表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/308

新たな世界樹ユグドラシルを育てる

神様に連絡を取る梢。

そしてそこで既にユグドラシルは枯れていることを知らされる。

新しいユグドラシルを育てて欲しいと言われるが、梢の胸中は複雑で──





 スマホを取りだし、神様に連絡。

「ちょっと、神様! ユグドラシル枯れるとかいう単語出たんですが、枯れませんよね⁈」

『すまんの、枯れる』

「ハァー⁈」

 嘘でしょう⁈

『もうユグドラシルは枯れておる、その時お前さんが切り倒してくれ』

 ちょっと待ってお世話になってたユグドラシルさんが枯れただと⁈

 しかもその時切り倒せと⁈

 鬼かアンタは神様!

「神様の鬼! 人でなし!」

『そう言われてもユグドラシルは今日までよく働いてくれたんじゃ、愛し子のいない世界で』

「……」

『そう暗くなるでない、ユグドラシルは生まれ変わるんじゃ、その為に切り倒して場所を確保せねばならんのじゃ』

「その後どうするんですか‼」

『各地の神森から、ユグドラシルの種の欠片を貰う、貰ったときは光る雫だが、全てを会わせると種になる』

「え、種から育てるんですか?」

『そうじゃよ、種からだから苗になるまでは梢が育ててくれんかの?』

「わ、分かりましたけど……」

『流石に今日はもう遅い、明日ユグドラシルを切り倒してくれ』

「……分かりましたよ」

 私は通話を切りとぼとぼと歩き、ユグドラシルの木がある場所に行く。

「ユグドラシルさん」

 返事は無い。

 葉っぱは全て落ち、枯れ果てていた。

 木も乾いているような感触がした。

 恩人が亡くなってしまったような悲しさを抱えながら、私は項垂れながら帰路についた。



『どうしたんじゃ梢』

「……ユグドラシルが枯れたって、それで神様にユグドラシルを切り倒せって言われた……」

『道理で森の空気が違う訳じゃ、あの苗木二本に名前をつけたのは正解じゃったな』

「クロウは何も思わないの? 皆の為に頑張って枯れちゃったんだよ⁈」

『梢、それも全て世界樹ユグドラシルが選択したことだ。後悔などないだろう』

「でも……」

『お前のなすべきことは次のユグドラシルを育てることだ。次代に繋げるとはそういうことだ』

「……」

『お前一人では酷だろうから、我が木を切り倒すのに立ち会おう、その後世界樹達から種の雫を受け取るぞ』

「うん……」

 中々納得できないまま、家について棺桶で眠る。



「コズエ様、お早うございます」

 少し悲しそうな声のシルヴィーナが棺桶をノックしていた。

「……お早う」

「コズエ様、目は大丈夫ですか?」

「うん……」

 私は目元をこする。

「……枯れてしまったユグドラシルをお切りになるんですよね」

「クロウから聞いた?」

「はい、クロウ様から。先にユグドラシルの前で待っていると」

「うん、すぐ行く」


 私は夕食を食べる気にはならないが、腹に何か入れなければとブラッドフルーツを囓った。

 血の濃厚な味がする、吸血鬼だから美味しいと感じる。


「じゃあ、今日も色々行く場所があるから……」

「コズエ、無理をするなよ、目元が赤い」

「そうです、無理をなさらず」

「コズエ様、抱え混まないでください」

 三人の言葉は優しい、それは嬉しいけどやらなければいけない事がある。

「大丈夫、やらなきゃいけないから、私が」

「そうか……では行ってこい」

「待ってますから」

「お待ちします」

 自分達がついて行っても、手伝えないのが分かっているのか三人はそう言った。

 そう、私がやらなきゃいけない事。



 ユグドラシルの枯木の前に来るとクロウとシルヴィーナ、ハイエルフ達が居た。

「木は一端儂が受け止めるから遠慮無く切れ、その後アイテムボックスに入れるぞ」

「分かった」

 私は頷いて、斧を持つ。

「今までありがとう、次も宜しくね。ユグドラシル」

 斧を二三度切り込みを入れるように切ると──

 すると、衝撃を受けてかユグドラシルの木が倒れていった。

 それをクロウが受け止め、私のアイテムボックスに入れる。

 そして根っこをハイエルフの方達が魔法で掘り起こし、地ならしをした。


「じゃあ、ユグドラシルの雫受け取りに行ってくるから」

「我も同行しよう」

「うん」

「行ってらっしゃいませ、コズエ様」

 皆に見送られて、まずユグディスの元へ行く。

『よく来てくれました、これがユグドラシルの種の雫です』

 碧色の雫が手の中に収まる。

 私はそれを瓶に入れた。

『新しいユグドラシルを、どうかお願いします』

「はい」

 次にユラシルの元へ向かう。

 こちらも碧色の雫を落とし私は瓶で受け止めた。

 より深く鮮やかな碧色になる。

「じゃあ、他の神森に行こう」

「分かった」

 そうして私は神森へとクロウの背中に乗って飛び立った。


 名無しの神森、妖精の神森、精霊の神森、木霊の神山、そして最期に──


 神域の神森にやって来た。

「ユグドラシルの種の雫を貰いに来ました」

『お待ちしてましたこちらへ』

 そう言って近づくと、ゆっくりと碧色の雫が落ちてきた。

 私は瓶でそれを受け止める。

 すると雫は光り、茶色い雫型の種になった。

『ある程度成長するまで大事に育ててください』

「分かりました」

 私は種を持って神域の神森を後にした。


 家に戻り、大きめの鉢に土を入れて種を植え、水をやる。

 ちゃんと下には受け皿を用意している。

「これ、普通に植物育てる感覚でいいのかな」

「愛し子が育てる事に意味がある、普通で良かろう」

「コズエ様、お世話をお願いしますね」

「うん……この部屋には念の為鍵かけとくか」

 私は急遽ユグドラシルを育てる部屋に鍵を取り付けた。


「大事に育てますからね」

 私はそう言って鉢を撫でた。


 その後、いつも通りの畑整備や畑仕事、聖獣のお世話を終えた私は、寝る前にまたユグドラシルの種を植えた鉢の場所に行った。

「あれ、もう土が乾いてる。水を上げなきゃ」

 そう言って急いで湧き水の水を汲み、その水をじょうろで土にかける。


『ユグドラシル様、大きくなぁれ大きくなぁれ』

『愛し子様と僕らで育てますから、大きくなぁれ』


 妖精が言ってるが、ユグドラシルだ、早々簡単に大きくならないだろう。

 そう思いながら眠りについた。




「ふぁああ」

 棺桶からでると、ティリオさんが覗きこんでいた。

「大丈夫ですか」

「うん、大丈夫だよ。もう」

「それは良かった。ちょうど良いので夕食を一緒に取りませんか」

「うん」

 ティリオさん達とリサさんと食事を取る。

「今日のご飯は?」

「フォレストボアと野菜のスープと、パンです。貯蔵庫にある塩と胡椒を使わせて貰いました」

「うん、いいよ。有り難う」

 そう言ってスープを飲む。

 油の甘みと野菜の甘み、肉の旨みと野菜の旨み、それに塩胡椒で味付けされていて、美味しかった。

 パンは私が用意したクロワッサンなので、温かくは無かったがサクサクしていて美味しかった。

 そしてミルクを飲み干す。


「さて、お仕事しましょうか」


 私はそう言って畑仕事の前に、湧き水から汲んだ水をユグドラシルの種に与える為にユグドラシルの為の部屋に入った。


「あれ?」


 ちょこんと緑色の芽がでていた。

「これって……」

『すっごい早いよ愛し子様! もう芽が出た!』

『今までで一番早いんじゃ無いかな?』

「オゥイエ」

 なんとも言えない言葉を発する私。

 しかしすぐ気を取り直して、水をかける。

「しっかり大きくなるんだよー」

『大きくなって愛し子様のお役に立つんですよー』

『それまではしっかり守るからねー』

 水をかけ終わると、扉に鍵をかけて、鍵をアイテムボックスに入れて出掛ける。

 ユグドラシルを育てる役目はあるが、それと同時に今までと同じく働かなきゃいけないんだ。

 私はそう思いながら、その日も畑仕事と聖獣のお世話に熱中し始めた。







今まで色々とやりとりをしてきたユグドラシルが枯れてしまい、しょげる梢。

しかし、クロウの言うようにしょげてばかりではいられませんから梢は切りたおし、新たなユグドラシルの種を取得します。


そしてその種を大事に育てようと思って居ると一日で芽が出るという自体に。

梢と妖精と精霊の力なのでしょう。

これから苗木へと芽が出たユグドラシルの種は育つのです。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。


イイネ、ブクマ、誤字報告感想等有り難うございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ