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ブリークヒルト王国呪術事件~一方梢は~

ブリークヒルト王国のファミリア侯爵家では次女のジスティーナが愛し子である梢を侮辱して呪われた事で家族内で騒動になっていた。

ジスティーナを庇うような母と、咎める父。

その間に、第二王子であるクランが近衛兵達と共にやって来て、王宮の妖精と精霊の愛し子からの言葉を伝える、その内容は──





 ジスティーナが帰還後ブリークヒルト王国、ファミリア侯爵家の屋敷では──


「うう、ジスティーナ。こんなに呪われた挙げ句婚約破棄までされるなんて……」

「痛い、痛いぃぃ……‼」

 ジスティーナは激痛に苦しめられていた。

「だから言っただろう‼ 始祖の森には手を出すなと私も、クラン王子も! 婚約破棄されて当然だ! 国の方針に逆らったのだから! 挙げ句愛し子を侮辱しただと⁈ 呪われても仕方ないではないか」

「貴方!」

 父母の間の空気が険悪になる。

 その時誰かが扉を叩く音がした。

 執事が出ると、クラン第二王子だった。

「クラン殿下‼」

「すみません、ファミリア侯爵。どうしても気になる事がありまして」

「気になる事?」

「ええ、王宮お抱えの妖精と精霊の愛し子が言うのです『ジスティーナ・ファミリアと後妻リリスが、レジーナ・ファミリアを呪ったと妖精と精霊達が言っております。だから二人を、愛し子を侮辱したジスティーナと、娘を王子と結婚させるべく義娘レジーナを呪った義母であるリリス・ファミリアを私達は呪い返すと精霊と妖精達が言っております』と」

「なんですと⁈」

「そ、そんなの嘘ですわ‼」

「近衛兵、夫人の部屋の本棚を調べろ、青い本達をだ」

「や、止めて‼」

 血相を変えるファミリア夫人。

「そしてもう一つ『ジスティーナ・ファミリアはクレス・ファミリアの子どもではない。リリスが結婚直後に外でまぐわった結果生まれた子だ』とな」

「リリス、お前……」

「嘘ですわ! 嘘ですわそんなの‼」

「血の検査をすれば分かるはずだ──」

 クランがそう言うと兵士達は何かを持って居た。

 それは全て呪術道具だった。

「使用痕跡はリリス・ファミリア。使用対象がレジーナ・ファミリアであることが分かりました」

「クレス・ファミリア殿。どうする?」

「ジスティーナ。リリス。私はお前達と今日限りで縁を切る! 二度と我が屋敷に近づくな! 出て行け!」

「そんなあんまり……きゃあああ‼ 痛い、痛い、痛いぃいいい‼」

 大量の呪いで肌が全て真っ黒になっていた。

 真っ黒な茨の模様だらけになっていた。

「あ、ああ」

 ジスティーナもより茨の呪いが濃くなっていく。

 すると、ガチャリと扉が開く。

「お父様、何かあったの?」

「レジーナ! 体は⁈」

「分からないけど、楽になったの……まだ足がふらつくけど、大丈夫よ。これから運動すれば」

「そうか、良かった!」

 クレスは愛娘レジーナを抱きしめた。


 ジスティーナとリリスは近衛兵に連れられて、家から牢屋に連れて行かれるようだった。


 同じ貴族とは言え、クレスの方が身分的にも高いし地位も高い、そんな相手の娘を呪うなどという行為は許されるべきではないと。


「リリスの実家も調べられることになるだろう」

「お義母様と、ジスティーナが私を……」

 レジーナは少し悲しそうだった。

「レジーナ」

「クラン殿下……」

「君が呪われて婚約者じゃなくなったとき、頭が真っ白になった、でも呪いも解け、呪っていた相手も分かった今もう一度言わせてくれ。私の婚約者になってください、レジーナ」

「クラン殿下……ええ、ええ勿論です……‼」

「父上と母上に報告してもう一度君と婚約しよう」

「はい……」


 事情を全て話したクランはレジーナと婚約を再び成立させた。

 そして後に、宰相として兄である国王を支える有能な補佐として名を残すことになる──





『帰って来たよー』

『来たよー』


「あ、お帰りー」

 精霊と妖精達が帰って来た。

 わらわらと。

 こりゃ、相当呪われとるな、と私をブスと言った相手に心の中で合掌した。

 妖精と精霊はクロウとアインさんの元に行って何かお話中。

 何だろう?

 まぁ、いいか。

 後で聞けば。

 私はそう思い、その場から離れた。


「♪~~」


 鼻歌を歌いながらマフラーを編む。

 新しく来た人達の分だ。

 クラフト能力もあるのかサクサク編むことができる。

 しかも細かく編める、これはいい!


『梢やーい』


 ドアと叩く音が聞こえた。

 クロウおじちゃんだ。


「はいはいー」

 扉を開けると小さいドラゴンバージョンのクロウがそこに居た。

『中に入れて温かい飲み物くれんかの?』

「はいはい」

 クロウおじちゃんを中に入れて、砂糖入りのホットミルクを出す。

 コップじゃなくて器に入れて。

『おお、有り難いのぉ』

 ピチャピチャと舐めながら飲んでいる。

「で、要件は?」

『そうじゃった。梢、あの厚化粧の娘完全に呪われきったらしいぞ』

「呪われきった?」

『精霊と妖精の呪いは肌に黒い茨の模様がでる、それが全身を覆ったらしい』

「……何で?」

『なんと、その娘はある貴族の後妻と貴族の娘──ということらしいんじゃが、父親と血がつながってない上、戸籍上姉に当たる人物を母と共に呪っていたのじゃ!』

「うへー貴族のドロドロだぁ」

『まぁそうじゃの。で妖精と精霊が呪った上に呪詛返しを喰らって母子共々全身呪われて苦痛の中にいるようじゃ』

「そうなんだ……」

 貴族の欲望のドロドロ感が酷い。

 私は関わりたくないからこもってよう、強く思った。


「あれ、ところで呪われてたお姉さんは?」

『うむ、妖精と精霊がその呪いを二人に返してやったから呪いから解放された。あと、どうやら元々はその姉が第二王子の婚約者だったらしく、二人は再度婚約を果たしたそうだ』

「きっと二人ともまだお互いが好きだったんだろうね」

『そうじゃの』

「不幸な結婚が一つ減ってよかったと思うことにするか」

『そうじゃそうじゃ』

「……で、呪われた二人は?」

『牢屋に連れて行かれて、後に実家の連中も含めて裁判沙汰になるようじゃな、まぁあそこまで呪われた娘を引き取る男なんぞおらんて』

「そんなに?」

『人間に呪われたならまだしろ、精霊と妖精に呪われたんじゃぞ? 怒りを買ってはいけない連中の怒りを買ったのじゃ、誰も婚約しようと思わんて』

「なるほど……一つ賢くなった、かな?」

『梢はこの世界に疎すぎるからの、まあ前の記憶がほとんどすっ飛んでるんじゃ仕方ないかの』

「あははは……」

 嘘だが、仕方ない。

 異世界から来たなんて言っても信じてくれないだろうし。

 いや、言ったら余計面倒な事になるな。

 なのでこのままだ!

『ん、またマフラー、とやらを編んでいるんじゃな?』

「うん、人が増えたし、冬場にあって困る物じゃないし」

『相変わらず梢は優しいの』

「まぁ、たくさんある黄金羊の毛を少しでも消化したいのもあるかな……糸にしたもので編んでるけど、毎日採れるからちっとも減らないの」

『なら春が来たら黄金羊の毛をレイヴンに頼んで売ってきて貰えばよかろう』

「あ、そうか」

『妙なところで鈍いのぉ』

「悪かったね!」

 どうせ私は頭の回転が悪いですよ!

『そんなにふてくされんでも……』

「ふーんだ」

『ところで、あの三人と何か進展とかは……』

「何もないよーいつも通り」

『かーっぺ! あの三人何しとるんじゃ!』

 クロウおじちゃんは怒る。

『デートくらいする気概はみせんか‼』

「デートするような場所ある?」

『……無いの』

「でしょう?」

 村人のいるエリアとは違い新しいエリアを開拓しなければならない。

 いや、待てよ、冬の間に花見エリアを作っておけば村で宴する必要なくならね?


 そうと決まれば私は立ち上がる。


「ちょっくら開墾してくる」

『なにをじゃ?』

「広場、なーにも無くてお花だけがあるエリア」


 そう言って家から出て行った。





『梢の考えている事はいまいち理解できんの』

 クロウは欠伸をする。

『まぁ、何かやりたいことが見つかったならそれで良しとするか』

 ホットミルクを飲み終えたクロウは姿を変えて梢の家を後にした。











あの後、悪い事をした母子は裁かれ、牢屋行きになりました。

母子の実家もただじゃ済まないでしょう。

そして呪われていた女性レジーナは愛する第二王子であるクランと再度婚約を結ぶことができ幸せな結末を迎える事ができました。


一方梢は、なんか大事だったんだなーから、あ、やっぱり大事ドロドロ、という風にお外へ行く意欲がそがれていきます。人間関係のドロドロとか嫌いですから梢。

デートする場所がないので作っちゃう梢はアグレッシブですね。

クロウに焚き付けられると何かしようとしたくなるんでしょうか?


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。


ブクマ、イイネ等有り難うございます!

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