは言った。


「いいえ。陸さんがANさんで嬉しいから良いです。それに…ANさんと、陸さんは同じのようで少し違う気がするんで、違和感ないです」


「そっか。ありがとう」


 何故かお礼を言われた。



「じゃあ、これからよろしくね」


「はい。よろしくお願いします」


 と、今度はちゃんと陸さんと、握手して台所をでて、3人がゲームをしているところに戻った。


 私はゲームを観戦しようと端っこの大輝にぃの隣に座ると、りーくんがリモコンを持って移動してきた。

ちなみに、陸さんは兄の隣に座っている。

大輝にぃと、りーくんは、私に構ってくる時の兄にすごく似ている。

 そういえば、兄は最近、りーくんと大輝にぃがいるからか、前みたいにベタベタ来なくなったな。

妹離れかな?

なんて思いながら、りーくんと大輝にぃにもみくちゃにされるのでした。

そんな中、陸さんと目が合う。


「大変だねー、咲笑ちゃん」


 と言う陸さんの声が聞こえてきた。

その後もう一言なにか言っていたが、なにを言っているのか分からなかった。

ただ兄がニヤニヤしていたのだけは見えた。









 しかし、紀之は聞き逃していなかった。

陸が、


「俺もその2人と同じなんだから、ね」


 と言っていたことに。


 最近、紀之が咲笑に絡んで来ないのは咲笑の観察に徹しているからだ。


 隙さえあれば、妹に絡みたいのだが、

人の恋路を邪魔するものはなんとやら、なので遠慮しているのだ。


 兄は妹が幸せならそれでいい、とただそう思っている。 






今回雑なうえに無理な展開があったので、修正しました。

すいません。

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