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歓迎会

ミカヤと孤児達が村の住人として仲間になったが、子ども達以外は警戒していた。

そこで梢達は和ませようといろいろと試してみる──





「……と、言う訳でこの村の新しい住人が増えました。仲良くしてください」

 大人達は警戒しているが、子ども達はすぐに馴染んだ。

「なぁ、これ美味いからくおうぜ!」

「え、いいの?」

「いいからみんなで食おう! コズエ様がたっぷり作って下さったんだからまだまだあるんだぜ」

「うん!」

 子ども達は作ったスープを飲んでいった。

 私は釜を密かに作っていたのでそれでパンを大量に焼いた。

「みんな、パンもあるからどうぞ」

「わぁい!」

「あふ、あふいけどおいひい!」

「うまひ!」

「大人の方はお酒のつまみに、干し肉をどうぞ! 塩と胡椒を梢様からいただいて作りました‼」

「胡椒だって⁈」

「い、いいのかい⁈」

「はい」

 私が微笑んでそう言うと村の大人達が干し肉に群がる。

 ただの干し肉ではない為か、皆が噛みしめながらビールで流し込む。

「うまい!」

 私はミカヤさんにスープとパンを差し出す。

「宜しいのですか?」

「子ども達から聞きました、保存食を子ども達に分けて司教様はほとんど食事をなさってないと、だからゆっくり食べてください」

「有り難うございます、愛し子様……」

「梢で結構です」

 私はそう言って一度村の広場を離れた。





「ふへー人がいっぱいだと疲労困憊にもなるよー」

 と呟いていると神様からの連絡──スマホが鳴った。

「もしもし神様」

『その通り神様じゃよ』

「いつもお仕事お疲れ様です」

『いやいや、後手後手じゃからあんまり褒められたものではないぞ』

「あーまぁ、そうですね……」

『教会と孤児院を壊して邸宅を建てた不届きものはその一族の一部と従ってた者を呪ったわい』

「ん? 一部?」

『流石にそんな身内に嫌気がさして別の国に駆け落ちした者達などは呪えんのじゃ』

「あー確かに」

『それと脅された者達もな』

「ところでどんな呪いを?」

『お前さんは聞かない方がいいじゃろ』

「アッハイ」


 エグいんですね。

 分かりました。

 グロは駄目です。


『それと、感謝じゃな。行き場を奪われた儂の信者と孤児達を救ってくれて』

「まぁ、成り行きで……」

『ただ、あんまり無理は禁物じゃよ』

「分かってます」

『ならいいんじゃ』

「まぁ、無理なようなら一時的に引きこもる場所作って引きこもりますので」

『そうならんように、無理はせんことじゃ』

「了解です」

 通話を終えると、外に出る。

 夜の空気を目一杯吸い込む。


 木々の香り、水の香りを目一杯吸い込んで、吐き出す。


「あーすっきりした」

 私はそう言うと私はパンを焼いているであろう、三人の所へ行った。

「アルトリウスさん、アインさん、ティリオさん、代わろうか」

「いいえ、結構です。村人とは話はできてますし、酒は心引かれますが」

「私はパンを焼くのが楽しいので」

「俺はダンピールだから中に入ったら子ども達が怖がるだろう」

「うーん」

 なんだろう、何か気になる。

「じゃあ、私此処でパン焼いてるの見ながらジュース飲むわ、三人も飲もう」

「それなら……」

「構いませんよ」

「はい、コズエ様」

 炭酸水割のジュースを配る。

「なんですかこれパチパチします」

「炭酸水で割ったからね」

「タンサンスイ?」

「しゅわしゅわぱちぱちするお水のことですよ」

 と軽く解説。

「効能とか何かあるんですか?」

「あー鑑定できないんで分からないですね」

「私が鑑定しましょうか?」

「え、ティリオさんできるんですか?」

 ティリオさんははにかんで言う。

「少ししか分かりませんが」

「調べてくれ」

 ティリオさんは目を細めてから、頭にハテナマークが出るような声を出した。

「どうした」

「どうしたのです、ティリオ」

「……愛し子の加護(EX)って何ですか一体」

「……私もわかんない、EXって事だから規格外ってこと?」

「規格外の加護……一体どんなものなのだ……」

「クロウに聞けば分かる……いや、多分クロウのことだ、知らない方がいいで終わる。これ以上は深入りしないで楽しもう!」

 と、強制的に詮索を終わらせることにした。

「ところで、コズエは鑑定能力は無いのか?」

「クロウ曰く神様に封印されてるんだって、なんか前の愛し子が処刑されたのは強すぎる鑑定能力が原因だったとかで」

「「「……」」」

 三人が無言になる。

 あちゃー地雷話だったか。

「知っていますとも……ロガリア帝国ができた場所で起きた処刑の話ですからね」

「はい……」

「私でも知っている……」

「だからちょっと怖いんだよねー、その所為でロガリア帝国は呪われ続けているって聞いたから」

「その通りだ」

「確かカインド帝国の末裔が作った国なんでしょ?」

「その通り、呪われた帝国の末裔共が作りなおした国だ」

「クロウ」

 クロウがやって来てそう言うと、椅子にどかっと座った。

「あれ、村の人と話すのは終わったの」

「王族とな、梢。お前の作るワインを少量ドミナス王国の王家に献上してやれ、借りがおつりが来るほど作れるぞ」

「そういうのいらないんだけどなぁ」

「ロガリア帝国と何かあったとき、国力が強いドミナス王国が後ろ盾になればお前も楽だぞ」

「何もないのが一番だけど、確かにねぇ」

「恩を売っておくのは悪くないぞ」

「まぁ、そう言うなら……あ、ところで」

 私は思っていたことをクロウに尋ねる。

「私の作った物って加護どれくらいなの、ティリオが見たら『愛し子の加護(EX)』ってついてたって」

「あー、その通り。規格外の加護が盛りだくさんだ」

「そう、なんだ」

「だからお前は深く知る必要はない、これまで通り作物を作り、食し、村人達などに提供すればいい」

「うん、分かった」

 クロウの言うことは正しいから、従っておく。

 たまに責任丸投げにすることあるけど。


「コズエ様ーそろそろお開きです!」

 アルスさんがやって来てそう言った。

「もうそんな時間? じゃあ後片付けは私がやるから他の皆は解散していいよ」

「そんなわけには参りません、コズエ様のおかげでこのような宴ができたのですから」

「仕方ないなぁ。でも子ども達は寝かせてね」

「はい」

 村へ戻るアルスさんを見送ると私は焼きたてのパンを見て言う。

「それ全部アイテムボックスに入れるから」

「はい」

 と焼きたてのパンを軍手で掴んでアイテムボックスに入れて行く。

 入れ終わるとかまどの火が消えるのを見る。

「じゃあ、鍋のほう行こう」

「お手伝いしますよ」

「手伝います」

「手伝おう」


 村へ行くと鍋を洗い終わった後だった。

 それを乾かしている。

 私が大きなタオルで鍋を拭くをアイテムボックス入れた。


 村人さん達は頭を下げて各々の家に帰っていった。

「さて、私はいつも通り仕事でもしようかな」

「お手伝いしましょうか?」

「アインさんとティリオさんはもう良いですよ。二人とも人間でしょう?」

「これ位の夜更かしなら……」

「駄目ですよ、もうお月様が高い所まで来ていますから」

「……分かりました、行きましょう。ティリオ」

「はい、アイン様」

 二人はその場を後にした。

「アルトリウスさんも、帰ってお仕事してていいよ」

「だが」

「これから世界樹の様子見に行くついでに堆肥と水上げてくるだけだから」

「……そうか、オレは狩りをしている、欲しいものはないか」

「ううん、お肉だったら何でも美味しいからいいよ!」

「そうか」

 アルトリウスさんも立ち去り、私は世界樹の苗を植えたところへと向かった──







子ども達が仲良くなったら大人達もきっと受け入れていくでしょう、ミカヤは善人なのですから。

で、ミカヤを追放した人物に連なる者は神様からエグい呪いを受けました、内容は梢も知りません。


アルトリウス達と話している時に、梢はのんびりとしていますが、ロガリア帝国に関しては内心どうにかしたかったり。

クロウはそこら辺を理解してます。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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