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18年目の冬来たりて~子ども達の事情~

冬になり、梢達は雪と悪戦苦闘しながら日々を過ごしていた。

子ども達の恋愛模様を聞いたり、聞かなかったことにしたりして。

そんな中、ムーラン王国からはいつもの通り、ドミナス王国からマルス王太子達も始祖の森に来たいという要望が届く──


 収穫祭や、交易を盛んに行い。

 冬ごもりの前の狩りも行った。

 リザードマンさん達は冬ごもりの挨拶をして家に籠もった。


 そして──


『冬ですよ!』

『冬ですよー』


 冬が訪れた。

 相変わらずドカ雪なので雪かきは大変。

 ただ12歳になった子ども達は雪かきを手伝えるようになり、色々と楽になった。

 私はつかれると、一息ついて家でホットミルクを飲む。


「ふへぇ、今年もドカ雪か。まぁそのお陰で春になったら作物の成長は良いんだけど」


 一人呟く。


「お母様、休憩ですか?」


 音彩がやって来て問いかけてくる。


「そうよ、休憩」

「私も休んでいいですか?」

「勿論」


 音彩はにこっと笑ってホットミルクを入れて砂糖を少しいれ、飲む。


「ああ、幸せだなぁ」

「音彩、カイル君とはどうなってるの」


 ふと思って聞いてくる。


「えへへー、カイル兄様は優しくてそれでいて真面目で、私の事を考えてくれるんですよ~~! 誰かさんとは違って!」


 惚気たと思ったらキツい言葉。


「ああ、ルキウス王子の事ね」

「今はクロウおじ様が手紙を受け取ってるけど『この阿呆が国王になったら国が滅びる』って眉間にしわ寄せてましたよ」

「ウワーオ」


 ルキウス君、そこまでアレなんか。

 音彩も可哀想に、そんなのに執着されて。


「お母様のところだと成人は18歳からなんでしょう?」

「ええ、そうね」

「だから18歳になったら結婚したいの」

「なるほどね」

「それでね、ドレスとかお母様に作ってほしいの、ダメ?」


 首をこてんとさせて私を見る可愛い音彩。


「ダメな訳ないじゃない、むしろ頼んでくれてうれしいわ」

「本当⁈ えへへ、お母様の作ったドレスはどれも素敵だもの……うれしいなぁ」


 音彩はうれしそうにホットミルクを飲んでいた。


 すると、今度は晃と肇が入って来た。


「あら、どうしたの二人とも」

「休憩です」

「同じく」

「何を飲みたい?」

「紅茶が飲みたいです」

「私もです」


 私は二人の分の紅茶をいれる。

 カップに紅茶を注いで出すと、二人は砂糖を少し入れて飲んだ。


「ああ、美味しい」

「そうですね」

「ところで、兄さん達」

「どうした音彩」

「兄さん達の恋愛(・・)についていつ母様に話すの?」

「「音彩‼⁇」」


 二人は慌てふためいた。

 どうやらまだ隠しておきたいらしい。

 事情はしらないが。


「聞かなかったことにするから」


 私が苦笑してそういうと晃と肇は安堵の息をついた。

 やれやれ、子どもにも色々あるのね。


「そう言えば音彩、カイルさんとはどうしている?」

「ちゃんとやりとりしてるわよ、この後もデートだもの」

「お前は気にしなくていいですね……」


 何か理由があるのだろうか?

 とは思っても聞かないことにするから私は深くは突っ込まないぞ。





 休憩を終えると、音彩はデートに出掛けていった。

 晃と肇もどこかにいってしまったが、森の中にいるのはわかるので気にしない。


「やれやれ、子ども達も、まだ12歳なのに随分と大人になって」


 雪を片付けながら私は言う。


「いや、そうでもないぞ」

「ええ、まだまだ子どもですよ」

「そうですね」


 パパ組は違うらしい。

 視点が違うからだろうか?


「まぁ、でも晃達も複雑なお年頃になってきたしね」

「それは言える」

「そうですね」

「はい、その通りです」


 そこだけは一致。

 少しだけ笑ってしまった。


「コズエ様!」


 シルヴィーナがやって来た。


「ん? どうしたの?」

「ドミナス王国とムーラン王国からまた来たいと」

「別に構わないけど大丈夫かなぁ?」

「クロウ様にも確認をとったので大丈夫です」

「へぇ」


 そういやクロウが主にやりとりしてるんだもんな。


「あと、今回からマルス王太子殿下達がいらっしゃるそうです」

「それってつまり──」

「シャルル王子の婚約者が決まって一緒に来るそうです」

「オウイェ」


 まだ幼いシャルル君にもう婚約者とは。

 大丈夫かね。


「シャルル君も大変だ……」


 でも、ちょっと不安。

 うちの子だけじゃなく、他の家の子に惚れてしまうという恐れがある。


「コズエ様、シャルル様とクロウ様はお話になられたそうです」

「は⁈ いつ⁈」


 いつの間に話合っていたのマジで!


「コズエ様の心労になることは起きないだろう、と判断なされたそうです」

「だから許可したのね……」


 私は納得する。


「はい、でも森に来る最終的な許可はコズエ様が出すので……」

「いいよ、来ていいって両方に伝えて」

「はい!」


 シルヴィーナは走って行った。


「シャルル君、クロウが認めるってことは相当賢い?」

「だろうな」


 アルトリウスさんが頷く。


「でも、まだちょっと心配」

「コズエは心配症ですね」


 アインさんが頭を撫でる。


「仕方ないでしょう? ルキウス君の件があったんだから」

「此度は大丈夫でしょう」

「ならいいんだけどなー」


 そんな事を思いながら夜空を見上げた。


 澄み切った夜空には星々が輝いていた──







今回は子ども達の様子をちょっとおだし。

音彩はルキウスの事ガチで拒否してます、カイルとはラブラブな様子。

晃と肇はまだ内緒にしていたい様子。

どっちにしろ、パパ達が言うように難しいお年頃ではありますね。

そして次回シャルルが登場します。

梢はどう思うのでしょうか、どう交流するのでしょうか?


ここまで読んでくださりありがとうございます。

反応、感想、誤字脱字報告等ありがとうございます。

次回も読んでくださるとうれしいです。

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― 新着の感想 ―
ね、音彩たんが今日もかわゆい…。かわゆすぎて死ぬ…。作者様の音彩たんを見たいがために毎回復活してもうゾンビみたいですね。ところでルキウスくんは断種するんでしたっけ?あんななの子どもができたら大変ですよ…
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