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ドミナス王国防衛と白狐の一族について

戻って来たクロウは黒い靄を体にまとわりつかせていた。

そんなクロウに梢は触り、靄を消す。

靄が消えると人型になったクロウはロガリア帝国がドミナス王国に侵攻しようとしていると話──





「クロウ⁈」

 慌てて駆け寄り、私が触ると靄が消えた。

「アレ?」

 首をかしげていると、クロウおじちゃんは人の姿になった。

「全くえらい目に遭った」

 クロウはそう言って体をゴキゴキと鳴らした。

「何があったの?」

「帝都を見にいったら凄まじい瘴気があふれかえっていてな、城と帝都の一部を燃やしてすぐ退散した」

「何でそんな事……」

「ロガリア帝国は今ドミナス王国に侵攻しようとしている」

「何ですって‼」

「まぁ侵攻している連中は燃やして生き残った奴らは逃げ出したが……」

「でも何か対策を……」


『コズエ様ー国境に丈夫な木を植えましょー』

『僕らが力を合わせれば一時間で立派な木に!』

『大砲も、火も、斧も瘴気も通さない頑丈な木の柵を作ろう』

『コズエ様!』


「……それが一番かもしれないね」

「よし、我が連れて行ってやる」

「無理しないでね?」

「分かっている」

 私はドラゴン化したクロウと共にドミナス王国と帝国の境目の土地に向かった。





「此処だ」

「広い、けどクラフト能力で……でや!」

 一気に木々が芽を出した。


『ようしここからは僕らの出番だ』

『任せて!』

『いっくよー!』

『えーい!』


 にょきにょきにょき


「うわお」

「ふむ」

 分厚く大きな木々が何百本と生えていた。

「性質は神森の木と同じだ。無理に切ろうとすれば呪われるだろう」

「え゛」

「まぁ、切るなんぞ破壊するなんぞできんだろうがな‼」

 クロウは高らかに嗤う。

「さて、梢を村に戻したら事の詳細をドミナス王国の王室に伝えねばな!」

 クロウは嗤ったままいい、ドラゴンになると私を乗せて村に戻った。



『じゃあ言ってくるぞ』

「うん」

 クロウはそう言って私を置いて飛び立っていった。

「さて、温室の方行ってくるか」

 私は家へと戻り温室の作物を収穫してアイテムボックスに保存していった。





 十数分後のドミナス王国の王宮にて──

「アルフォンス陛下! ドラゴンが王宮の前に!」

「何⁈」

「アルフォンス陛下と正妃マリアを出せと……」

「しかもエンシェントドラゴンを名乗っております!」

「何?」

 正妃マリアが考え込む、そして──

「アルフォンス、行くぞ」

「正妃がこう言い出したら仕方ない、行こう」

 二人は王宮の中庭に向かった。


『正妃マリア、この姿では久しいな』

「エンシェントドラゴン様、お久しゅうございます。此度は何ようで」

『ロガリア帝国がこちらに侵略行為を開始し始めている』

「な、何ですと⁈」

「アルフォンス、落ち着け。エンシェントドラゴン様、何かしたのでしょう」

『その通りだ、神森の木と同じ木で雑木林──いや、壁だな、それを作った愛し子がな』

「おお、あの愛し子が」

『其方等は万が一の防衛任務にあたれ、良いな』

「畏まりました、ところでエンシェントドラゴン様」

『何だ』

「愛し子が春になったら結婚すると聞きましたが、本当ですか?」

『ああ、本当だ』

「イザベラ達だけでなく、私も招待していただきたい、あの愛し子の花嫁姿は目に焼き付けたいものだ」

『それなら構わん』

「ま、マリア。そうすると国政は私一人で──」

『たまには一人でやれ』

「エンシェントドラゴン様の言う通りだ」

 アルフォンス国王はがっくりと肩を落とした。

『では、防衛の件頼んだぞ』

「了解いたしました」

 クロウはそれを聞くと飛び去った。

「私も愛し子を見てみたいのだが……」

「諦めろ、お前は国王だからなマルスが結婚するまでは当分無理だろう」

 そう言うとアルフォンス国王は再度肩を落とした。





「ふぁ~あ」

 クロウが帰って来てから、私は寝て起きた。

 クロウは「これで大丈夫だろう、多分な」と言ってきた。

 まぁ、大丈夫なら良いんだけどね。

 その後「正妃も来るらしいぞ、お前達の結婚式に」って言われてファー⁈

 となったりした。

 正直やってられんので現実逃避をすることに。

 温室の作物収穫と編み物と裁縫でガタガタと洋服とか作ったりしていた。

 ついでにクラフトで和服も。

 そんなことをしているととんとんと扉を叩く音が。

「はーい」

「梢様!」

「一二三ちゃんじゃない、どうしたの?」

「お父様がこれを持って行くようにと!」

「これは……蜂蜜?」

「貴重なものなので!」

 えへんとする一二三ちゃん、嬉しいけど残酷に事実を伝えておく。

「嬉しいんだけど、この村だと蜂蜜は珍しいものじゃないのよ、ほら」

 壺の何倍もの蜜が入った瓶を見せる。

「あうう……」

「だからこの蜂蜜は一二三ちゃんの家で使ってね、それと」

 私は一二三ちゃんにネックウォーマーをかぶせて首まで持って行く。

「これは?」

「襟巻き、いやネックウォーマーって奴かな。今寒いでしょう? だから少しでもそれで暖めてね。それと……」

 梅酒を袋に入れて渡した。

「これは?」

「梅酒、梅で作ったお酒よ、お父さんに飲んで貰って」

「はい! でも私が貰ってばっかりです……」

「いいのよ、一二三ちゃん。分け合うのがうちの村のやり方だから、さぁもう冷えてきたしお家にお帰りなさい」

「はい!」

 一二三ちゃんが鞄に蜂蜜の瓶も入れて帰宅するのを見送るとふぅと息を吐いた。

「一二三ちゃんは年齢以上にしっかりしてるように見えて──」

 言いかけて止めた。

「そう言えばあの子何歳?」

 今更ながら気になった。


 夜、居住区に集会場を作っていた奈緒さんの所に行き声をかける。


「梢様、どうしたのですか?」

「一二三ちゃん、しっかりしてますけど一体いくつなのです?」

「七つです」

「……七つにしてはしっかりしていますね」

「妻が居ない分我が家では祖母が──長が厳しくしつけていたのでここに来てからは嘘のようにのびのびとしています。ですので此処に連れてきてよかったですね」

「いや、父親として其処は守りましょうよ」

「ふがいなくて申し訳ない、祖母にもよく言われていました」

「ありゃま」

 大人になっても言われるならもう改善しようがない。

 が、責任感はあるのは最初に話した時に伝わったので、もう少し成熟すれば──ってこの人いくつだ。

「あのー貴方はおいくつで?」

「300歳です」

「だったらもう少ししっかりせーよ!」

「本当に申し訳ない」

 シルヴィーナさんより年上じゃないか。

「死んだ奥様は?」

「280歳です。中々子宝に恵まれず漸く産まれたのが一二三です」

「なるほど……長さんは白狐なんですよね」

「白狐の一族と言われていますが、祖母は天狐です」

「つまり四本の尻尾か……かなり強い御方ってことだよね。後善狐って事ですよね」

『梢詳しいの』

「まぁ、それは覚えていたから。空狐はいないの?」

「愛し子様が生きてた時代には居ました、長として。しかし愛し子様が処刑され、木霊の神山が瘴気に汚染されたのを見て命と引き換えに木霊の神山を瘴気から救いました」

「なるほど……」

「愛し子様が処刑されたのを聞いて酷く嘆いておられたと祖母は言っておりました。愛し子様はいつの時代でも慈悲深く、種族関係無く友として受け入れ歩んでくれる御方であったと」

「それからしばらく経つまで愛し子()は現れなかったもんね」

「そうですね」


 神様が何故愛し子をこの世界に誕生させなかったのか非常に気になったので後で聞こうと私は決めた──







侵攻を阻止するために、国境部分に木を生やした梢。

そのことを梢を村に戻してから伝えたクロウ。

クロウは梢を人前に出すのがあまり好きじゃない様子、今のところ。


白狐の一族の現在のリーダーである奈緒はちょっとばっかり頼りない。


また奈緒との話で、梢は愛し子を誕生させなかったか疑問を持ったようです。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。


ブクマ、イイネ等、有り難うございます。

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