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王族来訪~色々あるものだ~

冬の始祖の森に、ドミナス王国とムーラン王国の王族がやって来る。

いつも通りの面々に、新しく小さな子ども達がいた。

その中の一人シャルル・ドミナスは神々の愛し子である梢に挨拶をすると──




 雪がしんしんと降る日、王家の馬車がやってきた。

 ドミナス王国とムーラン王国の馬車が。


「コズエ様!」


 厚手のコートを羽織ったイザベラちゃんが馬車が止まるとすぐ、下りてきて私に駆け寄り抱きついてきた。


「イザベラ様!」


 私も抱きしめ返す。

 そして抱きしめ終わったら離れてにこりと笑う。


「ようこそいらっしゃいました。冬ですので雪景色ばかりで、畑も休みですが……」

「いいんです、この雪が! ムーラン王国にないものですし、とても綺麗ですわ」


 イザベラちゃんはニコニコしている。


「母様、私愛し子さまに抱きしめられたい」

「母様、僕も」


 カナン君とマリーローザちゃんが言う。

 イザベラちゃんがチラリとこちらを見るので微笑み返す。


「いいですよ、カナン様、マリーローザ様」


 そう言って屈むと、二人は満面の笑みを浮かべて抱きついてきた。


「わー愛し子様いい匂い」

「本当だー」

「こら、貴方達! コズエ様に失礼なことをしないの!」

「いえいえ、気にしませんから」

「コズエ様……」


 今日はクラフト小屋で調香した香水を少しだけつけている。

 私も好きな香りだ。


 二人を抱きしめ終えて立ち上がると、マリア様たちが来た。


「マリア様、クレア様」

「マリアお義母様! お母様!」

「わーい、お祖母様たちだー!」

「お祖母様!」

「おやおや、遊びたい盛りなのだな」


 マリア様がカナン君とマリーローザちゃんを撫でる。


「ええ、王宮ではあまり遊びもせず勉強に集中している分、ここに来ると……」

「それはあまり良くないな、王宮でも遊べるようにした方がいい」

「やっぱりそうですか……ロラン様と義父様と義母様と相談いたします」

「何かあったらエンシェントドラゴン様に手紙を出せばいい、お前の味方になってくれるだろう」

「はい!」


 という会話をしているのを聞きながらいつの間にか隣に立っていたクロウを横目に見て突く。


「だってさ、エンシェントドラゴン様」

「やめんか、お前に様付けされるとなんかこう、こそばゆい」

「何よそれ」


 思わず笑ってしまった。


 そんなやりとりをしていると、とことこと、小さな子どもが私の前にやって来た。

 私は屈み視線を合わせる。


「はじめまして、いとしごさま、ぼくは、しゃるる。しゃるる・どみなすです」

「初めまして、シャルル様。私は梢と申します」


 そこかたどたどしいが、しっかりと喋るシャルル様を見据える。


「まずはしゃざいを、ぼくのあにうえ、るきうすにいさまがいとしごさまのごそくじょさまをおいつめたことにしゃざいを」

「おいつめた──……いえ、そこまでは」

「いいえ、おいつめました、だからきらわれたのです」

「そう、ですね……」


 追い詰めたというか、しつこすぎたというのが正解だが、そうしておこう。


「ごそくじょさまにはこんやくしゃがいるのに、それをひきさこうとしているため、にいさまはきんしんちゅうです」


 よく覚えてるな謹慎とか⁈


「しゃるるしゃま!」

「しゃるるしゃま‼」

「しゃるるさま」


 ろれつが回らない子が二名、しっかりしてる子一名、の女の子達がやって来た。

 しっかりしている子の周囲には妖精と精霊がいる。


「シャルル様、彼女達は?」

「ぼくのせいひこうほと、そくひこうほ、つまりはこんやくしゃです」

「Oh」


 おういぇ。

 ルキウス君の前科があるからってここまで早くするとはドミナス王国も大変なんだなぁ……


「お名前を教えていただけますか?」

「「あい!」」

「はい!」


 女の子達は可愛らしくおじぎをしてからなのりだした。


「るみあ・れがりあでしゅ。みれあのあねでしゅ」

「みれあ・れがりあでしゅ。ふたごでしゅ」


 所々ろれつが回っていないが可愛らしい。


「るみあとみれあはそくひこうほなんです」


 Oh、マジか。

 大丈夫なのか、双子で側妃って?

 喧嘩しない?


「えんしぇんとどらごんさまが、このふたりならちょうどよいしおなじたちばならけんかもしないからそくひでいいだろうと」

「おい、クロウ」

「……」


 クロウの奴顔そらしたな?

 村から出ていない間本当、何やってんだか⁈


「わたしはれすてぃ・くろっかすともうします」

「……もしかして、シャルル様とおなじくレスティ様は精霊と妖精の愛し子」

「はい!」


 レスティちゃんはにこりと笑いました。

 それをみた私はクロウに視線を向けます。


「いや、丁度良くシャルルと同じ精霊と妖精の愛し子が産まれておったのでな、年齢的にも良かったので……」


 全くこのエンシェントドラゴンは。


「つまり、レスティ様は──」

「せいひこうほです」

「なるほどそうなのですね」


「お母様ー何をお話……」


 音彩がやって来た。

 足を止めると、目を輝かせる。


「どうしたの、音彩?」

「可愛いー!」


 と、シャルル君達ちびっ子ちゃん達を抱きしめました。


「音彩ー⁈」


 不敬罪とかで何かなるんじゃないかとガチで焦る私。

 それを見て爆笑するクロウ。


 クロウ、覚えとけよ、ちくせう!





「……音彩、言ったと思うけど、王族の方にそういうことしちゃダメでしょう」

「ぼくたちはきにしませんよ?」

「私もだ、面白いものを見せて貰った」


 マリア様はによによしてて、シャルル君たちはにこにこしている。


「ってマリア様達も言ってらっしゃるわ?」

「ならせめて一言! 一言抱っこしてもいいですかと聞いてからやってちょうだい! 私の心臓が止まると思った!」


 不敬罪とかで!

 主に不敬罪で!


 音彩は顔色を悪くしている。


「ご、ごめんなさい、お母様! まさか其処までとは思わなくて!」

「音彩、安心しろ。コズエは小心者だからな、不敬罪でお前に何かあったら困るから心配しただけだ、そう小心者(・・・)だからな」


 クロウの奴、強調して!

 でも、事実、悲しみ!


「そう、私は小心者なの、だから気をつけて頂戴ね」

「はい、お母様」


「だっこしてくだしゃいだっこ!」

「みれあもだっこ!」


 子ども達に今度は私がねだられ始めた。

 私は何とか笑った。


「はい、分かりました、並んでくださいね」


 というと、並んでくれた、聞き分けはいいな、と思った──







まだまだ、幼い子どもたちですが。

ルキウスの前例があるため、このような幼い段階で婚約者を決められてしまいました。

クロウもバッチリ関わっているので梢から「何やってんだ」と思われています。

今後はシャルルたちが森と関わっていくでしょう。

ルキウスはもう関わる事はありません。

が、ルキウスを擁立したい輩がいないとは言い切れ得ません。

シャルルたちはこの森と梢たち家族とどう関わっていくのか、楽しみにしてくれれば幸いです。


ここまで読んでくださりありがとうございます。

反応、感想、誤字脱字報告等ありがとうございます。

次回も読んでくださるとうれしいです。

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― 新着の感想 ―
か、可愛いが大渋滞してる…だt( ゜ཫ ゜)ゴフッ ちょっとあまりの可愛さに吐血しました。そして、尊く可愛いが渋滞しているこの話を流れるようにお気に入りに登録。にしても、てっきり正妃候補だけができた…
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