夫婦の時間(3)
祭り状態の村で、果物飴を発見する梢達。
それを作ってるのは一二三の伯父の五郎だった。
そこで、色々と説明を受ける中、一二三の母が死んだ理由を聞かされ梢は──
「わー! 果物が入ってる飴だー! 懐かしい!」
「そう言っていただけてなによりです」
体格のいい白い狐耳に五つの尻尾の男性がそう言った。
「えっともしかして五郎さん? ですか?」
「はい、五郎です。梢様。一二三と奈緒が世話共々世話になってます」
五郎さんは頭を下げた。
八つの尻尾が見える。
確か
「もう少しで天狐ですか」
「その通りです、お詳しいですね」
「ま、まぁちょっとだけ……」
「天狐とか言っているがどういうことなんだ?」
「えーと……」
「私が説明します」
困っている私を見て、五郎さんが説明を開始してくれた。
「天狐とは、千年生きた狐だけがなれる存在なのです、神に近しい存在になります。私は気狐と呼ばれる立場の白狐で、常に修行しております。気狐は五百歳から千歳未満の狐の事を指します」
「じゃあ、奈緒さんも一二三ちゃんも気狐未満って事か」
「ええ、あの二人はまだ若い……ですが一二三は目を見張る物があります、七つで二つの尾になるなんて……」
「でも、私はできれば一二三ちゃんにはゆっくりとして欲しいんですよね、子どもだから」
「それは私も同感です、ただ奈緒が頼りないものですから一二三がきちんとせざるを得ないのが実情で」
「おい、奈緒さん」
かき氷の氷を削っているであろう奈緒さんに文句の一つを言いたくなった。
「奈緒も奈緒で頑張っているですがね……努力が実を結ばないといいますか」
「あー」
そう言われると何も言わざる得ない。
私もそうだった。
かつてどんなに努力しても実を結ばなくて苦しかった覚えがあるからだ。
「奈緒さんも努力してるのか……」
「から回っているとか、実を結ばないので本人も悩んでますよ。妻の光代さんが生きてたら話は別だったかと……」
「どんな奥さんだったんですか、奈緒さんの奥さん、光代さんは」
「良妻賢母の塊、と言えばお分かりでしょうか」
「あ、何となく分かりました」
「できた奥さんだった。ですが一二三が五つの時に瘴気に侵されて無くなりました」
「あの、天狐の方でも瘴気は対処しづらいのですか?」
「ええ、天狐様ができるのは神森が瘴気に侵されないようにするのであって、一族の瘴気を吸い取るのはできないのですよ。それができるのは世界樹の葉の薬か愛し子様のお力──梢様の力です」
「そう、なんだ」
罪悪感が湧く。
私が愛し子としてこの世界に来たのは確か三年前。
一二三ちゃんは今七歳、つまり四歳の時。
もし私が外に出るようなタイプだったら一二三ちゃんのお母さんを助けれたのかなぁと思ってしまう。
それを小さい頃を言い切った一二三ちゃんは私に本当は言いたいことがあるんじゃ無いかと思ってしまう。
「梢様、一二三はあまりにも大人びています。だから貴方を責める気は全くありません」
五郎さんが心を読むように答えた。
「そう、ですか」
「ええ、天狐様が一二三と問答をして確認済みです」
「……」
「コズエあまり自分を責めるな、責めてばかりだとキリが無い」
「そうですよ、もしかしたら。なんて考えるだけ辛いだけです」
アルトリウスさんとアインさんが私の心を読んでいるように、言う。
「でも……」
「コズエ様、貴方は善性すぎます。それではまた生き辛くなってしまいますよ」
「そうですね、生きづらさから貴方は逃れて神々に見初められ、始祖の森に来たのでしょう?」
うん、そうだ。
そういうことになっている。
まぁ、ぶっちゃけると神様の雷に直撃して死んだのもあるんだけどね。
「まぁ、梢様、そのように暗くならず。せっかく飴を作ったのですから、召し上がっていただかないと」
「じゃ、じゃあ……」
私は苺飴を選んだ。
カリとかじると薄い飴が崩れる感触、飴の甘さ、苺の甘酸っぱさが口に広がる。
「うん、美味しい」
「私共の居住区の畑で取れた苺です、流石に梢様の苺を使うのはどうかと思って」
「いや、そこは遠慮せずに使ってくださいよ」
「良いのですか?」
「ええ」
「では、明日の飴には使わせていただきます」
「苺だけじゃなく、他の果物も遠慮無く使ってくださいね」
「有り難うございます」
五郎さんはにこりと微笑んだ。
夜も更けて、子ども達は皆家へと戻っていった。
これからは大人の時間。
と言うわけで。
「酒じゃ、酒じゃー!」
大人達だけの祭りになる。
お酒は大人達が飲むようなビールはあまり好きではないので、私達は自宅へと帰ってのんびりお酒を楽しむ。
「他の人のペースに合わせると悪酔いして、翌日体調が悪くなりそうで」
「ええ、分かります。この村の──いえ、主にドワーフの方々はあまりにも酒を飲み過ぎる、それに合わせては私達が潰れます」
「同感だ」
私とアインさんの言葉にアルトリウスさんが同意の言葉を発し、ティリオさんは頷いた。
「で、何を飲みます?」
「この間飲んだ梅酒サワーをお願いします」
「私はレモネードで、お酒は今ちょっと」
「俺はブラッドワインでいい」
「はいはいー」
私はそう言って飲み物の準備をする。
私は炭酸が飲みたいので密かに作った自家製コーラの素に炭酸を入れた。
スパイスが効いてるので普段飲んでたコーラとは別物だが、これはこれでありだ。
梅酒サワーを作ったら、レモネードを作り、冷えてるブラッドワインをグラスに注ぐ。
そして三人の前に置き、私のコーラは私の前に置く。
「甘くすっきりしていて美味しいですね」
「ええ、そうですねアイン様」
「やはり此処のブラッドワインは上質だな」
「そう?」
などなど会話をしながら、飲み物を飲む。
「そう言えば、コズエが飲んでいるものはまた新しいものか?」
「ええ、必要なスパイスを栽培することができたので作ったものなんです」
「薬、みたいなものか?」
「まぁ、そうなりますね」
私は苦笑いする。
今まで飲んでいたコーラはアプリの購入で仕入れれば直ぐ飲めるが、何となく最初のコーラというものを作りたくなったのだ。
「体調が悪いのですか?」
「違う違う、そういうのじゃないよ」
心配そうなティリオの言葉を私は否定する。
ただの好奇心だ。
「一口飲ませていただいても?」
アインさんが言う。
「いいよ」
私はコップを渡した。
アインさんは一口のみこう言った。
「確かにスパイスが効いててますね、独特で薬のようにも感じます、飲みやすいですが」
「まぁ、最初はそう言う体で作られたらしいからね」
「そうなのですか」
「うん、らしいよ」
うろ覚えなのでそう答える。
コップを返してもらい口にする。
それからまた会話が始まる。
「じゃあ、私達は寝ますね」
「お先に失礼します」
「うん、アインさん、ティリオさん、お休みなさい」
「お休み」
「お休みなさい」
「お休みなさいませ」
そう言って二人を見送る。
「さて、私ちょっと畑の方行ってくるね」
「ああ、分かった。片付けをしておこう」
「お願いします」
そう言って私は家を後にした。
「……」
家の中にアルトリウス一人だけになると、アインとティリオが下りてきた。
「コズエは?」
「畑だ、その後はヴェロニカが誘って家に招かれる予定になっているとクロウ様から聞いた」
そう言ってると扉が開く。
クロウが入って来た。
クロウは鍵を閉めて三人に座るように言った。
「コズエの件で話があると聞きました」
「お主達にだけは言っておかねばならないと、神託が来たのでな」
クロウはそう言ってこう続けた。
「コズエの真実をお前達だけに話そう」
と──
五郎は割と優秀な善狐で気狐です。
弟の奈緒は努力が空回りするちょっと悲しい感じです。
一二三の母親が死んだ理由が瘴気が原因と聞いた梢は自分を責めます。
年数的にこちらに来ている状態でしたから。
ただ、運が悪かったと、一二三も皆割り切っています。
そして、クロウがアルトリウス達を集めて梢について話す様子。
神の神託で話される内容は──
ここまで読んでくださり有り難うございました。
次回も読んでくださると嬉しいです。
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