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誰か勝手に魔王、倒してくんないかな  作者: 山彦
第一幕 少年時代編
7/38

家族って、本当にいいものですねぇ 続

「ちょっとまて! じゃあ俺、実質ノーマル状態ってことじゃねえか!」

「まあ、人間必ずしも、才能や適正を活用できる環境に生まれるとは限りませんからね。

 貴方だけってわけでもないので頑張って活用できるようにするべく頑張るのですよ~」 



 なんでも、特定のスキルを所持していないと使用できない魔法というものが存在しており”使い魔作成”もそのうちに含まれるのだそうだ。


 これは他に回復呪文なども含まれるらしい。因みに回復呪文にはかけた相手と同調して魔力のみだが、ステータスUPできる副作用もあるんだそうだ。


 まあ、回数が掛かるし、自分と相手とのステータス差も関係するので持ってない奴よりも魔力が上がりやすいという程度らしいが……。


 そして当然、需要がある存在なので、このスキルを持っている存在は、望めば、教会に保護、管理され、それなりの地位につける。ようするに、簡単に最下層でもなりあがれる憧れのスキルなんだよね。まあ宝くじに当たるようなものか。



 まあ、何にせよ、どうにもならないことを考えても仕方がないしな。子供のうちで今からできることといったら知恵を貸すことぐらいだが、正直、五歳の餓鬼が何言っても聞いてくれまい。それに、俺自身、考古学系が好きで、古代、中世関連のwiki記事をときおり暇つぶしに読んだり、内政系のSSが好きだったりしていたが、それはあくまで知識・雑学であって経験じゃないので、活用するにしても試行錯誤がいるしな。まあ、どちらにしろ、大きく儲けられて、且つ逃げ切れるとき以外はあまり大っぴらに話さないほうが安全だろうが……。

 



「とりあえず、当面の目標は体格が大きくなるまで生き残ることだな」


「まあ、それだって努力しないと危ないのですけどね」



 ――生きることが当然の権利だと勘違いしてもらっては困るというふうに、アニスが俺に忠告する。どうやら雌伏することすら努力がいるらしい。


 はてさて、どうなることやらね。まあ、なんにせよ俺は、五歳の子供が今後の生活のことを心配しても結局は保護者に保護されなければ生きていけない身である。申し訳ないが今は父、母に甘えるとしよう。そう遅くないうちに親孝行することを誓って。





―――



―――――


  

―――――――




 農家の朝は早い。


 朝日が昇り始め、辺りもまだ薄暗い中、俺は、寝所から起きだし土間に置いてある瓶の中の水で顔を洗った。


 外にでようと扉を開けると、朝の冷たい空気とともに、朝露に濡れて湿った草木の香りが俺の鼻をくすぐる。


 目の前に朝日に煌めく朝靄が漂い、太陽はまだ、山々により半分以上顔を隠してしまっているが、その日の光は村々を照らしていた。


 名前も知らぬ鳥達の囀り(さえずり)が響くなか、俺は大きく息を吸い、朝の空気を腹いっぱい吸い込んだ。



「ほあぁ…… 本日は快晴なり、本日は快晴なり」



 あくびをしながら、陽気に軽口を叩く俺の頭の上に、俺を咎めるコブシが現れ、俺を小突く。



「馬鹿言ってないで、畑を見てこい。

 それが終わったら飯だ」



 後ろから、仏頂面をした体格の良い大柄な男 

 ――父が現れ俺を急かす。急かされるままに俺は畑にでた。



 現代と違い、幼児にとてちゃんと仕事がある。使えるものなら猫の手だって使え、ましてや幼児の手ならなおさらである。


 そのままぐるっと畑を見てまわり、畑に被害がでてないか確認しつつ、葉っぱについている虫を取り除き、食べられるものなら、そのまま手持ちの草で作った虫取り籠にいれ食料とする。


 うん、虫も慣れるとおいしいね。まあ、慣れるというか幼少の頃から今回は食ってるんだが。まあ、イナゴとかなら日本でも食うしね。中国なんかゴキブリまで食うし。……流石にゴキブリは食べたくないので、出てきませんように。まあ、むかしは世界中で食べてたそうだけどな。


 俺は家に帰ると取ってきた虫を母に渡し、料理の足しにしてもらう。本日の料理は、麦粉を粥のように炊き上げた麦粥と昆虫の炒め物といういつものパターンだ。


 思考能力が大人並みになった今だから気づいた事だが、俺に出された料理の量は父、母とそう変わらない。……体格的には両親はもっと必要だろうに大変申し訳ないです。いい両親に当たったものである。


 

 食べ終わった後、父、母と一緒に畑仕事をしていると、お天道様が頭の天辺にきたぐらいで、向こうの方から人の声がする。多分、悪友のアシルだろう。



「ジャン、もういいから行ってきなさい」


 母がそう笑顔を浮かべながら言っており、父は母が勝手に決めてしまった事に特に文句も言わず黙々と農作業をしている。


 俺はこっくりと頷くと、近づいてくる悪友の元に駆け出していった。

なお、中国だけでなく、アジアの露天なんかでは今でも虫が売られていたりします。


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