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国家最終兵器に魔改造された転生魔女、正体を隠して王立学園に通います~異世界で二度目の青春始めました~  作者: 藤白ぺるか@4/1美容スキル第1巻発売


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第2話 私が作った世界

『サイボーグ化した少女が主人公』


 それが、私が最後に加えた小説の設定。

 友人の一人が提案してくれたアイデアでもある。


 きっと、私の足が不自由な様子を見て――せめて小説の中の世界だけでも、と思ってくれたのだろう。

 もしサイボーグなら、病気で手足が動かなくなることもない。壊れても修理すれば直る。そんなイメージから、サイボーグの設定は面白いんじゃないかと感じていた。


 でも……私って死んだの?

 それとも、生きたままこの世界に迷い込んだの?


 今の地球では絶対にあり得ないサイボーグの技術。

 なのに実際、私の胸には虹色の石が埋め込まれているし、右腕だってぱかっと開いてビームまで出た。

 どう考えても、元いた世界と同じとは思えない。

 だから――ここは、私が考えた小説の世界ということになる。


 その事実を少しずつ受け入れられてきたのか、私はゆっくりと落ち着きを取り戻していった。


「落ち着いたようで何よりなのだ。軽く検査した後に、これから暮らす家を案内するのだ」

「…………わ、わかった」


 爆散した部屋の一部の機械を使って、私の身体の検査が行われた。

 パカッと開いた心臓部の扉が閉められ、同じく右手首も元に戻された。


 そうして約三十分後。私はようやく裸の上に白衣を着せられ、彼女達に着いていくことになった。


「って、あれ?」


 破壊してしまった研究室の壁にヒビが入った等身大の鏡があった。

 私はそこでピタリと足を止めると、初めて今の自分の全身を確認することができた。


「…………これ、私?」

「そうなのだ。君なのだ」


 ハナハナ博士が念を押してくれる。


「えっと……えっと…………誰ぇぇ!?」

「うむ? 発見時と同じボディに調整したはずだが、似てないか?」


 自分の部屋にいた頃の私は黒髪で視力も悪いので眼鏡をかけていた。

 なのに、銀色の髪にサファイアの宝石のような青い瞳。視力も良くなっているのか眼鏡入らずで、さらには地味めだったはずの顔が可愛くなっていたのだ。


「いや、全然違うんだけど!?」


 それによく見れば、小さかった私の胸がほんのりと大きくなってるような!?

 ……三年も寝ていれば、成長するとは思うけど、その成長に合わせてくれたんだろうか。


「ふぬ……では仕方ない。アリーの希望に沿ったボディに変えてやるとしよう――」

「い、いやっ。このままでいい! このままでいいです!」

「そうか? ならこのままにしておこう」


 この姿は全然、私じゃない。

 私の原型があるとすれば……身長くらいだろうか。

 でも、可愛い。なんだか私可愛い! ちょっと嬉しいかも!

 お父さんとお母さんには悪いけれど、今の体、結構きゃわいい!


 結局私は、新しいこの体で過ごすことにした。


 というかボディを変えられるってどういうことなの?

 ……そこで恐ろしい考えが私の頭を巡った。


「わ、私の皮膚を剥がしたのぉぉぉっ!?」

「な、何をするのだ!? りぃたん! 助けてくれなのだ!?」


 ボディを変えたということは、元々あったはずの私の皮膚が剥がされ、別人の皮膚を移植された……とか、そういうことになる。

 人の皮膚を剥がすなど鬼畜の所業である。ここが地球なら大犯罪者だ。

 やっぱりこの世界は私がいた世界ではないのかもしれない。


「アリー様。大変申し訳ないですが、こちらのハナハナ博士は、世界でたった一人の天才科学者なのです。どうかその手をお離しください」

「ぬぐぐぐぐっ」


 幼女の髪を引っ張る行為は子供をいじめていると勘違いされなねない行為だ。

 私の皮膚を勝手に剥がしたのは許されないが、私に幼女を虐める趣味もない。仕方なくハナハナ博士の頭から手を離してあげた。


「自己紹介が遅れました。私はリィゼル・ハートウォークと申します」

「りぃたんは我の一番最初の助手なのだ!」

「へぇ……じゃあ助手の中では一番偉いんですね?」

「そうなりますね」


 紫髪のボブヘアの大人なお姉さん。

 とっても美人さんで、白衣が似合う長身の女性だ。


「ちなみにアリー様の皮膚を引き剥がしたのは私です」

「っ、お前かぁぁ!! ――ぶへっ!?」


 怒りを向けるべき相手を間違っていたらしい。

 そう思ってリィゼルさんに飛びかかったのだが、軽く身を捻って躱された。

 なんだか、うまく動けなかった。


「ふむ。まだその体に慣れていないようだな。今から少しずつ慣れていけばいいのだ!」

「………………」


 そういえば私、歩けてるんだ。

 この地に足が着く感覚。冷たい地面。足に力を入れるやり方がどうだったかすら忘れていたんだ。


「ふふ、ふふふふっ……歩けるって、凄いなぁ……」


 思わぬ形で叶えてしまった、前世ではできなくなったこと。

 自然と私は目端から小さな涙を零していた。



 ◇◇◇



 家に向かう途中、これまでのことを整理してみた。


 私の考えが正しければこの世界は私自身が新作の小説として考えていた世界だ。

 世界観や設定を少し決めただけで、物語のシナリオとなるプロットはまだ書いていなかった。


 考えた少ない設定からこの世界が形作られたとすれば、この世界でわかる事はほんの少しだけということになる。

 乙女ゲー世界に転生したみたいに、バッドエンドが待ち受けているかどうかもわからず、このままではふんわりと作った自分の世界に振り回されていくことになってしまう。


 その中でも決めていた大まかな設定がある。

ここは『剣と魔法の世界』で、『サイボーグ化した少女が主人公』が存在すること。

 そしてもう一つ、『宝石が扱う魔法の質や能力、強さに関係』することだ。


 思えば私の心臓には虹色に輝く石が埋め込まれていた。

 ハナハナ博士はアレキサンドライトと言っていたっけ。地球でも聞いたことがある石ではあるけれど、この世界ではそれなりに凄い石なのだろうか。


 それと、私は発見された時とは違う体に改造されたということ。

 やはり異世界転生ではなく異世界転移だったのだろうか。でも、あの状態の私が助かる可能性は絶対にない……それを考えるとやっぱり転生なのかもしれない。


 私が死んだのは高校三年生だったはず。そういえば三年寝ていたって言ってたような……じゃあ今の私って年齢的には二十一歳ってこと!?

 でも、体は改造されて別人にされたらしいし、機械なら尚更年齢とか関係ないのかもしれない。もしかして、一生若いままってことも!?

 そんなことを考えながら、私は歩き続けた。


「ここからエレベーターに乗るのだ」


 私が目覚めた場所は研究所の端だったらしく、反対方向にあった建物の内部を通り進んでいくと、中央辺りに上まで伸びたエレベーターらしきものがあった。


「エレベーター? いや、上って空だけど……」


 確かにエレベーターは上に伸びているけど、上を見ても空しかない。

 私は空に向かうのだろうか。


「周囲の景色は全て外の景色を映し出しているだけなのだ! この場所は地下。だからエレベーターで地上まで昇るのだ!」

「おぉ…………」


 中世ヨーロッパを意識した剣と魔法の世界のはずなのに、ずいぶんと技術が進んでいる。

 確かに機械の少女がいるとは設定したが、それにしても機械の技術が凄い。


 エレベーターの横についていたボタンをリィゼルさんがポチっと押すと上からエレベーターが降りてくる。

 中は日本のエレベーターと同じらしく、私とハナハナ博士、リィゼルさんが乗り込むと、他の助手達は揃って「行ってらっしゃいませ」と頭を下げて私達を見送った。



 ◇◇◇



「す、すごい……っ」


 ここは東京タワーか、はたまたスカイツリーか。数百メートル上へとグングン上がっていくエレベーターの中から見下ろす研究所の全容はとても美しかった。


「あ……」


 研究所の外側――地下ということなので土か岩かで囲まれていると思うのだが、私が放ったビームが壁に当たったらしく、草原と空の景色が一部なくなり岩肌が見えていた。


「大丈夫なのだ。あれくらいすぐに助手達が直してくれるのだ!」

「そ、そうなんだ……ちなみに博士にはどのくらい助手がいるの?」

「うーん、わからないのだ!」


 自分の助手なのに把握していないのか。


「直接の助手とは違いますが、この研究所で働いているのはざっと五百名ですね。アリー様のお体はその五百名の叡智の結晶とも言えるでしょう」

「せ、責任が重いんですが……」

「ですので、皆の責任に叶うようこれから頑張ってくださいね」


 そうは言われても私は何を頑張ればいいのだろうか。


 だが、この時はまだ知らなかった。私が改造された理由――その使い道が、とんでもない理由だったことに。



 ◇◇◇



 エレベーターのドアが開く。

 そこには高級マンションのような部屋が広がっていた。

 リビングらしき部屋に入ると、何LDKあるかわからないほど扉があった。


「え……すご。私、こんな所で暮らすの?」

「ここは我の家なのだ! アリーはこれから私と一緒に暮らすのだ!」

「博士と!?」


 そういうことか。

 地下の研究所へは直通で行けるように、ここに博士の家を建てたわけだ。

 となれば、他の助手含めた研究員たちは、別の出入り口を使っているのだろう。


「よう、ハナ。帰ってきたのか」


 室内から男の声が聞こえた。

 うそ、私、男と暮らすの!? なんて思ったがそうではなかった。


「あーくん! 帰ったのだ!」

「なんだ、随分とご機嫌じゃねえか」

「そうなのだ! 我はついに成功させたのだ! 被検体ナンバー044。アリー・サンドレイなのだ!」


 ハナハナ博士が喋りかけていたのは、背の低い彼女のさらに下。

 その場所にいたのは黒い猫だった。


「猫が喋ったああああああああっ!?」


 私の驚きはまだまだ続くようだ。





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