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夏の収穫

夕方目を覚ました梢はジャージに着替えて畑仕事をしようとする。

その途中でレイヴンが馬車でどこかに出掛けようとしているので聞くとドミナス王国に向かうことが分かった。

それを見送り、白亜の護衛も付け、今度こそ畑仕事をしようとすると──





 夕方私は目を覚ます。

「ふぁああ、今日も畑仕事かぁ」


 そう言って、ブラッドフルーツを囓り口の中に放り込む。

 顔を洗って歯磨きをして、ジャージに着替えて外に出る。


 すると村を出て行く馬車があった、レイヴンさん達だ。

 急いで駆け寄る。


「何処に行くんですか?」

「ええ、ドミナス王国の王宮に食材を卸しに、ついでにマジックボックスも」

「へぇ」

「そうすれば向こうは食材の保存に困る事が無くなりますしね」

「なるほど」

「うちは貴族達が使う早馬を使ってるので、一週間ほどで帰って来ますよ」

「分かった、行ってらっしゃい気をつけてー」

 見送ると、白亜が寄ってきた。

『コズエ様』

「うん、護衛宜しく」

『はい』

 白亜はレイヴンさん達の後を追った。

「うーん、さて何やろうか」

 と考えて、やっぱり畑だなと思い畑に向かう。

 年々広くなっている畑は収穫が大変、村の人達の手助けも必要。

 とか考えていたら──

『いとしごさま、みつみつはちみつ、いーっぱい』

「おっとすっかり忘れてた」

 蜂さんがやってきたので、巣箱にいき、蜂蜜の箇所だけを貰う、他は貰わない。

 大量の蜜が入った巣をゲットしたので、分離機で蜂蜜を絞る。

 大量の蜂蜜をゲットしつつ、少しだけ巣蜜も食べた。

 美味しかった。


 うまうま。


 大量の蜂蜜は皆で分けた。

 この森の蜂蜜は濃厚で甘いからね。

 でも、赤ちゃんにはあげないように注意はしておいた。

 赤ちゃんには毒だからね。

 ボツリヌス菌だっけ、怖し。


 さて、畑仕事をと重い、ジャガイモ等を掘り返し、ダイコン、カブなどを引っこ抜き、収穫する。

 実っているものは大人達が収穫する。

 子ども達は果物。

 マリア様や、イザベラちゃん達も参加して談話している。

 微笑ましい。

「このフルーツ美味しいわ」

 味見をしているイザベラちゃん達。

「葡萄っぽいけど、普通の葡萄より甘いよな!」

「うん、甘い。ビックリするくらい」

 イザベラちゃんとルフェン君とロラン君が美味しそうに……元の世界じゃお高くて食べられなかったマスカット種を食べている。

「こっちのキウイ緑と黄色があるけど、どっちも甘くて美味しいわ」

 緑の方が本来は酸味があるんだけど、私のところで育てると酸味は無くなるらしい。

「レモンは酸っぱくて食べられないよ」

「でも、コズエ様のはちみつレモンは美味しいわ」

「へー食べてみたいなぁ」

「あるけど、食べる、飲み物と食べ物二つあるんだけど」

「じゃあ、飲み物で!」


 私は自宅に行き、レモンを漬け込んだ蜂蜜を微炭酸割にした。

 三人分持って行き。

「はい、どうぞ」

「うわ、美味しい! でもしゅわしゅわしてる!」

「うーん、美味しい! コズエ様、もう一杯」

「あ、私も!」

「わ、私もお願いします!」

「あーずるーい!」

「僕らもー」

「何だ何だ?」

「私も飲んでみたいわ」

「へーい!」

 家に直行し、微炭酸割を大量に作り、アイテムボックスに仕舞うと戻って配り始める。

「うむ、美味い!」

「ああ、美味しい……」

「ああ、美味いな」

「美味しいわ」

「おいしいー!」

「しゅわしゅわー!」

 子どもも女性陣にも大好評。

 まだまだ、はちみつレモンの在庫はあるので渡せる。

 夏場にはぴったりだ。

 アンネ様がはちみつレモンをみて神妙な顔をしていたが、他の二人に促されて飲んでいた。

 なんかヤバい加護入ってたのかなぁ?





 ここの作物や愛し子様が作った物はどれもこれも加護や効能が恐ろしすぎます。

 素晴らしい効能が山ほどついていることが恐ろしいのです。

 過去の文献で読んだ愛し子の加護は聞いた事があります。

 食物はどうか分からないですが、愛し子が取り分けた果実を食べた病人は病が立ち所に治ったとかは書いてありました。


 そして聖遺物。


 愛し子が使ったとされる杖や、剣、また作ったとされるアクセサリーは今でも加護が残っており、各国で保管されている程のもの。

 私も実物を見たことがあります。


 ですが、その加護よりも、何倍も強い加護を持ち、効能も素晴らしい、がそれをたった月に250枚の白金貨で仕入れることにしたドミナス王国の正妃マリア様の判断が恐ろしいです。

 同席していたエリザは「それを続けていけるよう信頼関係は結ばないといけませんね」と穏やかに話していました。

 正妃とはやはり側妃とは格が違うと思わされました。

 鑑定することができる自分をこれほど無力で恨めしく思った事はありません。

 それに愛し子様は、基本森の外から出ない、自分達の結婚式の時特別にエンシェントドラゴン様の弟子という体で出てくると聞きました。

 王都の民は愛し子様の事をしっていますが、それでも愛し子様は外に出るのをしないようです。

 エンシェントドラゴン様はそれで良いと言っておられます。

 六百年前の処刑の事を今も怒っておられるのでしょう。

 当時のカインド帝国は強大でそれでもなんとかしようとしたけれども連合組んでも不可能だった、エンシェントドラゴン様も瘴気の穴を浄化する為にそこから離れられなかった。

 離れたら瘴気が吹きだし世界中を覆うから。

 だからエンシェントドラゴン様は愛し子様がこの村で生涯を終えることを望んでおられるのでしょう。

 ロガリア帝国が滅んだ今も、愛し子様を良く思わないものはいます。

 元デミトリアス聖王国のもの達、身動きが取れなくなったがイブリス教の者達。


 神々は積極的に今は呪いにいっています。

 愛し子を一度処刑という形で失ったのが大きいのでしょう。


「アンネどうしたの?」


 エリザさんが声をかけて来ました。

「いえ、私達はとんでもない御方と接しているのだなと……」

「それは当然ですわ。だって愛し子様ですもの」


 鑑定能力が無いエリザ様でも、何となく分かっているのでしょう。

 しかし、まだ受け入れきれていない私とは違い、あっさりと受け入れています。

 鑑定能力がないからではありません、この交易が王室にとってどれほど有用かを理解しているからです。

 私やマーガレッタさんが正妃ならこうはいかないでしょう。





「梅シロップの炭酸割りもありますよー」

「わぁい!」

「ちょうだいちょうだい!」

 夏の始まりとは言え暑いのは変わりないので、子ども達はおかわりを求めてきます。

 はちみつレモンだけでなく梅シロップもだしてきたらこちらも好評。

「まぁ、美味しい」

「それは良かったです」

「美味しー!」

「マーガレッタ、頼むからもう少し大人な対応を……」

「マーガレッタの良いところじゃないですか。それに今は公務ではないのでしょう、避暑にきているのでしょう?」

「ぐむ……」

 マルス王子、相変わらずだなぁ。

 でも、婚約者様達も豪遊するという訳じゃ無くて王室と国民の事を色々考えてる感じだしね。

 尻に敷かれているのがちょうど良いのでしょうな。


 マルス王子は苦労人気質なんだなぁ、思った。

 お父さんである国王様に似たのかな?

 いや待て、そんなに苦労人気質はしてなかった気がするぞ?

 んーわかんないや!


「コズエ様、父上達、今日も大物狩ったって!」

「良かったねルフェン君」

「うん!」

「だから、コズエ様、宴をやろう!」

「いいわね」

「やったぁ!」

「じゃあ、スープを今回はお願いできますか? あ、胡椒と塩はいつもの場所から使ってください」

「勿論ですコズエ様」

「アタシ達に任せてください」

「コズエ様は何を作るの?」

「かき氷を作ろうかなって」

「かき氷!」

 一二三ちゃんが反応した。

「一二三ちゃん、かき氷好き?」

「はい! 大好きです!」

「じゃあ色んな味を用意するね」

「はい!」

 さて、氷の妖精と精霊を呼んでくるか、夏場の仕事だけど良い氷を用意できるのはあの子達だけだもんね。







梢の平穏な夏の日の一日という感じです。

果実等を子ども達と共有しています。


途中マルスの側妃となるアンネの考察が入りますが、実は梢それだけでやべーことやってます。

畑仕事や蜂蜜貰ったりするだけでも相当すごい事やってます。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

イイネ、ブクマ、感想、誤字報告等有り難うございます。

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