三人からの告白
アルトリウスと梢が会話をしていると、アインとティリオがやって来た。
梢は二人に紅茶を出す。
そこでも、自分の作った紅茶がとんでもない代物だと理解させられる。
その反応に、梢の疎さをアインが指摘する。
それに対し梢はぼかしながらも本心を口にする──
アルトリウスさんと会話をしていると、ティリオさんとアインさんがやって来た。
「仕事やってくれた?」
「勿論です」
「有り難う、二人とも寒かったでしょう。お茶入れるね」
「ありがとうございます」
「感謝いたします」
そう言って、椅子に腰掛けた。
なんか空気がひりつくが気にしない!
「はい、紅茶です、お好みで砂糖をどうぞ」
「これはこれは」
「豪勢ですね」
「そうなんですか?」
「ええ、コズエ様の紅茶の茶葉を市場に出せば貴族と王族がこぞって買う程のものです」
「……マジすか」
「それと砂糖、ここまで上質なものは見かけません、貴族と王族くらいですよ、砂糖菓子や砂糖を紅茶に入れるのは」
「庶民は?」
「運が良ければ蜂蜜ですね、でも蜂蜜も高価ですから……そもそも蜂が危険ですからね」
「……」
私、蜂と会話してタダで貰ってるけどなーと、思ったり。
「コズエはなんにでも詳しいようで、この世界に疎いようにも見えますが……」
「アイン様!」
「アイン」
まぁ、そうだよねぇ。
知りたくなるよね、でも嘘をつく。
「吸血鬼になる前の事はあんまり覚えてないんだよね、家族はいた気がするけど。ただ生きるのにつらさを感じていた事だけは覚えてる。それくらいかな」
「そうですか……尋ねるような言い方をして申し訳ない」
「いいんですよ、まぁだから私が話せるのはこれ位ですね」
「一人では寂しくないのか?」
「最初は一人だったけど、すぐシルヴィーナと出会ったし、村人どんどん増えていったし全然困らないかなーただ」
「ただ?」
「皆私を残して死んじゃうんだろうなって気持ちはある」
「コズエ……」
「コズエ様……」
「……」
少し黙っていたアインさんが口を開いた。
「すみません、コズエちょっと三人で話合いたいことがあるので席を外してくれますか?」
「いいですよー」
と我が家を出てクラフト小屋に果実を運び、ジュースとお酒、ジャムを造り始める。
後、ヨーグルトとかも作った。
「美味しく美味しくなぁれ、早く美味しくなぁれ♩」
そんな事を言いながら待っている。
『美味しくなぁれ、早く美味しくなぁれ』
『愛し子様のお願いだ、早く美味しくなぁれ!』
妖精達と精霊達が何か言ってるが、まぁ聞かないことにする。
今は。
そんなこんなでしばらくすると──
『愛し子様、僕らの「愛し子」が呼んでるから来て』
「はいはいー」
妖精と精霊がそう言ってやって来たので、私は家に戻ることに。
「はーい、戻ったよ。何? 手伝って欲しい事ができたとか」
そう言うと、三人は立ち上がり私の近くに寄ってきた。
「コズエ」
「コズエ様」
「コズエ」
「「「私達と付き合って欲しい」」」
「へぁ⁈」
思わず奇声を発する。
「ちょ、ちょ、ちょっと待って! どういうこと⁈」
「誰か一人選ばれるなんて私は嫉妬の炎で体が焼けそうだ」
「同じく、そして他の誰かが選ばれるのはもっと嫌です」
「ですから、私共をお選びください、コズエ様」
「え、えーと」
混乱の極みに陥った私は──
「クロウおじちゃんに相談してくる‼」
と、脱兎の如く逃げたのだった。
『ぶははは! やっぱりそうなったかの!』
事情を話したクロウおじちゃんはゲラゲラ笑ってそう言った。
「何、おじいちゃん知ってたの⁈」
『知ってるもなにも、お前さん以外の此処に棲む住人──ハイエルフ達はまだじゃが、それ以外はみんな知っとることじゃよ』
「NOOOOO‼」
思わず絶叫する。
「何でよりによって私なの……」
『お前さん、自分をどう思っているか分からんが可愛い方だと儂は思うぞ』
「はあああ⁈」
私が、可愛い⁈
ないないないないないないないない‼
「無いよ、私昔不細工言われてたもん‼」
『そいつらの目が腐っておるんじゃ、口もな』
「う゛ー……」
『第一、お前さん不用心なんじゃよ。家の鍵開けっぱなしで悪人が入って来たらどうする』
「いや居ないし、それに入ってくるのはシルヴィーナくらいだもん」
『では女のシルヴィーナに明日聞いてみろ、自分は不細工かどうか、ハイエルフは目が肥えてるから正直じゃぞ』
「うー」
取りあえず、シルヴィーナが起きるまでクロウおじちゃんの家に待機した。
起きる時刻になると、畑に戻る。
家を空けると誰も居ない。
まぁ、流石に人の家に勝手に居座るような方方ではないしね、あの三人。
「あ、コズエ様」
「シルヴィーナ聞きたいことあるんだけど」
「なんでしょう?」
「私って不細工?」
「はあああああああああああ⁈⁈」
素っ頓狂な声をだした。
すげぇ顔。
「何処のどいつですか⁈ そんな事を口にした愚か者は‼」
「えっと記憶の限りだと前居た場所で」
「極東の国の男は見る目がないんですか⁈ それとも目玉腐ってる⁈」
「ええと……」
「コズエ様、コズエ様は大変愛らしい、可愛らしい方です」
「はぁ……」
「美人とはまたジャンルが違うのです、可愛い御方なのです、眉毛も整っており、目はぱっちりと、唇は薄紅色、肌は健康的な色、吸血鬼とは思えない可愛い御方なのです」
早口で言う、なんか怖いぞ。
「美人なんか三日で飽きますよ、よほど愛がないと。コズエ様は末永く愛される可愛らしい顔をしております」
「は、はぁ……」
「……もしかしてアルトリウスさん、アインさん、ティリオさん達から何か言われました?」
ぎくり。
鋭いな、もういいや正直に言っちゃおう。
「他の誰かとそう言う関係になるの待つ位なら、自分達三人全員と付き合って欲しいって」
「コズエ様なら大丈夫でしょう‼」
「そういう発言勘弁して!」
大丈夫じゃないから相談してるんやろ‼
「コズエ様」
シルヴィーナが手を握る。
「私はコズエ様の幸せを何よりも心待ちにしております。コズエ様は多くの困難と闘ってきました、多くの人達を救ってこられました。だから幸せになってもいいんですよ」
「でも……」
「ドミナス王国だって正妃と側妃が居るくらいなんですから、愛し子様が三人の愛する人を持ったって別にいいでしょう!」
「……そうかな?」
「というか、村人達はそれも受け入れてますよ、あの三人がどれほど貴方を愛しているか、よく知っているからです」
「……」
「どうか、幸せを手放さないように……お休みなさいませ」
「うん、お休み」
私は家に戻り、棺桶に入った。
「幸せになっていいのかな……」
と、目を閉じる。
「梢や、久しぶりじゃの」
「え⁈」
目の前に神様がいる。
「もしかしてまた死んだ⁈」
「いや、おぬしの夢枕に立ってるだけじゃよ」
「あ、そうですか」
焦ったが、冷静になれた。
「おぬし、断ろうかなとか考え取るじゃろ、いかん、いかんぞ!」
「断ったらどうなるの?」
「三人行方をくらませて死亡する」
「げええええええええ‼」
なんでぇ⁈
「そのくらいの覚悟を持って告白したんじゃ、おぬしは受け入れるんじゃ」
「でも」
「でもも、ヘチマもないぞ、幸せへの近道が三人と結婚することじゃ、よいな」
「……」
「返事は」
「はい!」
「よし、じゃあ行くが良い」
私は目を覚ます。
畑に出ると、三人がいた。
「あのね」
「どうしました?」
「どうした」
「どうしされましたか?」
「私で良ければ、三人とお付き合いさせてくれる?」
と、口にした──
アルトリウス、アイン、ティリオの三名に告白された梢。
混乱しクロウに相談しに行ったら爆笑されて村のほとんどの住人が三人が梢の事を好いているのを知っていると言われて大パニック。
元の世界で不細工と言われてますが、梢は可愛い女性として扱ってます皆が。
つまりアレです、好きな子に悪口言うアレ、救いようがないですよね、可愛いと思ったなら可愛いと言うべきだと私は思います。
その為、梢は自分の容姿に自信がないですが、美人のシルヴィーナに色々と言われたのと、神様に後押しという名の脅しを貰い、告白を受け入れることに。
三人の反応はいかに。
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