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18年目の春来たりて~12回目の子ども達の誕生日~

冬が終わり、ドミナス王国とムーラン王国の王族の者たちは帰って行った。

春になり、梢の子ども達の誕生日がやってきた。

梢は準備万端で、子ども達を迎える──




 冬の終わりが近づいてきた。


「さて、帰るとするか」

「「はい、マリア義祖母様、お祖母様」」

「かえりましょう」

「「はい、しゃるるしゃま」」

「はい、しゃるるさま」


 ドミナス王国は大丈夫そう。


「夏にまたこれますか?」

「これる? 母様」

「貴方達がいい子にしてたら」

「「はい!」」


 ムーラン王国も大丈夫そう。


「コズエ様、夏にまた!」

「愛し子様、夏に!」


「はい、さようならー!」


 私は馬車たちを見送った。

 それから数日後──



『春ですよー』

『春ですよー!』


 18年目の春がやって来た。

 そしてまもなく──



「12才の誕生日おめでとう、晃、肇、音彩」

「母様、ありがとうございます!」

「母さん、ありがとう!」

「お母様、ありがとうございます!」


 うれしそうに言ってからしょげた様な顔をした。


「どうしたの、三人とも?」

「……冬に盛大にお祝いできませんでした」

「せっかくの母さんの誕生日なのに」

「ええ……」

「気にしなくていいのよ」


 今年の冬は色々とあったから私の誕生日は祝えなかったのだ。


「来年、期待しているわ」

「「「はい!」」」


 子ども達は笑顔になった。


「じゃあ、食事にしましょう?」

「「「はい!」」」


 そう言って子ども達とリビングへ向かう。

 既に料理はセッティング済み。


「「「わぁ!」」」

「今日はご馳走よ、お腹いっぱい食べてね」

「「「はい!」」」


 子ども達が椅子に座ってから、大人達、私達は椅子に座る。


 そして料理を料理を口にする。

 鶏の丸焼きは美味いな。

 作るのちょと大変だけど。


 ナイフを入れて切り分けたり、色々やった。


 クロウが作ってくれたブラックサーペントのスープは子ども達もおかわり。


 ちょっと悔しい気もする。

 まぁ、私が作ってくれたのもおかわりしてくれたからいいけど。

 うん、でも悔しい!


 でも私の本領発揮はデザートだ。


「今年も皆の好きな苺のケーキを作ったわ」

「「「‼」」」


 私の言葉に子ども達は目を輝かせる。

 私は魔道冷蔵庫を開けて、大きな苺のケーキを取り出す。


 そして子ども達の分だけ大きく切り分ける。

 名前の書いたチョコのプレートを飾って三人に渡す。


「はい、どうぞ。ケーキはまだあるから言ってね」

「はい!」

「わぁ、美味しい!」

「うん、母さんのケーキはいつも美味しい!」


 皆うれしそうに食べて行く。


 余分に作ったケーキも食べて、私達はお腹いっぱいになる。


「後片付けは任せてくれ」


 アルトリウスさん達が率先して後片付けをやってくれる。

 私はゆっくり休められる。


「お母様、毎年有り難うございます」

「だから来年の母様の誕生日は期待しててください!」

「母さんをよろこばせるから!」

「ふふ、楽しみにしてるわ」


 やる気満々な子ども達、それに声をかけるアルトリウスさん。

 もしかしたら手伝うのかしら。

 どっちにしろ楽しみだなぁ。





 春になり、畑仕事が忙しくなる。

 リザードマンの方々も目を覚まし、手伝ってくれる。

 しかし、巨大なカブやらニンジンやらは私が収穫するしかないし、巨大な作物だと回数も多い。


 それが毎日続き、保管庫からあふれそうになる。





「では、ブリークヒルト王国とドミナス王国、ムーラン王国に行ってきますね」


 レイヴンさんは荷物を詰め込み終えるとそう言った。


「いつも申し訳ないです」

「いいんですよ」


 あふれた野菜や果物、畜産物などを全て容量∞のマジックボックスに入れる。

 空になったものは回収するので、特に問題はないらしい。


 レイヴンさんたち行商、商会、は早馬を走らせて出て行った。


 私が寝ている間に。


 私が倉庫を見れば、空きが増え、また入れられることができるようになった。


「早く帰ってこないかな?」


 そんな事を思いながら私は畑仕事と畜産業にいそしんだ。





「お母様」

「愛し子様」


 家でのんびりしていると、二人がやって来た。

 何かな?


「あら、音彩とカイル君じゃない」

「実はお願いがあります」

「なに、私ができる事なら言って?」


 二人は顔を見合わせて頷いた。


「婚約のブレスレットを作ってほしいんです」

「指輪じゃなく、ブレスレット?」

「指輪だとすぐ手に入らなくなるので……お母様ならきっと長さを調節できるブレスレットを作れると思ったのです」

「ええ、分かったわ。ちなみにデザインは……」

「これです」


 紙を見せてきた。

 シンプルイズベストというべきか。

 夜真珠の両脇に何かの宝石を入れるというものだった。


「じゃあ、この宝石は私の方でやっていい?」

「はい! あ、夜真珠は……」


 カイル君は夜真珠、大粒で丸形の上質なものを二つ私の手にのせた。


「これでお願いします」

「うん、じゃあ任せてね」


 私は工房もとい自室に戻り、アクセサリーづくりを開始した。

 夜真珠の隣はダイヤモンドがいいだろう。

 それとブレスレットの素材は白金(プラチナ)にしよう、夜真珠が映える。


 そう思いながら、長さを調節できるブレスレットを作った。

 そして、二人に渡した。

 早くできた事と、使った宝石に驚いていたが、大事にしてねというとうれしそうに二人は笑った。


 あの子達の結婚式はいつになるかな?

 そんな事を考えながら自宅に戻り、シードルをグラスに注いで飲み干した──







今回は誕生日がメインのお話です。

クロウの高級食材のスープに嫉妬する梢。

梢が作ればもっと美味しくなることに梢は気付いていません。

クロウも喋りません、また無理が再発したら嫌だからです。


カイルと音彩は着々仲を深め清い交際を続けている様子。

晃と肇は未だ謎です、明らかになるのをお待ちください。

梢は二人からお願いされて、かなり嬉しかった様子、だから結構綺麗で長さ調節しても問題のないデザインに仕上がっています。


ここまで読んでくださりありがとうございます。

反応、感想、誤字脱字報告等ありがとうございます。

次回も読んでくださるとうれしいです。

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― 新着の感想 ―
おじいちゃんの作った高級スープ!?さらに梢ちゃんが作ると美味しくなるだとっ!?|﹃`*)……ジュルリ。はっ!想像しただけで美味しそうすぎてちょっとトリップしてましたわ。食べたいなぁ〜。作者様の唐突な飯…
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