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元皇女と元騎士の移住

話がまとまり、梢とクロウはドミナス王国へ向かう。

そしてそこでネヴィアとランスロットの髪を切り、枷の鍵を貰って始祖の森に戻る。

鍵で枷を外した二人に梢は家を提供し、そして食料庫を案内する──





 翌日、話がまとまったということでクロウと共に私はドミナス王国王宮へと向かった。

 案内された円卓の間でクロウは言う。

「ネヴィアとランスロットは始祖の森で預かることにした、だが条件がある」

「な、何でしょう?」

「髪を切らせろ、今までの人生と区切りをつける意味合いで、と梢が言った」

「ちょっとぉ⁈」

 一言余計なんだってーの!

「さすが愛し子様、では髪を切るのは貴方に任せよう」

「え⁈」

「独房へ案内する、こちらへ」

 正妃マリア様が部屋を出て案内すると、扉のかかった部屋が無数にある場所に来た。

「ここは?」

「独房の間だ、めったに使われる事は無い」

 独房の前の兵士に何か話しかけると、私は独房の中にクロウと案内された。

 其処には腰ほどに長い銀髪で、体が華奢そうな少女がいた。

(わたくし)の処刑が決まったのですか? 仮にも帝王の娘、覚悟はしており──」

「其方の処遇は決まった。始祖の森への追放処分だ」

「え」

 マリア様の言葉に、少女は紫の目をまん丸に見開いた。

「それは、どういう……」

「えーと私の村で身柄預かりとなりました。どうも今晩は、始祖の森の代表兼愛し子の梢と申します」

「そして我が愛し子を守護するエンシェントドラゴンだ」

「し、しかしそれでは罰になりません」

「追放処分と同時に其方のその長い髪を切らせて貰う」

 マリアが言うと、少女は髪を撫でてから静かに目を閉じ考え込むようにしてから口を開いた。

「畏まりました、全て愛し子様の御心のままに」

「じゃあ、髪の毛切らせてもらいますー」

 私は複数の鋏をアイテムボックスから出し、それでじょきじょきと長い髪を一端切り、それをアイテムボックスにしまうと、髪の毛を整えるように切った。

 結果、少女の髪の長さはショートボブ程になった。

「すみません、何せ素人なもんで……」

 クロウに鏡を持ってもらい、私も鏡を持って後ろを見て貰う。

「……ずいぶんとすっきりしました、これで皇女の私とはお別れということですね」

「そういうことです」

「ランスロットも同じく?」

「そうなりますね……」

「あの、愛し子様。彼の髪は私が切りたいのです、お許し頂けますか」

「あ、いいですよ」

「おい、良いのか」

「ちょっと髪型がアレになりそうなら手を貸せばいいし」

 と言うことで、独房を出た彼女は両手に手錠をかけられて兵士に連れて行かれる。

 私達はマリア様とその後をついていく。

 一つの独房が開けられると、声が聞こえた。

「ネヴィア様⁈ その御髪は⁈」

「私達は始祖の森への追放処分となりました、愛し子様のお慈悲で」

「愛し子⁈」

「あ、どうも愛し子です……」


『愛し子様だよー僕らの「愛し子」』

『だよー』


「……妖精と精霊が言うなら事実なのでしょう、まさか吸血鬼だとは……」

「あはは、よく言われます」

「あまり愛し子を侮辱すると我が黙っておらんぞ」

「エンシェントドラゴン様ですね、失礼しました……」

 分かる人には分かるんだ。

「今までの自分と決別する意味で髪を切ることになったのです、ランスロット。貴方の髪を切らせてください」

「ネヴィア様がそう仰るなら」

 私は少女──ネヴィアさんに鋏を貸して、ランスロットさんの髪を切ってもらった。

 肩よりも長いランスロット髪を丁寧に切っていく。

 もしかしてランスロットさんの髪が長くなったらネヴィアさんが切っていたのかな?

 とか思っちゃうくらい丁寧にきって、ランスロットさんの髪は男らしい短い髪になった。

「仕方ないが二人には始祖の森に着くまで手錠と足枷をつけて貰う」

「分かっております」

「承知しております」

「じゃあ鍵は私が預かって……」

 二人の鍵を預かる。

 城の外まで兵士さんが二人を連行しつつ、私とクロウも城の外に出る。

 クロウはドラゴンの姿に変貌した。

「お二人共乗ってください──」

 二人はクロウに乗ると、私も乗った。

『では失礼』

「夏になったらまた伺います」

 マリア様はそう言って頭を下げた。

「お待ちしております」

 私はそう応えた。

 クロウは飛び上がり、そのまま始祖の神森へと向かう。



 私の家の前に着地すると、二人は下り、私は二人の手錠と足枷の鍵を外した。

「お二人の家へ案内します」

「はい」

「畏まりました」

 手錠と足枷と鍵をアイテムボックスに収納し、二人を元々アインさんとティリオさんが住んでいて、ネヴィアさんとランスロットさん用に改装した家に案内した。

「此処がお二人の家です。寝室は別々にしてますので」

「お気遣い痛み入ります。コズエ様」

「感謝いたします。愛し子様」

「じゃあ、食料の貯蔵庫へ案内しますね、村全体で共有しているので自由に使って良いですよ」

「「え⁇」」

 二人とも信じられないという顔をした。

「うちの畑と果樹園と田んぼ、冬以外はあっという間に作物とかが実って収穫できるので食うに困らないんですよ」

 信じられないものをみるような顔をする。

 まぁ、そうだよね。

「まずは見て貰いましょうか」

 と案内して、見て貰うと大きい作物達に唖然としていた。

「こんな、大きな野菜、初めて見ました」

「私もです」

「これはまだ小さい方ですよ、貯蔵庫に入らない食材は私のアイテムボックスに入れてますから……」

 巨大カブとか巨大ダイコンとかまぁ色々……

「これがまだ小さい……?」

「一体どういう畑なのですか?」

「あー、昨日収穫したので明日あたりにはそれが分かりますよ」

 と私は言う。


 嘘は言ってない。

 言ってないぞ!


 驚いてる二人に、それ以上は言わない。

「コズエ様ー新しい人来たの?」

 ルフェン君が近寄ってきた。

「ああ、ネヴィアさんとランスロットさんね」

「じゃあ宴しようよ、父上もかーちゃんもロドノフの爺さんも喜ぶぜ!」

「そうね、宴にしましょうか。今日は豚汁でいい?」

「トンジル⁈ やったぁー!」

 ルフェン君は走って行ってしまった。

「あの、トンジルとは……?」

「豚肉を使うんだけど、この村ではフォレストボアの肉で作る汁物……スープの一種ですね。肉と野菜がたっぷり入っているので割と評判は良いんですよ、まぁ最初色を見たら土を水に溶かしたみたいな色でびっくりすると思いますが」

「はぁ……」

「じゃあ……シルヴィーナ!」

 声を張り上げるとシルヴィーナがやって来た。

「何ですか、コズエ様」

「私は料理をしなきゃならないので。この二人の村の案内を宜しくお願いします」

「畏まりました、お二人とも私が案内いたします」

 と言って歩いて行ったので、それを見送り、村の中にある台所というか炊事所?

 まぁどっちでもいいや、そこで鍋を取り出し、野菜の皮をむき、肉を切り、火を通してから出汁と水を入れ、煮立たせて味噌を溶かす。

 良い匂いが漂ってきた。


 実家のかーちゃんは芋類ならなんでもいいと思ってサツマイモを入れたことがあるが、そうすると汁が甘くなりすぎて私は好きじゃ無かった。

 なのでジャガイモか里芋に限る。

 ダイコンも入れるし、妖精と精霊の力で本来なら二三年かかるこんにゃく芋がわずか一週間で大量に収穫でき、それをクラフトでこんにゃくにしているのだ。

 いやぁ、クラフト能力様々だな、おかげでかぶれないし。


 ちなみに、鍋は村の中央に置いてやっている、其処まで具材を運ぶのは面倒くさいがまぁ、これもこの村ならではだと思ってくれれば良いだろう。


 ルフェン君が各居住区を回ってくれたのかみんな集まってきた。


 肉も焼き始め、米も炊いている。

「さぁ、皆で食事をしましょう! 飲んで食べて、おしゃべりして楽しく過ごしましょう!」

 と私が言うと、皆「おう!」とか「はい!」とか声を上げた。


 ご飯は女性陣がよそい、肉は男性陣が焼く。

 私は豚汁をよそう。


 ちなみに、別個でブラッドフルーツのスープを作っていた。

 まぁ、肉で出汁を取ったものなのでスープだけなら吸血鬼の方も食べられるそうだ、他は食べられないからダンピール勢が食べている。

 まぁ、豚汁と比べて量は少ないけど。

 ブラッドスープとでも名付けようか、まんまか、やめとくか。


「ブラッドフルーツの絞り汁に美味いこと味付けをしているから、良い味だ」

「そう言ってくれてなにより」


 アルトリウスさんのお墨付きを貰った。

 私も食べて美味しいと感じたが、他の人がどう感じるかは分からないからね。


 あ、なんかグレイスさん達吸血鬼勢、ブラッドワイン片手にスープたしなんでる、非常に貴族風に見えるぞ。

 子ども達は用意したスープに満足したのか今度は作り置きしてるクッキーとゼリーを食い始めてる。


「いいなぁ、菓子食べられて」

「ちょっと待っててね」


 私はティリオさんに鍋を任せて大急ぎで果物を取り出しフルーツポンチを作ることに。

 かなり大きな器に入れて、サイダーも使って。


 作り終えアイテムボックスに入れて乗せる丸太も用意。


 そして村の中央に戻り、たき火から離れた場所にフルーツポンチを取り出す。

 器とスプーンはアイテムボックスに一杯入ってるからそれに入れて子ども達に渡す。


「冷えてる、美味しい! シュワシュワ甘い!」

「美味しい!」

「美味しいです、お父様!」

 はー、と息をつく。

 料理のレパートリー増やした方が良いんかなと私は遠くを眺めた。







髪を切るのは色んな意味があると思います。

気分転換だったり、季節に合わせたり、区切りをつけたりと色々。

今回は区切りの意味で切りました。


梢の中では既に二人は村の住人扱いです。

村人も、前回で受け入れる心構えをしていますし。


そして豚汁、サツマイモのところは実体験、甘くなります、私的には合いませんでした。

我が家ではジャガイモか里芋で作るようになりました、あの甘さ以来。


梢は、クラフト能力もありますが、それでも料理のレパートリーを増やさないとと悩み中です。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

イイネ、ブクマ、感想、誤字報告等有り難うございます。

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