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ハイエルフ達の移住

いつも通り夕方目を覚ました梢。

いつも通りの作業をしてから次に食べる食事の事を考える。

そこへフォレストボアを狩ってきたと知らせが入り、梢はそれを見に行くことに。


一方、一週間かけハイエルフの里に着き事情を話したレイヴンだったが──





「コズエ様、夕方ですよー」

「んあ?」

 ノック音に起きる。

 棺桶の扉を開けるとシルヴィーナがいた。

「んんーおはよう。シルヴィーナ。レームさんとレイヴンさんは」

「レームは狩りに出掛けました、兄はハイエルフの里へ向かいました」

「にゃるほど」

 私はパンを取りだし、ブルーベリージャムを塗り、牛乳を飲み物にして口にした。

 お手軽料理だ、料理と言えるかは不明だけども。

 一番お手軽なのはブラッドフルーツを囓ることだ、これに勝るお手軽さはない。


「ごちそうさま」


 と言ってから、歯を磨きそのまま家畜小屋へ。

 夕方になって家畜小屋に入った皆から卵やミルク、毛などを貰いアイテムボックスにいれる。


「よし、次は畑だ」

 収穫できない巨大作物を収穫し、アイテムボックスにいれる。

 収穫できたものは貯蔵庫に入っている。

 貯蔵庫に向かうと冷気魔法で包まれた貯蔵庫にはたくさんの作物がしまっておいてある。

 これらは村人の好きにつかっていいものだ、勿論私も。

「今日はトマトを使ってミートソーススパゲッティ作ろうかな?」

 パスタはスマホのアプリで購入できるから有り難い。

「オーク肉もあるしね……でも、オークってどういう生き物なんだろう?」

「どうしたんですかコズエ様」

「あ、オークってどういう生き物?」

「簡単に見目だけ言えば二足歩行する豚が近いです」

「ああ、そうなの……」

「……コズエ様は解体前の姿は見ない方がいいでしょうね」

「うん、そうする」

「コズエ様ー、シルヴィーナ! フォレストボア狩って来たぞ!」

「今行くわ!」

「解体するの、ちょっとみたい」

「フォレストボアなら良いでしょう」

 といつの間にか村人達が作っていた解体小屋に案内される。

「わぁ、まんま猪、でもおっきい!」

「フォレストボアは豊かな森でしか存在しませんから、肉も上質ですよ」

「ミートソースじゃなくてミートボールスパゲティにしようかな、お肉もらえるなら」

「勿論お分けします! コズエ様のおかげで、俺は此処で暮らす覚悟を決め、シルヴィーナと一緒になれたんです」

「もう、レームったら」

 うわぁ、甘いなぁ、甘ったるいなぁ、青春ってこんな味かなぁ。

 とか私は思う。

「では解体しますね」

 そう言って、逆さづりにして、内臓を取り出し、毛皮を剥ぎ、肉を取り出した。

「ほへー」

 感心してしまう。

「では、これがフォレストボアの肉です、どうぞ」

 乾燥させた何かの繊維でできた包みでフォレストボアのお肉を包む。

「ありがとう、レームさん」

「いいえ」

 その日の夜中はミートボールスパゲティにして満腹になった。

 お肉美味しい。

「そういや、里にいつ頃つくんだろ。後大丈夫かな?」





「何だと⁈ 愛し子の元でレームとシルヴィーナが結婚したと⁈」

 一週間かけ里に戻ったレイヴンは長老達に淡々と報告する。

「ええ、その通りですよ。愛し子様は祝福なさっているようで」

「レイヴン、二人を連れ戻せ」

「お断りします、二人は愛し子を守ると誓っているようですので」

「ぐむむむ、ならばお前達も追放じゃ‼」

「その言葉待っていましたよ」

 行商達の家族は荷物をまとめており、馬車に詰め込んでいた。

 また、若いハイエルフ達も同様に馬車に荷物を詰め込んでいた。

「待て、お前達まで行くのか⁈ そんな許可はだしておらんぞ!」

「もう嫌なんですよ、妖精も精霊も愛想を尽かすようになってきたこの里に未来の期待も持てない」

「それに無理矢理結婚させようとして……私達は恋人同士が結婚できたからよかったけど、シルヴィーナはそうじゃなかったから、逃げ出したのでしょう?」

「と、言う訳で、おさらばです。頑固爺共、さぁ、いきますよ皆。始祖の神森へ」

「待て!」

 長老の一人が止めようとするが──


『止めるな! 僕らは愛し子のところに行くんだ』

『そうさ、こんな排他的なところから出て行くんだ』

『待ってて愛し子様』


 妖精と精霊達がそれを妨害する。

「それでは失礼!」

 止めようとする老人達の妨害をくぐり抜け、若きハイエルフと行商達──ハイエルフの里の行いに見切りをつけた者達は馬車に揺られながら始祖の神森へと向かった。





「ふぁ~あ」

 レイヴンさん達が里に戻ると言ってから三週間が経過した。

 まだ帰ってくる気配はないかなー、と思って居た。

「お、レイヴンさん……なんか大勢居るな、どうしたんだろ」

 家を出てシルヴィーナとレームさん、クロウを呼び出迎えに行く。

「レイヴンさん」

「いやはや、愛し子様。実は困ったことがありましてね」

「なんですか?」

「シルヴィーナとレームの件報告したら、私共里を追放されました」

「え゛」

「あの長老達は‼」

「まぁ、元々嫌気さしてたので万々歳なんですけどね!」

「はぁ」

「で、お願いなのですが……」

「はいはい、住居ですね。一応エルフさん向けに森の奥の方に作っておきました」

「有り難い限りです」

 馬車達は入って行く。

 私は案内をする。

 森の奥にはシルヴィーナさんから聞いたのとクラフトでハイエルフの住居の建て方を見つけておいて作ったものだ。

「少なかったら今作ります」

「いえ、ちょうど良いですよ。皆ー! 好きな家を選べー!」

 馬車から若いハイエルフさんと幼い子ども達が出て来た。

 その後ろを行商でいつもやってくる方方がついて行く。

 各自家を選んだら荷物を運び込んでいった。

 ハイエルフの家は巨大な丸太の中、巨大な木の中にあるので、たくさんの木をつなぎ合わせて作った。

 クラフトだが結構苦労した代物である。

 ベッドは黄金羊の毛と銀蚕の糸で作ってある。

「では、私は失礼しますね」

 私はそう言って畑に戻った。

「ますます、住民が増えてきてますね」

「そうですね」

「苦ではありませんか?」

「全然」

「コズエ、人と関わるのが苦手そうだった君が苦でないはずがない」

「まぁ、この森でやって来たら色々慣れました」

「そうか?」

「ええ……ん?」


『愛し子様ー!』

『ハイエルフの長老達がやって来た!』

『あの石頭、愛し子に今日来たハイエルフ達を説得して戻らせろっていってる!』


「じゃあ、お断りしようか。クロウ」

「ああ、分かった」

「アルトリウスさんに、ティリオさん、アインさんは待っててくださいね」

「無理はするなよ」

「ええ、無理だけは」

「お願いします」

 無理はしないよー多分。

 そう思いながら入り口に行く。


「なんでしょうか?」

「今日ここについたハイエルフ達を引き渡してもらいたい」

「嫌ですが?」

「なんだと⁈ 吸血鬼の分際で……ぎゃあ‼」

 私が何かする前に妖精と精霊立ちが行動する。


『愛し子様になんて口の利き方だ』

『そんな腐った目見えなくしてやる!』

『口もきけなくしてやるぞ!』


「妖精さん、精霊さん、落ち着いて」


『はーい』

『うん』


 私は息を吐いて、ハイエルフだが、年老いた匂いのする連中を見据える。


「彼らがここに来たのは貴方達に非があるからです、でなければ里を出ることなんてしないでしょう」

「愛し子……」

「反省し、改善しなさい。そうすればいつの日か、彼らは戻ってくれるかもしれません」

「今の貴様等には到底無理だがな」

 クロウが呆れたように言う。

「貴様なにも……」

 クロウがドラゴンになった。

『我はエンシェントドラゴン。愛し子を守る者。この地を守護する者、早々に立ち去れ』

 クロウの言葉に、そのハイエルフ達は頷き急いで馬を走らせて帰って行った。

『これで大丈夫じゃろ』

「さすがクロウおじちゃん」

『何、お礼は手料理でいいんじゃよ』

「はいはい、分かりましたフォレストボアとジャイアントディアーのハンバーグでいい?」

『わし、パンに挟んでいるアレがいい』

「はいはい、ハンバーガーね。つまりポテトとジュースもね」

『うむ』

 手間はかかるが、私も食べたいし、いいかと思うことにした。


 その後、妖精から風の噂で、ハイエルフの里に残った者だけで、改善しようと試みを始めていると聞いたが、レイヴンさん達は当分戻る気はないと答えた。

 まぁ、仕方ないんだろうけどね、今までの行いをちゃんと反省してほしいよ。







レイヴンが追放されるというのを期に、若い者みんな里から逃亡することになりました。

ハイエルフの里、良くなるのかは不明です、悪いままだったら始祖の神森のハイエルフの住居が新しい里になりますし。

あと、クロウは食いしん坊ですね、梢ハンバーガー作って食わせてたりしてたのかというのもありますし。

ジャンクフードも食べたくなるでしょう、異世界にいるのですから。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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