とある呪い~やっぱり下級の神は~
梢が家でくつろいでいるとシルヴィーナがやった来た。
精霊と妖精がしばらく雪を降らせないから宴をやりたいと言う彼女に、梢は許可を出す。
安堵するシルヴィーナに違和感を感じ、梢はシルヴィーナに問いかけると──
「コズエ様」
家でのんびりくつろいでいるとシルヴィーナがやって来て声をかけられた。
「どうしたのシルヴィーナ」
「あのですね、妖精と精霊たちがここ数日は雪を降らせないと行っているので宴をしませんか」
「いいね!」
シルヴィーナの提案に同意すると、シルヴィーナはほっと息を吐いた。
なんだろう?
「どうしたの? 私が断るかとか思ったの?」
「いえ、つい先日コズエ様がご家族に対して激怒したと聞いて怒りが収まっているか心配だったのです」
ずるっとずりおちそうになる。
「シルヴィーナ……流石に其処まで公私混同はしないよ私……」
「ですが、その時のコズエ様はかなりお怒りだったと……」
「まぁね、ティリオさんが子どもに自白剤の作り方というか毒薬系統の作り方教えてた聞いたら何してくれてるんだとね」
「は、はぁ……」
シルヴィーナはなんとも言えない表情を浮かべていた。
「そういえば、エルフは薬とか毒薬とか習うの?」
「一応ありますし、両方習います。森で生きることと身を守るためにする事ですから」
「ならしゃーないか」
流石に種族の伝統?には口は出せない。
「私達のはお許しになるので?」
「流石に種族の伝統というか繋げてきたものにダメだしする野蛮さはないよ」
民族浄化とかそんなとちくるった考えはこの世界ではノーセンキューだ。
「ただ、ちょっと疲れているから村の各地域のリーダー達で色々話し合って決めてくれる? 決まったら手伝うなり何かするから」
「分かりました、コズエ様はお休みください」
シルヴィーナはそう言って出て行った。
私は息を吐き出し、テーブルに突っ伏した。
「なんか体調すぐれないなぁ」
そう呟き、棺桶に入る。
「──様! コズエ様!」
「梢!」
「んあ?」
目を開けると、皆が血相変えていた。
「どうしたの、いったい……」
「お前さん、この七日間死んだように眠っていたのだぞ」
「え」
何それ怖い。
「まさか寿命が来たとか……」
「吸血鬼になって十数年しか経過しとらんお前に寿命が来るか!」
クロウに怒られる。
いや、怒られるのは筋違いじゃね?
「と言う訳で身体検査だ、脱げ」
バキィ!
クロウの言葉に条件反射的に殴ってしまったが私は悪くないと思う。
「シルヴィーナあったか?」
「ありました!」
シルヴィーナ以外部屋を出て私の体を検査、すると背中に変な模様があるらしい。
服を着てクロウに聞く。
「なに、見えないけどその模様なんなの?」
「下級神がつけた衰弱の呪いだ」
「うへぇ」
また下っ端の神様がやらかしたのか。
『梢、すまんのぉ』
神様の声が聞こえてきた。
いえいえ、気にしませんよ、ところでこの呪いどうやったら解けます?
『ユグドラシルの葉っぱを煮出しした湯に浸かれば消えるぞ』
りょっか。
私はふらつきながら風呂場へ向かおうとしたが皆に止められた。
なので、葉っぱを皆に渡して煮出ししてお湯を沸かしてほしいとお願いした。
それまでは棺桶で静かに横になる。
「……」
ちなみにどんな下っ端の神様なんですか?
と、私は問いかける。
『人間主義者じゃよ、知識はあるから神にしてみてはと言われてやったのが失敗じゃったわ』
今度からは思想優先でお願いします。
『そうするわい』
棺桶の中でも疲れてしまいため息をつく。
ようやくお風呂が沸き、私は何とか抱えられて移動し、シルヴィーナに見張られながら風呂に入った。
どろどろと体にまとわりついていた疲れの元が取れていく。
疲弊の元がとれていくようだっった。
「ふーさっぱりした」
風呂からあがると、ユグドラシルの葉っぱは全てしなびていた。
「Oh」
驚きつつシルヴィーナが用意したタオルで体を拭き、服に着替える。
その後クロウが風呂場にやって来て何かしていた。
聞いた所、呪いが蔓延しないよう処置したとか。
そして私の体を拭いたタオルと、寝る前に来ていた服は燃やされた。
炊き上げされた?
ともかく呪いが染みついているから、聖水やユグドラシルの枝で燃やす必要があるらしい。
子どもたちは呪いが無くなったのでようやく私に抱きついて離れなかった。
アルトリウスさんたちも離れない。
そいや、下っ端神様はどうなったの?
『消滅したぞ』
あ、やっぱり。
読めてたオチに納得する私。
「コズエ様の快気祝いだ! 酒をだすぞぉ!」
「こちらはスープを出しますわ!」
「豚汁とおにぎりもありますよ!」
「ピザもあるよ!」
わいわいがやがやと宴が始まる。
「愛し子様」
「マリア様」
「聞いた話では下級の神に呪われたと……」
「いやぁ、よくあるんですよ、私吸血鬼なので下っ端からの神様の当たりが強いので」
「だが他の上級の神々と神々の王にして創造主のデミトリアス様からは寵愛を受けているのだろう? どうして下級の呪いに」
「あーそれは聞いて無かったなぁ」
「正妃よ、我が説明する、こちらに」
「わかった、ではな愛し子様」
マリア様はクロウに呼ばれて屋敷に向かっていった。
久しぶりだが、やっぱり自分は下級の元人間とかの神様には嫌われてんなぁとため息をついた。
まぁ、子どもたちが被害に遭わなかったので良かったが。
子どもや夫たちが被害にあったら何をするか分からんぞ私は──
下級の神の呪いによって衰弱した梢。
何故下級の神の呪いごときで衰弱したかは次回以降判明します。
それまでお待ちを。
梢が一週間目を覚まさなかったら周囲の方々は気が気でないでしょう。
特に家族。
ちなみに、これは梢だからこの程度で済んでます。普通の方なら一発アウトで死亡してます。
そして梢も、梢だから落ち着いてます。
自分の家族が対象にされたら神様であろうとブチ切れて自分で処そうとします。
だから今回は梢で良かったのです。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
反応、感想、誤字脱字報告等ありがとうございます。
次回も読んでくださるとうれしいです。




