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11 帰り道にある花屋さんは素敵って話

咲笑視点に戻ります。

 今日はとても長い1日だった。

本当に疲れた。

学校から最寄り駅までの道を1人で歩いていると、メールが来た。


 私は携帯を開いて、メールの本文を確認する。

陸さんからだ!


From 安藤陸

To  坂田咲笑

----------------

 久しぶり。

学校始まったんだね♪

明日からはまた一緒に帰れるかな?



だそうだ。


From 坂田咲笑

To  安藤陸

------------------

 はい、もちろんです(*^o^*)

明日の放課後、お店に寄らせていただきますね。



 と返信したところで、そのお店が見えてくる。

お店の近くまで来ると花のいい匂いがしてきた。

店先には、沢山の花が飾られている。

と同時に店長さんが、明るく声をかけてくれた。


「咲笑ちゃん!久しぶり。元気だった?」


 と。

この明るい店長さんとは、中2の夏からの知り合いだ。


「元気でしたよー!久しぶりって言っても2週間くらいじゃないですか」


 と、私が言うと店長さんは、頬を膨らませた。

とても、可愛らしいが、私の父と同い年くらいのおじさんだ。


「その2週間が長かったの!寂しかったの!咲笑ちゃんは、寂しくなかったの?陸くんなんて、この2週間いつもよりぼけっとしてたわよ」


 店長が、オネエ口調なのはいつものことだ。

オネエっぽい店長だが、これでも今年から小学校に通う息子さんがいる。


「寂しかったですよ。陸さんがぼけっとしてるのはいつものことですよ」


 私は笑いながら言う。


「それは、そうだけど。いつにもまして!ってことよ。そういえば、陸くん、もう帰っちゃったわよ?今日は一緒に帰らないの?」


「はい。明日からってことになりました」


「そうなの。多分さっき、今日から学校だってこと知ったのね。学校始まる日、教えといてあげれば良かったのに」


「忘れてました」


 本当につい、うっかり忘れていた。

伝えよう、伝えようとは思っていたのだ。


「あなたらしいわね」


と店長は笑って言った。


「じゃあ、暗くなってきたから、急いで帰りなさいよ」


 と店長が言ったので、そこで店長とは、別れた。



 陸さん、こと、安藤陸さんは、さっきの店長の店である花屋、「アネモネ」で、バイトをしている大学生だ。

今22歳だそうだ。






 中2の夏。

道の水まきをしていた陸さんが、下校途中の私に水をぶっかけてしまったことから知り合った。

その時、店長とも知り合った。


 店長は気遣ってくれ、陸さんは何度も謝ってくれたし、大丈夫だと言ったが、服を乾かしてくれ、お詫びだとケーキを出され、帰りにはお花もくれた。

なにからなにまで、なんだか申し訳なくなるくらいだった。

とにかくいい人達だった。


 帰りは、遅くなったからと、陸さんと駅まで帰ることになった。

その時に、陸さんが歌友会員だということを知った。

定期を忘れたようで、陸さんは切符を買ったのだが、その時、財布の中を見てしまい、歌友会員のカードを見つけてしまった。

さりげなく、歌友の話を振ってみると、陸さん自身歌友が好きならしくとても話があった。


 私も、歌友が好きなのだ。

特に歌友で活動中の歌手のANさんが!

あえてそれは言わなかったが、歌友の歌手さんが歌っている歌の話とかでとても盛り上がった。


 それから、店長と陸さんのいる花屋「アネモネ」は私の通学路の途中にあるので朝と放課後、店長と陸さんに挨拶するのが日課になった。

挨拶しているうちに、どんどん仲良くなっていった。

放課後にお店に行くとちょうど陸さんのバイトの終了時間と重なったので、陸さんと、一緒に駅まで帰るのも日課になった。


 陸さんとは話が合うので話していてとても楽しいのだ。

陸さんは、とても、優しくて大好きだ!

飴くれるし、お花(花屋で残った使えない部分の花)くれるし、何より!何より!他の誰より一番好みの声なのだ!!

だから、自分のせいではあるが、今日一緒に帰れないのはちょっと残念だなーなんて思っていたが…

駅について、改札の方に歩いて行くと、



陸さんがいた。



 駅の改札前の柱に寄りかかっている。

ヤバい。嬉しい。陸さんがいる。


つい走って陸さんの元に行く。


「陸さん!」


 走っていった勢いのまま、陸さんに話しかける。


「あっ!咲笑ちゃん。良かった。会えた」


 陸さんは優しい声で言った。

やっぱり、素敵なお声です!


「どうしたんですか?てっきりもう帰ったのかと…」


「うーん、ちょっと聞きたいことがあったんだけど、やーめた」


 と、陸さんの優しい顔が、優しい笑顔を作る。

陸さんは、声も素敵だか容姿も良い。

しいていうなら、王子系イケメンだ。

神様は、不公平だ。


「えー、気になります」


「いいの。聞きたいことが、あったのは確かだけど、それよりも、咲笑ちゃんに会いたかっただけだから」


 軽い口調で陸さんは言ったけど、恥ずかしい。

言われてるこっちが恥ずかしい。

しかも、その声でやらないで欲しい。

とても、録音したくなる。


「そうですか。私も陸さんに会えなくて残念だなーって思ってたところなんです」


「そうなの?嬉しいなー」


 陸さんはそう言ってから、私に手を伸ばしかけたが、すっと手を引っ込めた。

びっくりした。

身体が過剰に反応してしまったかもしれない。

杉谷先生に顔を近付けられた時も、楠木先生に手を握られた時も、それはそれは、心の中が大変だった。

流石に、りーくんとか大輝にぃとか兄とか以外に触られるのは流石の私でも抵抗があるのだ。


「そろそろ、帰ろうか」


 と、陸さんは言い改札の方に歩いていく。

あっ!そうだ。陸さんに引っ越したこと言ってなかったんだ。

今までの私の家はここの駅から電車に乗らなければならなかったが、今の家なら駅からバスで10分乗れば家に、着くのだ。

まあ、学校側の入り口は西口で、バス停は反対の東口なので1回駅の中に入らなければいけないのが面倒だが。


 なかなか歩いてこない私を不思議がって、陸さんが振り返った。


「どうしたの?」


「すいません。私引っ越したんです」


 私がそういうと、陸さんは、驚いた顔をしてから眉を寄せた。

何か、悪いことを言ってしまったのだろうか?


「そうなんだ。ここから近いの?」


「はい、西口のバス停からバスに乗ってすぐです」


 陸さんはすぐに表情を戻したが、なんとも言えない顔だ。


「そうなんだ。気をつけてね。じゃあ、また明日」


 と、陸さんはそう言って改札へ消えて行ってしまった。




 それから、少しの間バスに揺られ、やっと家に帰ってくることができた。


達☆成☆感!


 安息を求めリビングを目指す。

そして、リビングに入り、やっと一息つけたと思ったら…背中に重みを感じる。

誰かに後ろから抱きしめられている。


「ねえ、咲笑」


 大輝にぃだ。

声色から落ち込んでいるようだ。

後ろを振り返って大輝にぃを見ると、目が慰めてくれと言っている。

ような気がするのではなく、言っているのだ。


 大輝にぃはほっとけない。

大輝にぃ慰め隊。


でも、本当は、ゆっくりし隊に入隊希望です。




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