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王家の事情とシルヴィーナ達の結婚式

夏の終わりが来て、イザベラ達は学校があるということで帰る事に。

その際どんな学校か、梢はクレアから聞くことができた。

帰路につくイザベラ達を見送り、白亜に護衛を頼む梢。


その後何をしようか悩んで居ると、シルヴィーナから結婚式の相談を受けることになる──





「では、そろそろイザベラやマルスの学校もあるので帰りますね」

「ああ、学校があるんですか」

 夏の終わりが近づいた頃、クレアさんがそう言った。

「ええ、王族、貴族の子等、また才能ある民が通う学校なのですよ」

「才能ある民って、どうやって判断するんですか?」

「学校に通える10の年になった子は立場問わず、各地域にある鑑定施設で能力鑑定をするのです。それで才能があると判断された子は無料で学校に通うことができます」

「無料ですか」

「お金がないと才能があっても通えないというのは才能を潰すことだという方針の下、民の親達からはお金を取りません」

「でも、いじめとかあるんじゃないですか」

「ないとは言い切れませんが、学校中に監視の魔導器をつけております、それで異変を察知したら即対応し、今まで才能ある民の子が途中で学校を辞めるということは起きませんでした。貴族の子がいじめをし、停学になることはありましたがね」

 やっぱり、貴族は平民と一緒に通いたくないのか、なんかムカつくな。

「イザベラやマルスは王族という重圧の中よく学校に通い一番の成績を残してくれています。素晴らしいです、我が子が」

「王族の方々より成績が良い子とかいるんですか、やっぱり」

「勿論ですよ。王族が常に優秀というわけではありませんから」

「王籍から除籍されたメリーとアッシュは其処まで優秀ではありませんでしたし、王族だと他者を威圧して排斥しようとしてました」

「メリーとアッシュ?」

 片方の名前は聞いた事があるが、もう片方はない。

「元側妃メリーウェザーと陛下との間の子です。メリーウェザーが処刑されたことを機に、メリーは王籍から除籍された後に修道院で一生を過ごすことを決められ、アッシュも除籍されてから、塔へ一生幽閉が確定しました」

「二人に其処までしないと行けない理由はあったんですか?」

「メリーは元々一年修道院にいる予定が、メリーウェザーの実家であるミスト侯爵家から多大な不正と私への服毒に関わっていることが判明しました」

 クレアさんが淡々と述べる。

「ですから、取り潰すという意味では二人を除籍し、一生王族として過ごすことを許さない事になったのです」

「王族もどろどろしてて大変ですね……」

「普段はこんなドロドロじゃないんですが……正妃も側妃も関係無く仲良しなのですが今の世代はどうも……」

「メリーウェザーはマリア様とクレア様と仲が悪かったので」

「あまり良くありません、特に正妃マリアには食ってかかっていました」

「はぁ」

「母上ー! そろそろお時間ですー!」

「では失礼致します、とても楽しかったです」

「はい、また来て下さい」

「コズエ様」

「ロッズ様」

 ロッズさんがやって来た。

「イリスと孫のサフィロをどうか頼みます」

「はい」

「イリスに、グレイスに愛想が尽きたらいつでも戻って来ていいと──」

「父上、私は絶対戻らんからな」

「イリス~~!」

 本人に拒否され、項垂れるロッズさんを兵士さんたちが連れて行く。

「全く失礼な事を言う、私がグレイスに愛想を尽かすなどない」

「ところでグレイスさんは?」

「サフィロの面倒を今見て貰ってる、アイツのおかげで私は夜ぐっすり眠れるからな」

「それは確かにそうですね」

 私は苦笑した。


「コズエ様、また来ますー!」

「イザベラ様達勿論ですよー!」


 馬車から顔を出して手を振るイザベラちゃんに手を振り返すと彼女はにこりと笑った。

『コズエ様』

「白亜、行ってらっしゃい、護衛頼むわ」

『勿論です』

 白亜は姿を透過させ、馬車について行った。


「さて、これからどうするかなぁ」

「こ、コズエ様」

 シルヴィーナが声をかけて来た。

「あ、あのレームと式を挙げたいのです。世界樹の下で」

「おーいいっすよ、それで私にやって欲しいことは?」

「あの、秋色のドレスを作って下さいませんか?」

「秋色……紅葉とか黄葉とかそんな色合いのドレスでいいですか」

「は、はい! それと同じ色の草柄の入ったヴェールを」

「あいあい、分かったよ。じゃあ作るから生地とか見に来てくれる今から」

「は、はい! あ、シルヴィーナだけでいいの? レームさんは?」

「その、私のドレスは処分されてしまいましたから……追放者になったときに母に」

「クソが」

 私は吐き捨てるように言った。

「……レームさんが着る服みたいから見せてくれる、それに合わせてドレス作るから」

「ありがとうございます!」

 シルヴィーナさんは感極まった表情をしていた。


 少ししてレームさんが服を持ってきた。

 草柄の薄いレースがかかった袖付きのローブみたいな服の下にズボンをはいている。

 色は薄い赤から薄い黄色のグラデーションだった。

 それに、月桂樹?

 いや、花冠の花なしバージョンの冠が金属でできている。


 念の為クラフトを見る。

「あった、秋のハイエルフの花嫁衣装について」

 露出は控えめ、レースが服を覆っている。

 それさえ守ればどうアレンジしてもいい。

「よっしゃ作るぞ」

 布を選んで貰った私はそれらを使ってウェディングドレスの制作に取りかかる。


 首が隠れるようにして、其処に花模様を入れておく。

 袖は広くして、マーメイドラインのドレスに。

 少しでも神秘的になるように。


「できた!」


 一週間かけて完成させた。

 クラフト能力も使ったが、自分の能力も使った。

 ちなみに白亜はその間にもう帰って来ていた。


「シルヴィーナさん、ちょっと来てー!」

「はーい」


 もう完成したと思っていないシルヴィーナさんはいつもの調子でやってくる。

「これなんですけど」

「わぁ……!」

「ちょっと着てみてくれる?」

「は、はい!」

 背中のチャックを開けてシルヴィーナさんに着てもらい、冠とヴェールを被らせる。

 私は映らないというかぼやけるがシルヴィーナさんがハッキリ見える大きな鏡で確かめて貰う。

「これでいいかな?」

「はい‼ こんな素敵なドレス……本当に良いんですか?」

「いーのいーの、シルヴィーナさんが満足してくれたら」

 そう言って服を脱いで貰う。

 そして大切にしまっておく。

「次のお休み、三日後に式をあげようか?」

「はい! あ、でもハイエルフの結婚式なので……」

「分かってる、ハイエルフの式はハイエルフで、そうじゃない二次会は村でやりましょう」

「にじかい?」

「別のドレスを着てお披露目です、そっちのドレスも着てみる?」

「はい!」

 シルヴィーナさんは嬉しそうな顔をした。

 鮮やかな碧色のふんわりとしたドレスに、シルヴィーナはメロメロだった。

 有り難い。


 ちなみにレームさんの二次会の服も作り済み、サプライズという奴だ。





 そして、三日後の夜、私とハイエルフの方達は世界樹の根元に来ていた。

「では、誓いを立てる新郎と新婦の入場を」

 皆わぁっと喜色満面の笑みを浮かべる。

「なんて素敵なドレス!」

「シルヴィーナ、綺麗よ!」

「レームとお幸せに!」

 シルヴィーナさんとレームは手を繋いで歩いてくる。

 私?

 所謂神父とか牧師役だよ、愛し子だからやってくれって言われたしね!

 しゃーない!

「シルヴィーナ、レーム。其方等二人はこの世界樹の元で病める時も貧しき時も、いついかなる時も共に暮らし愛し合うと誓うか?」

「「誓います」」

「では、誓いの口づけを」

 レームさんはシルヴィーナさんのヴェールを避けて、口づけをした。

 拍手が起こる。


 すると、花びらが降ってきた。


『おめでとう、シルヴィーナ、レーム。世界樹ユグドラシルである私は貴方達を祝福します』


「世界樹の祝福の元、ここに一つの夫婦が誕生した、さぁ拍手を!」

 拍手が沸き起こる。

 レイヴンさんがちょっと泣いている。

 うれし泣きだな。



 そしてお色直しして二次会元い村人達全員での祝福タイム。

「シルヴィーナ姉ちゃんおめでとう!」

「レーム兄ちゃん、幸せにしろよな!」

「めでたいのう、めでたいのう」

 祝いの酒を飲んでいるが、シルヴィーナは林檎ジュース、レームさんはシードルを飲んでいた。


「いやはや、楽しいね」

「ええ」

「それにしても、さっきのドレスも素敵だが、このドレスも中々いい!」

「貴方もよ、レーム」


『けっこんしきってすごいね!』

『おにくおいしいね!』

 萌黄と白虹がのんきに話しているのをみて、白亜は呆れていた。

『お前達、この様な祝いの席だからこそ引き締めなさい』

『えー』

『えー』

「まぁまぁ、白亜そんなに怒らないであげてよ」

『しかしですな』

「クロウも居るんだし大丈夫だって」

『そうじゃよ』

 そんな話をしながら二次会は楽しく終わった──







イザベラ達の帰還、白亜も居るから無事帰還できてます。

そしてシルヴィーナの結婚式。

ドレス衣装はかなり高価な代物です。

そして秋の日に、結婚式を無事挙げる事に成功しました。

世界樹ユグドラシルの祝福というのもハイエルフのとってはかなり素晴らしいことです。

二次会も楽しくやっているようで何よりでしょう。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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