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ロガリア帝国滅亡、一方その頃始祖の森では……

クロウは手紙の内容を見てから七日後に始祖の森を出発しロガリア帝国へ向かった。

ロガリア帝国は他の国々に攻められていた。

クロウもそれに加勢し、ロガリア帝国の兵器を炎で燃やす。

そして、王宮に向かい、玉座にすがりつく者達を見据える──





「……」

 クロウは自宅で手紙を読み直していた。


 エンシェントドラゴン様

 我らブリークヒルト王国と連合を組んでいる国々で話合った結果、この手紙が届く七日後に、ロガリア帝国に攻め入ることになりました。

 その際はどうかお力添えを。


「ロガリア帝国か、カインド帝国時代から何一つ変わっていない忌々しい国め」


 クロウは空中に映る映像を見て顔を歪ませる。



『愛し子を早く連れてこぬか!』

『そして血を搾り取って我らの土地に蒔くのだ、きっと愛し子の血だ、よい妖精と精霊寄せの餌となろう』

『吸血鬼なのだ、デミトリアス神に反するものだ! いくらいたぶっても構わぬだろう!』



 其処まで聞いて映像を切った。

「つくづく救いがたい輩、お前達の高慢な血は一滴たりとも外には出さぬ。その汚れた土地を更に己達の血で汚すが良い、愚者共」

 ぎりっと握りしめた手からは血が流れていた──



 そして七日後の朝。

「シルヴィーナ、梢は?」

「就寝しております」

「我は出掛けるが、その間の森の守護は任せたぞ」

「はい、クロウ様」

 シルヴィーナは頭を垂れる。


 クロウは走りだし、飛び上がると体をドラゴンへと変貌させ、一気に巨大化し、飛んでいった。

 国々を越えて、ロガリア帝国の前まで来た。


「エンシェントドラゴン様だー!」

「進軍せよ、突撃ー!」


 各国の兵士達がロガリア帝国へと侵入し、兵士達を屠っていく。


 クロウは火を吐き出し帝国の兵器を焼き焦がして行く。

 逃げ惑う、ロガリア帝国の兵士と騎士達。


 国民元い奴隷化された者たちは兵士達と共に来た魔導師によって隷属の首輪を外されていく。

 それを見て相当高位の魔法使いを呼んできたなとクロウは感心した。


 城へ逃げ込む者達を見て、クロウは人の姿になり、地面に着地する。

 剣を片手に、城へと向かう。


 騎士達が襲いかかってくるが、一閃でなぎ払い、鮮血を吹き出させる。

「お、お前は何者だ⁈」

「エンシェントドラゴン、とでも名乗れば満足か?」

 玉座にすがりつく愚者共と、それを守ろうとする愚者共を見据えクロウは口を開いた。

「え、エンシェントドラゴンだと⁈」

「何故そのドラゴンが今‼」

「貴様等の愚かしい行動に我慢の限度が来た、この六百年間見逃してやったがな」

「何故今になって……!」

「それはお前達がよぉく知っているはずだ。愛し子を捕まえてどうする気だったのだ?」

「い、愛し子は吸血鬼だと言うではないか! どう扱おうが構うものか!」

 教皇らしき存在がわめき散らす。


『やっちゃう⁈』

『やっちゃおうよ、エンシェントドラゴン様‼』


「神々に問おう、この愚かしき者達に裁きを!」

「「「「「ぎゃああああ‼」」」」」

 愚者達の全身に真紅の茨模様が広がっていく。

「いだいいだいいだいいいいいい‼」

「だずげでだずげで‼」

 のたうち回る愚者達をクロウは冷めた目で見つめていた。

「神々の赤い茨の呪いでそのまま苦しんで生きれば良い」

 そう言うと、背後から兵士達がやって来た。

「エンシェントドラゴン様、国王と教皇達は⁈」

「そこだ、神々の怒りに触れて呪われ苦しんでいる、好きにせよ」

「「「は!」」」

 クロウはその場を後にし、再びドラゴンの姿になって飛び立った。


 争いとは無縁に近い、あの森に戻るために。

 皆が待つ始祖の森に帰る為に。





「ふぁーあ」

 夕方目覚めると、リサさんとアルトリウスさん達が食事をしていた。

「お早うございます、コズエ様」

「お早うございます、リサさん」

「お早う、コズエ」

「お早うございます、アルトリウスさん」

「お早うございます、コズエ」

「お早うございます、アインさん」

「お早うございます、コズエ様」

「お早うございます、ティリオさん」

 夕方だけど、朝の挨拶をするのはもう慣れた。

「今日のご飯はなんですかー?」

「パンと、野菜と肉のスープと、焼いた肉ですよ」

「わぁ、美味しそう、食べる」

「ちゃんと塩胡椒で味付けしましたから、お気に召すかと」

「ありがとう、ティリオさん」

 私は椅子に座り、出された食事に口をつける。

 パンはほかほかサクサクで美味しかったし、スープは野菜の旨みと肉の旨みが出て美味しいし、塩胡椒も良いあんばい。

 しっかりと焼いた肉も塩胡椒のおかげで旨みが引き立つ。

「ああ、美味しい」

「それは良かったです」

 ティリオさんが微笑む。

「ところで、クロウは帰って来た」

「クロウ様は……」

「え、何かあった?」

「瘴気で汚れたと行って村の奥の温泉に行っております」

「なんやねん、心配して損して気分だ」

「村の温泉は瘴気の汚れを落としてくれるからな」

「ところで、何処行ってたんだろう」

「私達も聞かされていない」

「ってことは、クロウに聞いても今は答えてくれないな、仕方ないそれで受け入れるとしよう」

「だろうな」

 そう言って食事を取り終えるとジャージに着替えて外に出た。


「よし、今日も一日頑張りますか!」


 そう言って、畑仕事と聖獣のお世話と、果樹園の手入れを頑張った。


 数日前のユグドラシルの件というか、世界樹の件で果物、作物が今まで以上にばかすか収穫できるので、アイテムボックスに入れている。


 貯蔵庫は緊急で二つ目を作り、広めにしたけどもう満杯。

 どっちも。


 だから、ジャムやワインを大量生産したり、宴の日々を送っている。



「コズエ様ー!」

 仕事を終えて、村に行くと、子ども達がわらわら寄ってくる。

「今日も宴ですよね!」

「父上達が捕ってきたジャイアントディアー、フォレストボア、フォレストベアーとかが一杯なんだぜ!」

「Oh、それは凄い」

「アルトリウスさんさんも手伝ってくれたんだぜ、シルヴィーナさんも!」

「本当すごいねー」


「コズエ様、今日はどんな酒がでるんじゃ⁈」


 ロドノフさんが、声をかけていた。

 既にワインを飲んでいる。

 この呑兵衛め。


「そうだなぁ、ビールと、フルーツビール、ワイン、シードルを出そうかな」

「フルーツビール?」

「果物も使ったビールよ、普通のビールが苦いって人には良いかなぁ」

「ジェリカが好きそうじゃのぉ」

「ところでジェリカさんとガンツさんは?」

「む、ガンツの奴仕事では文句のつけようがないから、仕事が終わった後ではジェリカと散歩しようが儂は文句が言えん」

「あらら……」

 若いっていいなぁ。

「もし、ジェリカさんとガンツさんが結婚とかになったら」

「もうやけ酒じゃ!」

 その様子にクスクスと笑ってしまう。

「やけ酒ってロドノフのおっさんいつも飲んでるじゃん」

「そうそう!」

「かー! まだ小童共には分からんか!」

「なんだよぉ!」

 子ども達とロドノフさんのやりとりがちょっと面白くて笑ってしまう。


「コズエ、目覚めたか」

 そんな事をしてると、クロウが温泉のある方からやってきた

「クロウ、お帰り、温泉どうだった?」

「うむ、相変わらず文句なしだ」

「今日も宴だから出る?」

「無論、時間になったら呼べ」

 そう言われたので、私は宴の準備に向かった。


 以前作った豚汁が好評だったので、今日は豚汁を作ろうと思う。


 私は大鍋を運び、外に作った調理場で料理を開始した──







ロガリア帝国滅亡です。

クロウの力もありあっさり滅亡しました。

最期は神々の怒りで教皇と国王達は呪われましたし。


梢はそんなことも知らず、のんびりと過ごしています。

戻って来たクロウも何も説明してくれないので説明してくれるのを待っています。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

イイネ、ブクマ、誤字報告等有り難うございます。

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