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各自の思惑と宴

夕方目覚めて食事をした梢は畑と家畜小屋に向かうと、聖獣の世話に奮闘するアルトリウスと、畑の作物を収穫できず困惑しているティリオとアインに出くわす。

梢は慣れた調子で、聖獣の世話と畜産物の回収、畑の作物収穫をこなす。

落ち込むアルトリウスを励ましていると、クロウが呼びに来て──





「ふぁーあ」

 夕方、目を覚ました。

「ご飯食べてから、聖獣さんたちのお世話して、畑の方やるか」

 エルフの行商さんに頼んで作った魔導炊飯器。

 どういうものか説明して作ってきてほしいと言ったら、次の来訪時に持ってきてくれてちゃんと動作した。

 それでご飯を炊いており、卵焼きを作り、包丁で切り、漬物も、魔導冷蔵庫から出し、味噌汁を作る。

 大豆も作っていたので、味噌はレシピを見て必要なものは売買アプリで購入して作った。

 醤油も作りたいが、また大規模な建築をするのと、色々あって購入だけで終わっている。


「ごちそうさまでした」

 食べ終わった私は皿等を洗い、拭きしまう。

「さて」

 ジャージに着替えて外に出ると──

「聖獣様、いい加減中に入ってください!」

「あ、アイン様、これは重すぎて収穫できません!」

「同感だな、重すぎる」

 シルヴィーナさんじゃなくてアルトリウスさんと、アインさんとティリオさんがいた。「何してるんですか?」

「いえ、畑仕事を手伝おうと思って……」

「聖獣の世話を手伝おうと……」

 私はふぅと息を吐く。

「どうしたんですか、急に?」

「いや、君がやることが増えたから少しでもやることを減らそうと……」

「シルヴィーナは久々の狩りに行ってますよ」

「なるほど」

 取りあえず、どうにかするべく私は声を出し、手を叩く。

「みんなー! お家に戻る時間よー!」

 その一言に聖獣達は戻り出す。

「で、このカブは……」

 ずぼっと抜く。

「実ってた奴は?」

「ここ、です!」

 どさっと大きなざるにトマトやなすがのっていた。

 普通のものの何倍も大きい。


 重さも相当だろう、密度も。

「村の水辺に持って行って水に入れて冷やしてくれますか、湧き水の所」

「分かりました」

 ティリオさんが重そうに持ちながら歩いて行った。

「大丈夫かなぁ」

「多分大丈夫でしょう」

 アインさんがそう言う。

「ところでそのカブは?」

「アイテムボックスで保管します」

 そう言ってアイテムボックスに入れる。

 ジャガイモを掘り、アイテムボックスに詰めていく。

 収穫が一通り終わると、新しい種達を植える。

「え、もう植えるんですか?」

「そんなに植えても芽を出さないだろう?」

「それが妖精と精霊のおかげで芽を出すし、新しい実もつけるんですよ」

 その言葉に二人はぽかーんとしていた。


『愛し子様のためならたくさん実らせるよ!』

『一杯成長させるよ!』

『豊作だ、豊作だ!』


「……なるほどそう言うことですか」

「精霊と妖精が何か言ってるのか?」

 そういやアインさんは妖精と精霊がついている感じだったから意思疎通できるのかな?

「コズエが愛し子だから、妖精と精霊達が張り切っている、と言っておきます」

「そうか……」

「アルトリウスさん、聖獣の畜産物は?」

「すまない、うまく取れなかった」

「分かりました」

 私は家畜小屋に入ると、私は乳搾りから卵の回収、毛刈りまでいつもの通り行った。

 収穫物はアイテムボックスに全部入れる。

 そして聖獣達に言う。

「いい、皆。今日の人も村の仲間なの、だから言うことを聞いてあげてね」

 そう言うと皆頷いてくれた。

「……私は駄目だな、足手まといだ」

「大丈夫よ、次から頼りにしてるから」

 私はにっと笑って背中を叩く。

『梢やーい』

「クロウおじちゃん、なんじゃらほい」

『今日は村人も総出でイザベラ達の歓迎の宴をやるんじゃろ』

「そうだ、料理作るんだった‼ 二人とも良かったら手伝って」

「ああ、それなら」

「分かりました」

 私は急いで村へ向かう。

 村には大鍋と、バーベキューの網等が設置されていた。

『梢や、この大鍋には何をやるんじゃ』

「スープを作るのよ」

 そう言って巨大野菜達を空中に上げて皮をむいて細かく切って受け取り、鍋の中に入れる。

 それを繰り返し、貯めてきた肉塊達を入れて水を妖精と精霊に入れて貰う。

 其処に今まで集めてきたジャイアントディアーの骨を入れ煮込む。

 しばらく煮込んで味を確かめ、醤油を入れると、ばっちりだった。

「お肉の方はいいー?」

「はいー!」

 ドミナス王国の王族と貴族の方々と村人達が身分や立場関係無く話し合うこの空間は居心地が良かった。

 あ、ちなみにニンニクは吸血鬼の天敵だから、肉にもスープにも一切使ってない。

 グレイスさんやアルトリウスさんがこの空間で話ができるようにしたかったからだ。


「コズエ様がこのスープを作ったの⁈」

 イザベラちゃんがスープの器片手にやって来た。

「ええ」

「とっても美味しいわ‼ コズエ様は本当凄い愛し子様だわ」

「いやぁそれほどでも」

 少しにやけてしまう。

「野菜はほくほく、お肉はほろほろ、そしてスープは優しい味! 私好みだわ」

「コズエ様、またこれやってよ!」

「いいわよ」

「やったぁ!」

 ルフェン君が喜ぶ。

「秋頃やったらいいかもね」

「約束だよ!」

「秋は学校があるからこれないわ……」

「来年の夏、またいらっしゃい」

「ええ!」

 しょげるイザベラちゃんにそう言うと、イザベラちゃんは嬉しそうに笑った。





「イザベラはここでは生き生きとしているわね」

「そうですね、母上」

 クレアはスープを飲みながら微笑む。

「このスープを飲んでいると、凄く力が湧いてくるわ」

「私もです」

「儂はこのワインとやらが最高じゃ! 若返っているようじゃよ!」

 と言って飲んでいるロッズを見てクレアとマルスは目を丸くする。

「お父様、本当に若々しくなっていますわ」

「本当です……」

「む、そうか?」

『そりゃあそうじゃろ、梢の作ったワインは若返りと長寿の効果も付随されている』

「わ、若返り⁈」

『あと、美容と健康とかまぁ、色々じゃ』

 クロウが説明すると、ロッズ達は唖然としていた。





「うむ、この苺のワインは美味いな!」

「そうだな、マリア。心なしか気分も若返って肌も艶めいてきているようだ」

「だぅー」

「おっと、サフィロ。お前にはまだ早いぞ」

 グレイスの館で、マリアとイリスは酒を飲み交わしていた。

「愛し子様からの肉と、スープだ」

「おお、取りに行ってくれたのか」

「すまないな」

「いいんだ」

「うぇ、ぇ」

 するとサフィロが揺り籠の中でぐずりだした。

「サフィロどうした? ああ、お腹が空いたのかい。愛し子様からブラッドフルーツの絞り汁を哺乳瓶? とやらに入れた物を貰って居るから飲ませてあげよう」

 グレイスはそう言って、哺乳瓶を取りだし、サフィロに飲ませた。

 サフィロはんくんくと飲んでいった。

「逃げるまでは私の母乳じゃないと嫌がっていたのに、ここのブラッドフルーツは格別らしいな、愛し子様──コズエ様が作っているだけあって」

「それにしても不思議な道具をどこから仕入れているのやら」

「それはそうだな、気になる所だが──エンシェントドラゴン様に言われたよ『愛し子に関しては余計な詮索はするべからず』とな」

「だろうな」

 二人はワインをグラスに注いだ。





「うまうま」

 我ながら上手にいったと思っている。

 肉を切り焼きながら同時に食べる。

 子ども達にも焼いてあげる。

「梢様、私がやりますよ」

「ティリオ、いいの?」

「勿論です」

 肉を焼くのを交代し、炭酸水で割ったジュースを飲む。

「あー、美味い!」

 まん丸満月を見上げる。

「ああ、良い月、本当に」

 明日からも頑張れそうな気がした。







村で宴をやるというものでした。

そしてワイン、梢が作ったワインがとんでもない代物だと発覚。

クロウがさらりと言ってますが、とんでもないです。

また料理ですが、実はニンニクを一切使っていません。

梢が吸血鬼なのを皆理解しているからです、ただ当の本人である梢はニンニクが平気です。

他の吸血鬼やダンピール達は駄目ですが。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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