梢特製冷製スープ
レイヴンが森を出て一週間ほどで帰還した。
また、野菜などの収穫物の売り上げの六割を貰った梢は、宝石などを買いアクセサリー用に買い集める。
野菜を卸したから保管庫を見て余裕が出た事を認識する。
ただ、あの巨大野菜を王室の料理人が調理できるか不安で──
レイヴンさんが森を出て一週間ほど経ってから戻って来た。
「お帰りなさーい」
「いやぁ、いい商売ができました!」
「それならいいんだけど」
食料はあまりに余っているからね。
「王都で色々買い込んできました、見ますか?」
「わー見る見る!」
村人達が集まってレイヴンさん達が買い込んできた物を吟味し始める。
王都は色んなものが集まるから皆村では買えないものを仕入れてる。
私もだけど。
「わーこれでアクセサリーが作れるぞー!」
宝石はここでは取れないので、有り難い。
魔晶石は宝石扱いしてアクセサリーなんかにするなとクロウに怒られたのでやってない。
黄金羊とか、銀蚕とかの糸とか布を使って良いと言ってるけど、皆尻込みして使わないので、行商さんは布を沢山仕入れてくる。
良い布を格安で販売してくれるから有り難いようだ。
ちなみに王宮に卸した野菜とかの代金の六割を貰ったので、お金には困らない。
250白金貨の六割だから150白金貨か。
結構なお値段。
そんなに私のお酒とかお野菜とか果実って重要なんだろうなぁ。
まぁ、量も凄い量卸したみたいだからそれもあるかも。
一杯だった、保存庫全部が余裕のある状態になってるから相当の量を入れたんだと思う。
「やっぱり凄いなぁ」
としか言いようがない。
勿論私とクロウだけが収穫できる巨大野菜も卸したそうだ。
向こうはビビっていたらしい、アレ調理できるのかな?
私はクラフト能力と料理のスキル? みたいななんかであの野菜空中でぶった切って細切れにしてるけど。
その前に皮はむいてるしね。
できるのかなぁ、お城の人に。
うちの野菜達、全体的にでかいからなぁ。
料理人さんたち困らなければいいけど。
ドミナス王国の王宮料理人達は──
「りょ、料理長この食材達は……」
「始祖の森、愛し子様が作った作物だ、あと肉は村人が狩った奴だ」
「こ、こんなでかい作物みたことがないですよ⁈」
「正妃様曰く、全部でかいんだとよ」
「は、はぁ……」
「習うより慣れろだ、アルフォンス陛下や兵士達にお出しする料理を作るぞ!」
「は、はい!」
と食堂が慌ただしくなった。
まだまだ暑いのでカボチャの冷製スープを作ることにした。
材料はたっぷりあるし、クラフトも使えば問題無い。
私はちゃちゃっとスープを作った。
「やっぱり大量にできちゃった」
どでかい鍋にはカボチャの冷たいスープがたっぷり。
私はそれを持って外へ行く。
「スープ作ったよー良かったらどうぞー」
「コズエ様のスープ⁈」
「飲む飲む!」
子ども達は家に戻り器を持ってきた。
私はおたまで掬いスープをよそう。
子ども達はその場でちょっとお行儀悪く飲み始めた。
「甘くてうめー!」
「でも塩気も効いてて美味しいー!」
「私も欲しいですわ!」
イザベラちゃんはそう言って来賓の館へ戻った。
外用の椅子と、スプーンと器、それとパンを持って戻って来た。
「コズエ様下さいな!」
「はい」
イザベラちゃんの器にスープをよそい、渡す。
イザベラちゃんはスプーンでそれを飲むと嬉しそうな顔をしてパンをつけて食べ、また嬉しそうな顔をした。
「美味しい、美味しいですわ……!」
「イザベラ、いきなり椅子とスプーンと器とパンを持ちだしてどう……何だ、愛し子様が料理を振る舞っていたのか」
マリア様が苦笑した。
「スープですけどね」
私はそう言って笑う。
すると、マリア様は侍女達に何か言って来賓の館からスプーンと器などを持ってこさせた。
「私も戴こうか」
「はい、どうぞ」
私はマリア様の器にスープをよそう。
マリア様はスプーンで掬ってスープを飲む。
「ああ、冷たいがこの暑さの中ではちょうど良い」
「正妃様、ど、毒味は?」
「愛し子様が作ったものに毒味など不要だ」
うーん、信頼されてるのかな、不用心だなぁ。
「お前達も貰うといい」
「は、はい」
「コズエ様、くださいな」
「くださいな」
「はい、リーゼちゃんに、ミーアちゃんもどうぞ」
器によそって渡すと、二人も美味しそうにスプーンで掬って飲み始めた。
大人達も集まってきた。
大人達はパンも持ってきて食べていた。
まだ腹に空きがある子ども達は家に戻りパンを持ってきて、スープに浸して食べていた。
「大分はけたね」
大分量が減ったスープの入った鍋を見て私は呟く。
『梢や、儂にもくれんかの』
「おわ、クロウおじちゃん! 久しぶりだねその口調!」
『ようやっと慣れてきたから口調をこっちに戻したんじゃよ。ほれ、スープをおくれ』
そう言ってポンと大きな器を出す。
「相変わらず食いしん坊だなぁ」
と言ってから、スープを器によそう。
「はい、どうぞ」
『うまそうじゃのぉ』
クロウおじちゃんはそう言ってスープをぺちゃぺちゃと飲み始めた。
『うむ、美味い!』
そう言って熱心にスープを舐め取りながら飲んでいた。
「さて、残りは家族で食べますか」
そう言って持ち帰ろうとしたとき。
「愛し子様ぁあああ!」
「う゛ぇ、ヴェロニカさん⁈」
「助けてくれ、子ども達にブラッドフルーツのスープを作ったが『素材の味が台無し』と酷評されてしまったのだ!」
「あー……」
あの子達、舌が肥えてるからなぁ。
お母さんよりも。
しかし、このスープどうしよう。
「コズエ、話は聞いた、スープは俺が持ち帰る。行ってやれ」
アルトリウスさんが現れて、私からスープの入った鍋を受け取ると、そう言った。
「うん、そうする。有り難う」
そう言ってヴェロニカさんの屋敷に向かう。
屋敷に向かうと他の親御さん達も居た。
どうやら同じ意見を貰ったらしい。
子どもの味覚って敏感だからなぁ。
「じゃあ、私作ってみますね」
私はそう言ってブラッドフルーツをカットし始めた。
カボチャの冷製スープを作る容量で玉葱もいれる。
ニンニクじゃないから大丈夫らしい。
有塩バターを使って、魔導ミキサーを使ってスープの素とかも混ぜてシェイクする。
「はい、どうぞ」
子ども達は恐る恐る口にし始めたが、直ぐに勢いよく食べ始めた。
おかわりまで所望し始めていた。
親達は必死にメモを取っていた。
「これで良かった感じですね」
「ああ、助かる。次は自分でできるように努力する!」
「はい、私もそうします」
「夫に味を見て貰いながらやってみます」
と言われて有り難がられた。
その後、家に戻ると、四人分の器にスープが入った状態でテーブルに並べられていた。
「コズエ、食べよう」
「うん」
「パンもある」
「コズエ様、飲み物もありますよ」
「有り難う」
私はそう言って三人と食事を始めた。
アルトリウスさんはブラッドワインを飲みながら会話をしてきた。
アインさんとティリオさんは麦茶を飲みながらその会話に混じる。
私は、冷えた麦茶を飲みながら、その会話を楽しげに聞いていた。
レイヴンの帰還と、梢のスープ作りの回です。
暑い夏だかから冷製スープを作りました。
梢のスープは人気ですぐ飲まれて減っていきました。
あとヴェロニカが子どもより舌が肥えていないのか、はたまた料理の才能がないのか……どっちもです。
ヴェロニカは夜の都の貴族の娘なので料理をするという習慣がないので苦戦しています。
イリスはグレイスと生活を共にする前から狩りなどで料理の腕を磨いてましたのでそこそこできます。
アルトリウスの母リサも料理はそれなりに得意です。
吸血鬼の子どものために料理するのって大変なのですよ。
それと王室では習うより慣れろで野菜と格闘するようです。
ここまで読んでくださり有り難うございました。
次回も読んでくださると嬉しいです。
イイネ、ブクマ、感想、誤字報告等有り難うございます。




