デミトリアス聖王国の滅亡~神様からのご報告~
梢とクロウが会話をし、神森の真実を梢は知る。
そこでデミトリアス聖王国についても知り、どうしたものかと考えていると──
「そう言えばさぁ」
「どうした、梢」
クロウの所で、ノートをめくりながら言う。
「何で始祖の神森は、正式にはなんで始祖の森なの? 神森なのに、神森付かないの?」
「始祖の森はな、神森だが、神森ではない。始祖の森に神が植えたのは世界樹だけだ」
「じゃあ、他の木々は?」
「世界樹が妖精と精霊達に命じて生やしたものだ、他の神森は森事態が神が手を施している」
「でもさ、それならなんで神森減っちゃうわけ?」
「神森の天敵は瘴気、カインド帝国が滅亡後、愛し子がいなくなり各地で瘴気が発生、結果神森は瘴気に犯され枯れ果てた。今残っているのは瘴気から逃れた森と特別な森だけだ。神域の森は特別だが、世界樹が枯れてしまった」
「愛し子がいなくなった……って事は代々愛し子は生まれて居たってこと?」
「その通りだ、いつの時代も愛し子がいない時代は無かった。だがカインド帝国の処刑の一件で愛し子が現れなくなったが──」
「今は愛し子である私が、いる、と」
「そうだな、愛し子がいるだけでも瘴気は減る、一部例外を除いて」
例外と聞いて思い浮かぶのは一つ。
「ロガリア帝国?」
「その通り、あともう一つデミトリアス聖王国」
「へ?」
「デミトリアス聖王国は最初はあの土地ではなかったが国を作る度に瘴気が大発生を繰り返し、結果瘴気を吸い取る神森、神域の神森のあるあの場所に国を作った」
「もしかしてあの世界樹が枯れたのって……」
「鋭いな、デミトリアス聖王国が原因だ」
「やっぱり⁈」
でも気になった。
「でもここもデミトリアス教が国教だよね、なんで平気なの?」
「デミトリアス教と言っても宗派が様々ある、デミトリアス聖王国宗派と、この国の宗派はまるっきり別物だ」
「イザベラちゃん達の所も?」
「そうだな」
一つ疑問が残る。
「んーでも瘴気は色んなところにあるんでしょ? だからここの世界樹以外は枯れちゃったんでしょう?」
「その通り、瘴気は悪意でもある、悪意の多いところに瘴気が貯まる」
「じゃあ、デミトリアス聖王国って悪意の巣窟ってこと⁈」
「そうなるな」
呆れて口を開けてしまう。
「もう神様、自分の宗教なんだからもうちょっとしっかり管理してくださいよぉ」
と呟くとスマホが鳴る。
「はいもしもし」
スマホの通話に出る。
『儂じゃよ、神様じゃよ』
「はいはい、神様ー。いやーマジどうなってるんですか⁈」
『すまんのう、元はデミトリアス教は一つしかなかったんじゃが、前の愛し子の件で宗派が分かれてしまったんじゃ』
「マジかよ」
『一つは愛し子となる魔女を殺せ、他は愛し子は魔女ではないというものじゃ』
「カインド帝国時代にですか?」
と尋ねる。
『そうじゃそうじゃ、当時の教皇は前者でな、愛し子を処刑した際前者の連中は永遠に瘴気とに共に生きろと儂が呪った』
「マジかー……」
『勿論反省し、同じ事を繰り返さないと誓いそれを守るのであれば儂は呪いを消すつもりじゃった』
「じゃったってことは、つまり──」
『あやつらなーんも反省しとらんよ』
ごつと壁に額をぶつけた。
地味にいてぇ。
「もういっそ、国潰した方が早くないですか」
『そうじゃの、いつの間にか人間至上主義になっとるし、悪化の極みじゃ。それにおぬしに危害を加えた、我慢する必要はもうないじゃろ。じゃ、儂国潰してくるの』
そこで通話は切れた。
「……」
「梢、神はなんと仰っていた?」
「もう我慢する必要ないからデミトリアス聖王国潰してくるって」
「ついにか、さて我も神託が来たら動く──」
最期まで言う前に立ち上がった。
「梢、しばし村を空ける、それまではシルヴィーナ達とこの森を守れ。まぁ不法侵入者はさまようことになるから問題ないだろうがな」
そう言ってクロウはドラゴンに姿を変えて飛び去ってしまった。
「あー……」
呆然と見送る私。
「コズエ様!」
「ああ、シルヴィーナ」
「クロウ様が飛び立っていってしまいましたがどうなさったのです?」
「んー村人に話さないでくれる?」
「はい」
私は神様からの話があったと言う内容を除外して多分デミトリアス聖王国を神託で滅ぼしに言ったと思う事を伝えた。
「あの王国ついに滅びるのですね!」
「なんか嬉々としてない?」
「勿論です! あの国はエルフや、ハイエルフの同胞達を奴隷として扱おうとして襲ってくる連中ですから!」
「……」
カインド帝国でやらかした連中と宗教にまともな奴いねー!
いや待て、これだとミカヤさんが入るな、あの人は例外例外。
「まぁ、取りあえずクロウが戻ってくるまで何事もないことを祈るよ」
「ですね……あ、コズエ様、お願いがあるんです」
「なんです?」
「のーと、とえんぴつが足りなくなってきたので……」
「了解、ちょっと待っててね」
そう言って私は家に戻りノートと鉛筆をアプリで購入、目の前にどさっと現れる。
それらを抱えて家から出るとアルトリウスさんがきょいっとノートの一部を持つ。
「全く、アレでは足元が見えないだろう」
「ありがとう、アルトリウスさん」
「礼には及ばん」
シルヴィーナの所に持って行くと、寺子屋の所に持って行くことに。
ちなみにこの場所も密かに改築している、子ども達が増えた時に増築して子ども達が勉強できるようにしてもらった。
ミカヤさんは宗教の話はせず、シルヴィーナと一緒に読み書きや算数などを教えている。
二人交代で。
私はこっちに来た時神様に色々付与されたおかげか、読み書き、会話に問題は無い。
神様達のおかげでトラブルに巻き込まれたりもするが、最初不便をしないようにしてくれたので感謝はしている。
家も、農具も斧なども最初に必要なものは全て用意してくれた。
それから自分で作っていった。
もっと広くなるかは分からないが、ここで暮らす住民が不自由しないことだけを祈る。
二日後──クロウは帰って来た。
ボロボロのエルフさん達を連れて。
「奴隷とされていた連中だ、放置するのも気分が悪くてな。悪いが連れてきた」
「ああ、確かに愛し子様の魔力だ……でも吸血鬼の魔力も混じってる……」
エルフの方方は口々にそう言った。
やはり吸血鬼は忌避されるんだなぁ。
「コズエ様の事を悪く言うのは其処までですよ!」
シルヴィーナがやって来た。
「ハイエルフ様……!」
「コズエ様は神々に愛された御方なのです! それに吸わずの吸血鬼もこの村にはいます! 吸血鬼の方方の悪口も其処までです!」
「し、しかし……ハイエルフ様」
「しかしも──」
「まぁまぁ、さっさと隷属の奴壊して解放してお家にお帰りいただきましょうよ」
と私は言って宥める。
「それなら……」
シルヴィーナは口をとがらせる、不本意なようだ。
私はさっさと隷属の指輪を壊してやった。
パキンパキンパキンと指輪が壊れる。
15人程いたエルフの指輪を破壊した。
「じゃ、お帰り願う?」
「お、お待ちください! 愛し子様!」
「ん?」
全員焦っているようだ、何に焦っているのだろう。
「瘴気で汚れきった身では里に戻っても入れさせてもらえません! どうか、どうかお慈悲を」
「どうすりゃいいのこれ?」
「一晩村に泊めてやれ、取りあえず全員温泉で身を綺麗にさせろ。シルヴィーナ、新しい服の用意を頼む」
「分かりました」
「じゃあ、一晩泊まっていってください。クロウがそう言うならそれで良くなるんでしょう」
まぁ、私は確証は持てないがね!
クロウが温泉に連れて行く、シルヴィーナはハイエルフの居住区に向かった。
服の調達だろう。
さて、私は──
軽快な音楽と共にスマホが鳴る。
私は家に直行し、スマホに出た。
「もしもし、神様?」
『私だ、闇の神だ』
「闇の神様ですか、お疲れ様です」
『創造神が直々に国を滅ぼしたからな、各国は難民の対応に追われている』
「でも入れないんでしょ」
『その通りだ、仕方ないからそやつ等はイブリス神の国へ向かったそうだ』
「またはた迷惑なことになりそう!」
『それを避けるために神は神託を下した「始祖の森へと立ち入るなさすればお前達一人残らず呪われよう、呪いによって末代となろう」とな』
「まぁ、末代になったら終わりだしね」
元の世界は末代になるなんてよく聞く話だけど、こっちは違うっぽいし。
『神の使いエンシェントドラゴンも来たのだ、もう聖王国は作られないだろうし、あそこの瘴気も薄まるだろう』
「世界樹がより生長しやすくなるってことですね」
『その通りだ』
「それは良かった」
私は安堵の息を吐く。
だって、せっかくあんなに育ったのに枯れちゃったらヤダからね!
デミトリアス聖王国、あっさり滅びましたね。
神域の神森の世界樹も、これでより生長するでしょう。
始祖の森、始祖の神森については、未だに統一するか悩んでます。
正式には始祖の森設定なのですが……
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