久しぶりの梢のストレス発散~ドミナス王国の内情~
いろいろとありすぎてストレスが溜まった梢はストレス発散行動を行う。
激辛料理を食べたり、サウナで汗をかいて水風呂に入ってから、温泉を楽しんだり。
そして、ストレス発散を終えて家に帰ると──
ここ最近色々ありすぎた。
下っ端神に呪われたり、ティリオさんが子ども達に自白剤の作り方教えてたりと。
つまりまぁ、ストレスがたまった。
なので小屋に向かう。
エルキャラット・ブースと鶏ガラなどで出汁をとる。
製麺された麺を買い、茹でる。
スープに麺を入れて、すする。
辛い、美味い。
両方が来てどっと汗が流れる。
ずるずる。
おかわりをして、汗をたっぷり流す。
ソレが終わると、水を大量に飲んで温泉に向かう。
体を洗ってから、サウナで一人汗をかき、水風呂に浸かって整わせる。
そして温泉に入ってゆったりする。
「ふぅ」
ストレスが若干収まったので、温泉から出て家に戻る。
「ただいまー」
「お帰りコズエ」
「お母様、お帰りなさい!」
「母さん、お帰りなさい」
「母様お帰りなさい」
アルトリウスさんと子ども達が集まっていた。
「アインさんとティリオさんは?」
「クロウ様に呼び出しを喰らっている」
「そっか」
何かあるのかな?
「ところでコズエ」
「何ですか、アルトリウスさん」
「その……ほのかにエルキャラット・ブースの匂いがするのだが」
「あ、食べました。でも凄いその後お風呂に入ったのに」
「歯を磨いたか?」
「あ」
水飲んだだけだったや、そう言えば。
「やっぱり鼻にきますか?」
「少しだけ、な」
「次からは歯磨きもしておくわ」
私がそう言うと、アルトリウスさんは苦笑した。
「母様、エルキャラット・ブースってあの激辛の奴ですか⁈」
「そうよ」
晃が私に驚いたように問いかける。
「母さん、そんなの食べて平気なの⁈」
「平気よ」
肇も、不安そうに私に尋ねる。
「お母様……どうしてそんなものを?」
「少しすっきりしたかっただけよ」
不安げな顔で音彩が私に聞いた。
「辛い物食べると口の中が痛くなるよ?」
「私は辛いの大好きなの」
「晃、肇、音彩、諦めろ。コズエは隠れの激辛中毒だ」
「「「中毒⁈」」」
三人がそろって声を上げるので私はからからと笑います。
「例えよ、それ位好きってこと」
その言葉にほっと息を吐く三人。
「でも凄い辛いから貴方達は食べちゃダメよ」
「「「はーい」」」
ものわかりのよい三つ子でうれしい限りだ。
「コズエ様」
そんなやりとりをしているとシルヴィーナがやって来た。
「どうしたのシルヴィーナ」
「コズエ様、クロウ様とマリア様が」
「あー……」
若干嫌な予感がするが、仕方ない。
行こう。
私はコートを羽織り、シルヴィーナと共にクロウの屋敷に向かった。
「来たか梢」
「愛し子様、申し訳ない」
「何があったのですか?」
「相談事だ」
「はい、ルキウスに改善傾向が見られない為、王族の総意でシャルルが次期王太子になることが決まったのだ」
「あ、やっぱり」
改善できなさそうだったもんねぇ。
「そこで、お願いがございます」
「何です?」
「エンシェントドラゴン様をお借りしたく」
「いいけど、どうしてクロウが?」
「まぁ、ルキウスを王太子にしようとしている者達に、シャルルが既に神々の使いエンシェントドラゴン様の加護を貰い、次期王太子として認められているということを示すためだ」
「なるほど」
「愛し子様からお借りするのは忍びないが、我が国も愚王を擁立する気はないのです」
ルキウス君、愚王って呼ばれているよ。
「ルキウス様そんなに酷くなってるんですか?」
「ああ、年々悪化している」
こりゃあシャルル君に託すしかないよなぁ……
「なので、春になったら少しの間お借りしたい」
「いいですよー」
「クロウもいい?」
「ああ、森の守りはお前の夫達とシルヴィーナに任せているからな。それに何かあったら直ぐ戻れるようにしている」
「じゃ、安心だね」
そんな会話をしていると、クロウの屋敷の扉をノックする音がした。
「入っていいぞ」
クロウがそう言うと、護衛らしき人と、シャルル君がはいってきた。
「まりあおばあさま、おばあさまがよんでます」
「クレアが? 分かった」
マリア様は私達に頭を下げて出て行った。
「シャルル様、どうしました」
そして無言になるシャルル君に渡しが声をかける。
「るきうすにいさまはどうしてああなのでしょう?」
「ルキウス様のこと?」
「はい、ねいろさまにしゅうちゃくしてほかのことがみえてない、あれではたいきょくをみうしなう」
「……」
シャルル君、年不相応過ぎることいってない?
「シャルル様、本当は王太子になりたくないの?」
「どうしてわかるんですか?」
いや、そりゃ分かるだろう。
今の発言を読み解けば、多分。
「にいさまがしっかりしていたなら、ぼくはおうていとしてくににつくすつもりでした、でもにいさまはくにがみえていない、だからぼくがおうたいしになり、いずれこくおうにならねばくにがほろんでしまいます」
「……私の子どもとルキウス様が出会ったことを恨んでる?」
「いいえ、うらみません。にいさまはきょひされていたのにむりやりめとろうとかんがえている、おうぞくのやるべきことではない、それこそあなたのいかりをかいます」
「そうですね……」
「いとしごさま、どうかどみなすおうこくとすえながくおつきあいをおねがいします」
そう言って頭を下げると護衛の人と一緒に出て行った。
「シャルル君も大変ね……」
まだ小さいのに、王族という立場に縛られている。
ルキウス君が愚か故に。
私はため息をついて、ポケットから飴を取りだし舐めた。
「ふぅ」
まだまだ色々問題は山積みらしい──
梢の久しぶりのストレス発散です。
いろいろとイライラしていたのでしょう下級神に呪われたり、いろいろあったり。
で、そんな梢のところにシャルルは訪れていろいろと会話します。
シャルルは本当は王太子になりたくないけど、ルキウスが大局を見れない愚かさを持って居るのを見抜いているため、王太子として国に尽くすことを覚悟しています。
かなり可哀想ですが、シャルルが王族に生まれて、そしてルキウスがやらかした結果なので仕方ない事でもあります。
梢もいろいろと考えてしまうでしょう。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
反応、感想、誤字脱字報告等ありがとうございます。
次回も読んでくださるとうれしいです。




