付き合い始めました、それと久々の世界樹巡り
三人の告白を受け入れた梢は三人に抱きしめられるがその後、死亡フラグ丸見えの発言をされ、受け入れて良かったと安堵することになる。
いつもの畑仕事などの作業をしてから森の世界樹の見廻りと堆肥と水やりをし終わるとクロウに外の神森達に植えた世界樹の苗の見廻りをしたいと頼み村から飛び立つ──
「私で良ければ、三人とお付き合いさせてくれる?」
わー言っちゃったよ、言っちゃった!
すると三人は仕事の手を止めて私に抱きついてきた。
「コズエ、感謝する」
「ありがとうございます、コズエ様!」
「嬉しいよ、コズエ」
「ぐ、ぐるじい」
いくら吸血鬼でも力一杯抱きしめられれば苦しいので声を上げると、漸く開放してもらえた。
「断られたら、母をシルヴィーナに任せてイブリス教の連中を皆殺しの旅に向かうところだった」
「私達は帝国に戻り一矢報いるつもりでした」
うわー!
断らなくて良かったー!
死亡フラグ立ちすぎだよ本当‼
「お願いだからそういうのは止めて、死んじゃいそうだから……」
「それくらいの覚悟で告白した」
「同じく」
「はい」
「実際そう言う行動取ったら私縁切るからね、次は言わないこと」
「分かった」
「分かりました」
「畏まりました」
久しぶりに頭痛が痛いと、言いたくなるレベルで頭が痛くなった。
本当、受け入れて良かった。
「じゃあ、仕事始めますか」
果実や野菜と言った作物の収穫に、聖獣のお世話と畜産物の収穫を終えると、久しぶりに私は世界樹の苗木達の様子を見に行くことにした。
始祖の神森の世界樹の苗木は既に苗木じゃないけど──
『育った育った!』
『僕ら頑張ったよ』
『見て見て!』
もう立派な木だった、神社にあるような太い木よりも太く大きい木。
『もっともっと大きくなるぞ! お母さんみたく!』
『僕らももっと頑張るよ!』
『応援してね!』
「うん、応援するよ」
そう言って堆肥と水をあげる。
もう一本の木も同じ位に成長していた。
『えへん、凄いでしょう!』
『僕ら頑張った』
『褒めて褒めてー』
「よしよし、頑張ったね、凄いね」
妖精と精霊を撫で、木を撫でる。
そして、堆肥と水をあげる。
村に戻り、クロウの家を訪ねる。
「クロウおじちゃんちょっといい?」
『ほほほ、なんじゃ?』
「他の世界樹の苗木の様子を見廻りしたいの、お願い」
『それくらいならお安いご用じゃ』
村の広場に出てクロウおじちゃんが大きなドラゴンになる。
「コズエ何処に行くのだ?」
「神森に植えた世界樹の苗木を見て回ってくるの、心配しないで、朝までには帰るから」
「コズエ様、お気をつけて」
「寄り道はしないように」
「分かってます!」
『ではいくぞ』
クロウおじちゃんは舞い上がる。
そして飛んで行く、景色から見て凄いスピードで飛んでるのが分かる。
結界を張ってるから私は何も感じないけど。
最初は妖精の神森、妖精の数が前よりもかなり増えていて、木も立派に育ちつつあった。
『僕育ってる、このままここの世界樹になれるかな?』
『なるよ、僕らがいるんだもの!』
「世界樹になってね、それが皆の願いだから」
『うん!』
堆肥と水をやって、その場を後にした。
次は精霊の神森、精霊の数がこちらもかなり増えていて、木も育っていた立派に。
『愛し子様、僕は無事だよ!』
『当然よ、私達が育ててるんだもの』
『そうじゃの、儂らが育ててるからの』
「じゃあ、このままお願いね」
『『はい!』』
精霊の元気な返事を聞いてから堆肥と水をやり、次の場所へ向かった。
向かった先は木霊の神森。
森つーか山だな、命名変更木霊の神山、なだらかな山だから勘違いしそうだけど山だ。
後、ここ極東の国だったりする。
山のてっぺんに着地すると。
「おおー」
他の木より大きな木が一本立っている。
『大きくなったよ、愛し子様』
『大きくしたよ!』
『どう!』
「うん、順調順調」
私はそう言って堆肥と水をあげて、次の森へと向かった。
名無しの神森、到着すると、他の木よりちょっと小さいがそれでも立派に成長した木があった。
「すごいねぇ」
『まだまだ、大きくならないと』
『だから頑張る』
『うん!』
「焦らずにね」
そう言いながら木を撫でて、私は堆肥と水をあげて、最期の森へと向かった。
神域の神森。
入り口で下りて、森の中を歩く、すると驚いた。
あの枯れ果てた木と同等の木に成長していたのだ。
「うわぁ、凄い……」
『ここは神域に近いのです、世界樹を植えれば、精霊や妖精も他の所とは比べものにならないほど活発化するのです』
『私たちはこの木を神域の世界樹として育てますわ』
『だから安心してください愛し子様』
「うん、わかった。お願いね」
そう言って堆肥と水をやり、森を出た。
「梢避けろ!」
「え?」
クロウに押し倒された。
「吸血鬼が神域の神森に入るなど忌々しい……!」
たくさんの人が弓矢を向けている。
「何も分かって無いようだな、この娘は神々の愛し子、エンシェントドラゴンである我を覗いて唯一全ての神森に入ることを許された娘よ!」
「そんな馬鹿なことがあるわけ──!」
「始祖の森の愛し子の話を知らぬわけではあるまいな?」
同様する人達に、クロウは畳みかける。
「デミトリアス聖王国の王に言え! 貴様らには災いが降りかかるぞ」
『降りかかるぞー』
『降りかけてやるー!』
クロウはドラゴンの姿になった。
『乗れ、ここを立ち去るぞ』
「う、うん」
乗ろうとすると、肩に矢が刺さった。
「痛っ‼」
『梢⁈』
「だ、大丈夫……」
矢を引き抜くと傷は消えた、が服に穴が空いてしまった、後で縫わないと。
「ぎゃあああああ‼」
『呪ってやるー』
『呪ってやるー』
私に当てたらしい人物は精霊と妖精から呪われていた。
『愛し子を傷つけたのだ、覚悟するといい!』
クロウはそう言って舞い上がり、飛んだ。
『すまんの梢。儂がついていたのに』
「仕方ないよ、乗るとき注意しなかった私も悪いし」
『いや、全面的に儂が悪い、今後このようなことは起きないようにしなければ』
「……ところで、デミトリアス聖王国って?」
『カインド帝国が国境としていたデミトリアス教の連中がカインド帝国から逃げ出し、新しく作った国じゃ。愛し子を魔女と扱い呪われた経歴を持つことから、聖王国つっても人数少ないし、今回の件で呪われるじゃろうて』
「なんでそんな人達が神域の神森に?」
『神域の神森と始祖の神森は特別でな、奴らは神域の神森を独占することで自分達の正当性を強調したいんじゃよ。まぁ、森に入れんから他の連中から嗤われておるがな』
これが俗に言う、ざまぁとかぷぎゃー! とか言う奴かな……
とか思いながら私は始祖の森に帰った。
ちなみに、帰った後、腕の服の穴を見られ、木に引っかけたと言おうとしたら、クロウが自分がもう少し気をつけてなかったから、私の腕に矢が刺さらなかった。
とバラしたおかげで三人から、何でごまかそうとしたと絞られました。
三人がクロウに乗ると言ったら。
クロウは──
「お前達乗せると余計やりづらくなる、だから大人しく待っていろ。お前達が怪我したら治らないだろうしな、梢と違って」
と言われてブーイング的な暴言を三人は吐いていたが、私が「事実だから諦めて」と言うと大人しくなった。
やれやれ、次は何もないと良いんだけどなぁ。
こうして梢はアルトリウス、アイン、ティリオの三人と付き合いが始まりました。
受け入れて良かったですね、身内から危うく死人が出るところでした。
そして神森達の見廻りをした時、最期のデミトリアス聖王国の連中に怪我をさせられました。
愛し子である梢に怪我をさせるなど、ただではすまないでしょう。
ここまで読んでくださり有り難うございました。
次回も読んでくださると嬉しいです。




