招かれざる者たちの末路~騎士団到着~
一触即発の空気を破ったのは、梢に無礼な言葉を吐いた魔術師だった。
シルヴィーナは精霊と妖精に命じて魔力を奪い、精霊と妖精たちはは魔術師を呪った。
が、それで大人しくしてくれる連中ではなく、梢にニンニクの粉をぶつけてきて来て梢は──
一触即発に空気。
何がきっかけで戦闘が始まるか分からない。
どうしよう。
どうしよう。
「そこの吸血鬼、神々の愛し子とか言っているがどうせソレを騙っているだけだろう!」
「なんと失礼な! コズエ様は神々の愛し子としてこの地に降り立った御方、今の言葉聞き捨てなりません」
『ならないぞー!』
『ゆるさないぞー!』
精霊と妖精がわらわらと集まってくる。
「精霊と妖精よ、あの無礼な魔法使いの魔力を奪い呪ってしまいなさい!」
『かしこまりー!』
『やっちゃうぞー!』
「‼」
魔法使いの女は火の玉をこちらに放つが、ふっと火の玉は消え──
「痛い痛い痛い痛いぃいいいいい‼」
とのたうち回り始めた。
体には妖精と精霊が呪った赤い痣がくっきりと浮かんでいる。
それを見ると、他の連中もひるみ始めたが、私に向けて何かを投げつけた。
匂いはニンニク、ニンニクの粉だ。
「……食べ物粗末にするんじゃねーよ!」
私は石ころを雪玉に詰めて投げた、加減はした。
が、ニンニクの粉を投げた奴の頭に当たり、そいつは昏倒した。
『よーしついでだのろっちゃえ!』
『いとしごさまをぶじょくするのはゆるさないぞー!』
「ぎゃあああああ!」
そいつものたうち回っている、呪われたんだ。
「まさか、本物⁈」
「そう言っているだろう! コズエ様は、神々の愛し子! それ故何も効かぬ!」
「お母様!」
げ!
音彩なんで来たのー!
「音彩どうして!」
「ネイロ? ネイロだと⁈」
「捕まえろ!」
音彩に向かってくる騎士団を見据え、音彩は手をかざす。
「『炎よ、渦巻け!』」
炎の渦が騎士達を巻き込み、業火の熱に悲鳴を上げている。
『こいつらものろっちゃえー』
『のろっちゃえー』
音彩、いつの間にそんな魔法? 魔術? 使えるようになったの?
そして精霊と妖精たちはぶれないな。
全員が再起不能になるのを見計らうように白い馬車が到着した。
「正妃様! お怪我は!」
明らかに清廉潔白そうな男性で騎士っぽい格好の方が出て来た。
「ないとも、愛し子様の護衛と、ご息女のお陰でな。それと私にはうっすらとしか見えないが妖精様と精霊様のおかげだ」
「それは良かった……、皆この反逆者達を放り込め!」
「「「「「は!」」」」」
反逆者と呼ばれた連中は全員牢屋のような荷台に詰め込まれた。
寒そう。
「申し訳ございません、私共がもっと早く動ければ……」
「よい、下手に逃げられるよりこちらのほうが得策だ」
何かちょっとアレな会話をしているように聞こえる。
「お母様、早くお家に戻りましょう」
「そ、そうね音彩」
「ネイロ⁈」
騎士の人が声を上げる。
「あ、あの失礼ですが、貴方が神々の愛し子様のご息女で、ダンピールで、ルキウス王子から多大なご迷惑をかけられたネイロ様、ですか?」
早口で焦っているようにその人は言う。
「……まぁ、そうですけど」
音彩は不服そうに事実だと認める。
すると、騎士さんは膝をついて頭を下げた。
「申し訳ございません! 私共の教育が足りなかったばかりに!」
「「⁇」」
音彩と私は顔を合わせて首をかしげている。
どういうこっちゃ。
「この者は、ルキウスの剣の教育と護衛係だったのだ。だが、この者の目を盗んで一時期ルキウスが色々やらかしたであろう?」
「あー……そういやそんな記憶が」
「私も……」
大分前だし、面倒な事だからすっかり忘れてた。
音彩も面倒事だったし、カイル君とのやりとりの方を優先してたから忘れていたのだろう。
「誠に申し訳ございません!」
「いやーいいですよ、まぁ今見たいな連中がいるのはどうにかしてほしいですが」
「それは同意! 私は物じゃないわ」
「心得ております」
「コレからどうする、戻るのか?」
「勿論です」
『梢やーい!』
オウフ⁈
突然の神様の声に動揺する私。
神様何の用⁈
取りあえず理由を聞く。
『このままそいつら戻すと吹雪で行方不明になるから泊めさせるんじゃー』
マジで⁈
『マジマジじゃ』
私は信じて貰えるか分からないが、神様の言った事を伝えた。
「あ、あのーデミトリアス神様が、このままだと吹雪で大変な事になるから今日は泊めろと通達が」
「へ⁈」
騎士の方達あっけにとられてる。
「愛し子様が、わざわざデミトリアス神様の名前を出しているのだ、事実だろう、今日は泊まって行くが良い。愛し子様のご厚意を無碍にするものではないぞ」
「は、分かりました!」
「あ、でも詰め込まれた人達森の中に入れ──」
『ぼくらがでられないようにするからだいじょうぶ!』
『あんしんして!』
そう言うと、森の中に馬車は入る事ができた。
寒そうにしているのでシチューと温かいパンを振る舞うと騎士団の方達は感謝しながら食べてくれた。
そして一息ついたので家に戻ると、光たちがじゃれあそびしてた。
パパ達は見守り。
晃と肇も。
「お父様達、晃兄様、肇兄様、赤ちゃんたちのみはりはちゃんとできてる?」
音彩が言うと、全員肯定の言葉を言った。
「そちらは何があった?」
と、アルトリウスさんが聞いてきたので説明すると──
「「「「「「何で誰か一人呼んでくれなかった (のですか)?」」」」」
と言われた。
「お母様がテンパってるのにそんな余裕あると思う?」
音彩、そんな呆れたように言わないで。
「無いでしょうね」
「ありませんね」
「無いな」
「無いですね」
「無いでしょう」
うわひっでぇ。
と思いつつも、クロウが帰ってこないので、不安がどうしても心をよぎる。
頼む、村の安全と私の心の不安を取り除く為帰って来てー!
シルヴィーナはぶちギレて下ります。
梢も食い物粗末にしたので軽くキレました。
そして音彩は魔法で他多数を攻撃し、精霊と妖精は倒れたその連中を呪いました全員。
追ってきた騎士団の者たちは謝罪しましたが、被害がこちらの方が出なかったのでこれで良かったのです。
実際出てないし。
で、音彩に謝罪する、元ルキウスの教育係、かなり厳しくやったのにどうにもならなかったので謝罪をしているのです。
梢も音彩もその人が悪いと思ってないので許してますね。
あと、テンパって誰も呼ばないのを納得されたのを不満に思う梢は、心の平穏の為にクロウが帰ってくることを強く望んでいます。
クロウは次回帰ってくるのでしょうか?
ここまで読んでくださりありがとうございます。
反応、感想、誤字脱字報告等ありがとうございます。
次回も読んでくださるとうれしいです。




