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国家最終兵器に魔改造された転生魔女、正体を隠して王立学園に通います~異世界で二度目の青春始めました~  作者: 藤白ぺるか@4/1美容スキル第1巻発売


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第0話 プロローグ

「やれぇッ! なんとしても奴を消し去るのだッ!!」


 木々が焼け焦げる焦臭い煙が立ちこめ、怒号と轟音が森中に響き渡る。その戦場で、紫色のローブを纏った怪しげな集団が、森の中を真っ直ぐに歩いてくる仮面の少女へと魔法を撃ち放っていた。


 放たれた魔法は確かに少女の目前まで届く。

 しかし不思議なことに、彼女の身体に触れる寸前で霧のように掻き消え、幻のように消滅してしまう。


「ぐぅぅッ! これほど魔法を撃ち込んでもなぜ奴は倒れんのだ! せ、接近して斬り刻めぇッ!!」


 紫ローブの幹部らしき男が、何事もないかのように歩き続ける仮面の少女を睨みつけ、奥歯を噛み締めた。


 剣を手にした信徒達が一斉に斬りかかる。

 だが少女は軽く手を振るだけで刃を弾き、逆に放たれる拳の一撃で、次々と相手を沈黙させていく。


「な、ならば――貴様に使うつもりはなかったが、致し方ない! お前達、殲滅級魔法の準備に入れ!」


 幹部の男が背後に控えていた信徒達へ命じる。

 百を超える紫ローブの信徒達が、黒い魔宝石の埋め込まれた杖を掲げ、同時に詠唱を開始した。


「ははッ、はははははッ! 私が二十年かけて完成させた殲滅級魔法だ! 一度使えば、再び魔宝石を集めるのに何年もかかるが……お前一人を消し去れるなら安いものだッ!」


 殲滅級魔法――その名の通り、敵を殲滅するための魔法。

 一度放てば数万人の命を一瞬で奪うとさえ言われる禁忌に近い魔法である。


 あまりにも莫大な魔力を必要とするため、百人規模の詠唱と膨大な魔宝石を消費しなければ発動すらできない。

 その殲滅級魔法が、今まさに――たった一人の少女へ向けて放たれようとしていた。


「――いつでも放てます!」

「よしッ! この魔法で、塵一つ残さず奴を消し去れぃ!」


 信徒の一人が準備完了を告げると、幹部の男が声を張り上げた。


 次の瞬間、膨大な魔力を孕んだ殲滅級魔法が解き放たれる。


 紫ローブの集団の頭上に現れたのは、全てを焼き尽くす巨大な火球だった。

 近づくだけでも溶け落ちそうなほどの灼熱を放つ地獄の業火。


 そして仮面の少女は――

 その火球を、真正面から受け止めた。


「…………な、なぜだッ…………意味が、わからぬ……ッ」


 幹部の男は呆然と立ち尽くす。

 確かに放たれたはずの殲滅級魔法。だがその獄炎は、仮面の少女が静かに手をかざしただけで、まるで夢だったかのようにふっと掻き消えてしまった。


 炎の痕跡すら残らない。

 まるで最初から魔法など発動していなかったかのように。


「ま、魔石獣を放てッ! 数だ! 数で押し潰すのだッ!!」


 それでも男は諦めない。

 ここで退くわけにはいかなかった。


「も、もう魔力が残っていません!」

「ぐッ……ならば、魔力の残っている者だけでもいい! 全員で呼び出せ!!」


 殲滅級魔法を放った信徒達は膝をつき、既に戦える状態ではなかった。

 それでもなお、数十人の信徒が戦場に残っている。


 男の命令と同時に、信徒達が一斉に杖を掲げた。

 直後、空の彼方から獣のような咆哮が轟き――人間など容易く踏み潰せそうな巨体を持つ、数十体もの飛竜が戦場へと舞い降りた。


 仮面の少女は、迫り来る飛竜の群れを見据える。

 そして、ふわりと夜空へ浮かび上がると、静かに右手を掲げる。


 その掌から溢れ出すのは、膨大なエネルギー反応。

 眩い光が一点に収束し、やがて夜空に――巨大な火球が形を成していった。


「なぜだ……! 杖も使わず、あれほどの魔法を……!」


 紫ローブの幹部が空を見上げ、驚愕の声を漏らす。

 周囲の信徒達は皆、剣や杖といった武器を握っている。だが、夜空に浮かぶ仮面の少女だけは違った。何一つ武器を持たぬまま、ただ静かに戦場の中心に佇んでいたのだ。


「あれでは……我らの殲滅級魔法など、比較にもならぬほど——」


 夜闇を白と紅に染め上げる巨大な火球。それは、先ほど放った殲滅級魔法をゆうに超える大きさにまで膨らんでいた。

 地獄の業火すら霞むほどの光と熱を帯びたそれは、見上げる者の視界を焼き尽くすような輝きを放っていた。

 その圧倒的な光景は、まるで少女のさらに上空――天に輝く存在を思わせる。


 次の瞬間――

 仮面の少女が、ゆっくりと手を振り下ろす。


 超巨大な火球が、隕石のごとく空から落下した。


「――――ッ!!」


 飛竜の群れは火球に呑み込まれ、灼熱の中で一瞬にして溶け消える。

 断末魔すら許されぬ、圧倒的な一撃だった。


 飛竜を焼き尽くした火球は勢いを失わず、そのまま紫ローブの集団が待つ森へと落ちていく。


 迫り来る熱と光に包まれながら、幹部の男は最期にこう呟いた。


「邪神アポフィス様に、栄光あれ――」



 ――そんな森での戦いを、遠くから見つめている者達がいた。


「あれが……『アンチマジック』か」

「ふん。私達を差し置いて目立とうだなんて……小賢しい娘ね」

「ナンバー044。さすがは我が軍の対魔法戦闘兵器だ」


 王城のバルコニーから戦場を眺めていた青年が低く呟けば、別の戦場で魔法を振るう魔女が嫉妬を滲ませて鼻を鳴らす。そして、森の端から戦況を見守る軍隊長は、誇らしげに口元を綻ばせた。


「――太陽の魔女様の、再来……」


 遠く離れた街から、太陽のような火球を見上げていた少女が思わず呟いた。



 ◇◇◇



「はかせぇぇぇ〜〜っ! もう嫌だよぉぉぉぉ〜〜〜っ!!」


 銀色の長い髪を揺らしながら、少女アリー・サンドレイは朝帰りするなり、白衣を纏った金髪幼女へと勢いよく飛びついた。


「アリー、大活躍だったのだ! 我がヨシヨシしてあげるのだ!」

「ありがとう……でも、人を殺すことに慣れてきた自分がちょっと怖いよぉ……」


 白衣の金髪幼女――ハナハナ博士は、胸に飛び込んできたアリーの頭を優しく撫でながら、静かに言葉を返す。

 するとその時、トコトコと小さな足音を立てて歩いてくる影があった。


「よう、アリー。無事に戻ったみたいだな」

「あーくん! あーくん、あーくんっ!!」

「お、おい、やめろ! 俺はモフられるのが苦手なんだ!」


 黒い体毛に四本の脚。しなやかに動く長い尻尾。

 その小さな影はどこからどう見ても猫だった――ただし、言葉を話す黒猫である。


 幼女に続いて黒猫にも飛びついたアリーは、その背中に顔を押し付け、すぅぅっと匂いを嗅ぎながら、もふもふの体を遠慮なく撫で回した。


「ていうか俺にはアーサー・ヘラクレスって立派な名前があるんだ。あーくんはやめろって、前から言ってるだろ」

「その見た目でアーサー……ぷぷっ」

「あーくんは、あーくんなのだ! 我もモフるのだ!」

「お前らなぁ……」


 自分の呼び名にため息をつきながらも、アーサーことあーくんは二人にモフられるのを完全には拒まなかった。


「では、行くぞアリーよ!」

「へ?」

「へ? ではないのだ。毎回やっているではないか」

「ええ〜〜〜〜……」


 勢いよく立ち上がったハナハナ博士は、アリーの腕を引いて歩き出す。

 アリーは露骨に嫌そうな顔をしながらも、しぶしぶその後についていった。


 そして部屋の奥に設置されたエレベーターへと乗り込む。

 ボタンをぽちりと押すと、装置は静かに下降を始め、やがて地中へと潜り込むと視界の景色が大きく変わった。


 地下のはずなのに、そこに広がっていたのは青い空とどこまでも続く草原。

 その中央には、鉄と石で築かれた巨大な研究施設がそびえ立っていた。敷地はあまりに広く、全てを歩いて回れば一日では足りないほどだ。


「お待ちしておりました。ハナハナ博士、アリー様」


 エレベーターの前で待っていたのは、薄紫色の髪をボブカットにした大人の女性研究員でありハナハナ博士の助手――リィゼル・ハートウォーク。彼女は白衣を纏い手にはバインダーを持っていた。

 背後には同じく白衣姿の女性研究員らが並び、二人に恭しく頭を下げる。


「りぃたん! さっそくデータ収集とメンテナンスを始めるのだ!」

「かしこまりました」


 案内された先は研究所の一室。

 そこには見たこともない器具や、複雑な形をした装置が所狭しと並んでいた。


 部屋の中央には寝台が置かれている。

 アリーは慣れた様子で服を脱ぎ、裸になると、そのまま寝台へと横になった。


「はぁ……私も普通に学園生活を楽しんでみたいよ〜」

「ん? なんだ、そんなに学園へ行きたいのか?」


 ぽつりと漏れたアリーの呟きに、ハナハナ博士が興味深そうに首を傾げた。


「え、行きたいけど……」

「なら軍に頼んでみるのだ」

「行ってもいいの!?」


 思いもよらない返答に、アリーは勢いよく飛び起きた。


「ちょうど四月から新年度も始まりますし……二年間も任務を続けてきたのです。休暇がてら学園に通うくらい、きっと許可が出るのではないでしょうか」


 リィゼルがハナハナ博士の言葉に補足するように言った。


「やった……私、ついに学園生活を楽しめるんだ……っ!」


 胸いっぱいに喜びを噛みしめるアリー。

 だが、その体では普通ではあり得ない光景が同時に繰り広げられていた。


 ハナハナ博士がアリーの左胸へ手を伸ばす。

 するとそこがパカリと音を立てて開き、肌色の皮膚の下に隠されていた鋼鉄色の内部構造が露わになった。

 そこには機械のような複雑な装置が組み込まれ、心臓の位置には虹色に輝く魔宝石が埋め込まれていた。


「さて、コードを差し込むのだ」


 今度は右胸に手を当てるハナハナ博士。

 同じように装甲が開き、その奥にはプラグを接続するための端子が姿を現した。


「学校、学校、学校、学校……♪」


 完全に上の空のアリーは、夢見るようにその言葉を繰り返している。

 そんな彼女を見下ろしながら、ハナハナ博士は静かに呟いた。


「では、しばらくお休みなのだ、アリー」


 次の瞬間――アリーの意識は、ふっと静かに闇の中へと落ちていった。


 彼女がなぜ機械の身体を持ち、軍に所属して戦うことになったのか。

 その全てを語るには、二年前まで遡る必要がある――。






新作です!


自分が作った小説である剣と魔法の世界に転移してしまったラノベ作家志望の女子高生が気付いた時にはサイボーグ化されていて、軍や邪教団との戦いに巻き込まれていく青春学園ファンタジーです!


どちらかと言えば百合寄りかもしれません。

ただ、可愛い女の子をいっぱい登場させる予定なので男女共に楽しめると思います!ギャグ多めです!


ぜひとも、お気に入り登録や期待を込めて★★★お待ちしています。


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