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月夜に複数の訪問者

アエトス一家の定住が決まり、他の吸血鬼家族の屋敷と吸血鬼地区を作り拡張と開拓を行った梢。

梢はくるという三家族についてヴェロニカ達から情報を聞くことに──





 ヴェロニカさん一家の定住が決まり、屋敷を作って他の屋敷も作り、吸血鬼地区の拡張と開拓も終了したのが二日前。

「コズエ様、三人から連絡が来ました、是非。と」

「それは良かった……ところでどういう方々」

 ローレンス夫妻の屋敷の客間に皆して集まって話を始める。

「まず一人目はアシュトン・ヴァンダーデ。三人家族だ夫妻、娘の。全員吸血鬼だ」

「リサさん、情報は?」

「ヴァンダーデ家は長い歴史のある飲まずの一族と夫から……」

「ふむ、じゃあ次」

 ヴェロニカさんが紙をめくる。

「二人目はレイド・エフォドス。エフォドス卿。吸血鬼の四人家族だ。夫婦娘、息子の」

「エフォドス卿ってあの武勇で有名な? 夫から聞きましたが、イブリス教徒を何度も返り討ちにし、自分の首を狙うものは叩きのめしてきたという」

「Oh、武闘派」

「ちなみにものすごい愛妻家だ」

「……私締められないかな」

「いや、締められるとしたら多分私達の方だろう」

 アルトリウスさんがフォローいれるが、それはそれで不味い。

「よし、最後は?」

「ライガ・エスペルト。エスペルト卿と呼ばれている。彼も武人だ。人間の妻とダンピールの娘がいる」

「よし、分かった、でいつ頃これそうか尋ねてみました?」

「皆運良く近くにいるから、速ければ明日到着するそうだ」

「そうですか……」

「どうした梢」

 クロウが声をかけて来た。

「いや、作ったお屋敷嫌がられるかなぁって……」

「嫌がるはずはない、恐縮はしそうだが」

「はぁ」

 なんとも言えない声を出す。

「まぁ、しかし武人が二人か手合わせしたがらないと良いのだが」

「あーそれは分かります、めちゃ不安」

「その時は我が止めるから安心するがいい」

「はいはい、エンシェントドラゴン様だもんね、クロウは」

「エンシェントドラゴン様、その時は頼みます」

「ああ」

「じゃあ、私はブラッドワインとブラッドティーの準備してますね」

「助かります、コズエ様」

「いいんですよー」

 と言って、クラフト小屋へ向かい、ブラッドティーの茶葉とブラッドワインを回収する。

 その間に、クラフトでダンピールの子用のクッキーと両方用のゼリーをブラッドフルーツで作る。

「よし、明日が楽しみ……ではないな、ちょっと緊張」

 家族ぐるみで来るのだ。

 何かトラブルが起きたらどうしよう。

「……眠れない」

 やることを終えて棺桶に入ったが緊張のあまり眠れない。

「コズエ」

「アルトリウスさん、眠れない」

「寝るんだ」

 プシュっと何かがかけられる、すると猛烈に眠くなり、私は眠りに落ちた。



「……」

 夕方ぬぼーっと目を覚ます。

「コズエ様!」

 シルヴィーナが部屋に入ってくる。

「髪もぼさぼさではありませんか、さあ身なりを整えましょう。今日は『飲まずの吸血鬼』の方々が来る日ですよ!」

「……あ゛──‼」

 覚醒し、慌てて風呂に入って髪を乾かしつつ整えて、シルヴィーナに結って貰う。

 そしてジャージ姿ではなく、レトロクラシックなブラウスとスカートをはき、ハイソックスを履く。

 そしてヒールの低い靴を履く。

 いつもと違う御洒落だけども品のある格好になった。

「コズエ、そろそろ来るらしい」

「うん、出迎えに行こう! ……その前にアルトリウスさん、昨日私になにしたの⁈」

「寝付けないと騒ぐから、睡眠香水を吹き掛けたのだ」

「睡眠香水?」

「依存性はない、即効性はある。ただ値段が金貨20枚だからそれなりにする」

「一言言ってから使ってください」

 そう言って村を通るとクロウの気配がない。

 否、クロウの気配は森の入り口にあった。

 複数の気配がある。

「急ごう!」

「ああ」

「はい!」

 森の入り口へ向かった。





「これはエフォドス卿、貴方にこの地で相まみえるとは」

 貴族服に身を包んだ吸血鬼が言う。

「それはこちらの台詞だ、エスペルト卿。貴殿とは手合わせしてみたかった」

 無骨な貴族衣装に身を包んだ吸血鬼が笑う。


「貴方、止められないの?」

「いや、無理だ。エフォドス卿も、エスペルト卿も私のような若輩者では止められんよ」


 少し遠い場所から馬車からそっと顔を出す、二人の吸血鬼。


 武人二人が武器を構える、片方は二つの刀が垂直な時計の針のように重なった剣、もう片方は巨大な槍。

 二人は武器を振り下ろす。


「そこまでだ」


 その二つの手を黒い手が掴む。


「何も……エンシェントドラゴン様⁈」

「エンシェントドラゴン様、この地にいらっしゃったのですか?」

 二人は武器を下ろし、アイテムボックスにしまう。

「うむ、この土地は聞いているだろうが愛し子がいる。我はその護衛よ」

「その愛し子とやらは……」

「もうじき来る」





 私は二人の見知らぬ吸血鬼の男性の腕を掴んでいるクロウを見て安堵した。

 止めてくれたんだと。

「クロウ、有り難う」

「当たり前の事だ、礼には及ばん」

「其方が愛し子か?」

「はい、梢、御坂梢と申します」

 そう言って頭を下げる。

「その響き極東のものに近いな、梢か。」

「エフォドス卿。コズエ様をそのように言うのは止めたまえ。吸血鬼だが、愛し子でもあるのだぞ」

「これは失礼したヴェロニカ殿。そして無礼を許されよ、愛し子様」

「ヴェロニカ嬢、失礼した。そしてお目にかかれて光栄です、愛し子様」

「ようこそ、私の管理する始祖の森へ。エフォドス様、エスペルト様そして──ヴァンダーデ様」

 馬車が現れ、そこから一人の吸血鬼の男性が下りてくる。

「ははは……二人の剣幕に思わず闇の精霊と妖精に頼んで馬車を防御と隠してもらっていたのに、さすが愛し子様、バレてしまいましたね」

 苦笑する吸血鬼の男性に、私はにこりと笑う。

「では、始祖の森を案内しましょう」

 そういって馬車達を男性陣が誘導し始める。

 誰かが乗っている気配がするが、彼らの家族であることを理解しているので黙っておくことにする。


 正直緊張しすぎて胃液吐きそう。


 でも、我慢。

 終わったら吐く、絶対吐く。

 そう言い聞かせて我慢する。



「今回はこちらのお屋敷で話合いを致しましょう」

 ローレンスさんの屋敷に到着すると、グレイスさんが出迎える。

「ようこそエフォドス様、エスペルト様、ヴァンダーデ様。そしてそのご家族方。私グレイス・ローレンスは歓迎いたします」

「あの吸わずのローレンスか」

「はい」

「手合わせ願いたい──ええ、冗談ですとも」

 クロウがじろりと睨むとエフォドス様は前言撤回した。

「では、我が屋敷の客間へ皆様」

 そう言って客間へ移動する。

 馬車に乗っていた人達も下り、客間へ移動した。



 客間に入ると、ダンピールの子達にブラッドフルーツのゼリーとロシアンクッキーをだし、吸血鬼の子にはゼリーだけ出した。

 飲み物はブラッドワインとブラッドティーの二つから選んで貰う。


「このブラッドワイン……夜の都の一級品など比較しようがない美味さだ」

「本当、こんなブラッドワイン初めて……」

「ふむ、このようなブラッドワインもあるのだな、長生きはしてみるものだ」

「ええ、本当に」

「こんな高級そうなブラッドワインを無料で振る舞う? 凄すぎる……」

「おとうさま、ブラッドティーもとてもおいしいです」

 和気藹々と家族間で会話を始める彼らを見て微笑む。


「では、自己紹介から参りましょうか」


 さぁ、踏ん張りどころだぞ、私。


 私は私に気合いを入れた。







三家族が始祖の森に来訪しました。

梢は結構心労マッハですが頑張っています。

リバースとの戦いです。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

イイネ、ブクマ、誤字報告等有り難うございます。

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