[stage04 SWEEPER]
「・・・同業者か」
レオンの問いに少女は静かに答えた。
「バウンティハンターズギルドから参りました。メリル=ガーランドと申します。
この度の用件は貴公の活動についての厳重警告です。貴公は賞金首に対して必要以上の殺生を行っているため、これを悔い改めよとの伝達です。 なお、貴公がこの勧告を無視した場合、ギルドの追放及び貴公の処分を言い渡されております」
「掃除人か。気に入らねぇな。手前、得物の割りに血の臭いがしやがらねぇ。その鎌は飾りか?あ?俺を殺りたきゃ相応の野郎を連れて来い。ギルドの爺共に伝えな。賞金首を根絶やしにしたら次は手前らだ、てな」
レオンの返答にメリルは静かに溜め息をついて鎌を構えた。
「それでは仕方ありません。先程申し上げた通りバウンティハンターズギルドの名の下に貴公の処分を実行します」
そう言った直後、少女の姿が消え、一陣の砂煙が舞い上がった。
(速い・・・!)
そう心で呟いた時にはメリルは既にレオンの背後から首へ目掛けて大鎌を横薙ぎに振り下ろしていた。
間一髪剣の腹で受ける事ができたが、その衝撃でレオンは後方に吹き飛ばされた。
(この女、かなり殺り慣れてやがる・・・)
「如何なされました?」
呆気に取られているレオンの表情を読んでメリルが口を開いた。
「先程貴公は申されましたね、私から血の臭いがしないと。何故だかお分かりになられます?血を流す必要がないからです。相手に傷一つ負わすことなく確保できるからですよ」
「偉く手前の腕前を自負してんじゃねぇか。自慢話は俺に傷付けてから言うんだな」
レオンの挑発をメリルは鼻で遇った。
「自負?それは違いますよ。私は事実をそのまま述べただけですよ。それは貴方自身がその身で味わったはずでは?
それに傷なら既に付いてますよ。首筋の切り傷に気がつきませんでしたか?」
ハッ、と首筋を抑える。掌にうっすらと赤い線が付着した。それを見たレオンが不気味に笑った。
「面白ぇ。面白ぇぞ女。手前は本気で相手してやるよ。紅鬼の名前をその身に刻んで逝けや」
そう言って大剣を投げ捨てると懐から二振りの円月刀を取り出し、それを逆手に構えた。
「直情径口 疾風怒涛
森羅万象 生殺与奪
盛者必衰 獅子奮迅!我が演舞、とくと御覧あれ・・・」
今度はレオンの姿が砂煙だけを残して消え去った。メリルは正面からの衝撃に吹き飛ばされた。とっさに鎌で受けるも、先程のメリルのそれとは別物で、少女は受け身も取れずに地を這う嵌めになった。そこへすかさず上空からレオンが追い撃ちをかける。
これも鎌で受けるが鍔競り合いはレオンが優勢だ。力が違う。
メリルはレオンを蹴り飛ばして間合をとった。しかしレオンの追撃は止まなかった。スピードならメリルが優勢であったがエモノをブレードからハンシャトルに変えたレオンの前では意味を成さなくなっていた。
今となってはスピードこそ互角だが力に於いても手数に於いてもレオンが上であった。
懸命に応戦するも徐々に追い込まれ、モロに一撃を受けた。
赤く染まった腹部を押さえるメリルの膝が落ちる。
「勝負あったな・・・」