ドミナス王国の現状を聞く
ムーラン王国の釣書の件からドミナス王国のことが気になった梢。
クロウの屋敷でドミナス王国の現状について尋ねると──
「ところでクロウ」
クロウの屋敷に向かい、私はクロウに尋ねる。
「どうした?」
「何で優良物件が少ないの?」
「簡単だ、年が近いもので、将来有望が中々いなかったのだ」
「何で?」
いや、説明になってないぞ?
「改革の際、今までの役職から外された者達が、復帰しようとあがいて自分の息子と娘達を数多く送ってくるのだ。それで優良物件は今まで表立ってこなかった者が多いから中々釣書を出しづらい」
「なるほど」
「なので、王宮に、同じくらいの年で婚約をしていない子どもの釣書を送らせろと命令した」
「でも、別に好きな人がいたら──」
「神の神託でそこも考慮している」
「ならいいんだけど……」
色々大変だなぁ、ムーラン王国も。
「後、シャルルの件がある。来年だが」
「あーえっと、シャルル君4歳になってから?」
「そうだ」
「……」
前科を山ほどこしらえたルキウス君に王太子は任せられないとの判断。
シャルル君はルキウス君と同じ失敗を起こさないようにするためにこうなっている。
もし、シャルル君が王太子に相応しいとなると、ルキウス君はどうなるだろうか?
少し不安が残る。
「ねぇ、ドミナス王国は今どんな状?」
「うーむ、少々悪い状態だ」
「ウヘェ」
どんな状況なんだ。
「まず、シャルルだが、年不相応に賢すぎ、また妖精と精霊の愛し子ということもあり、年相応よりやや上程度の賢さのルキウスと比べるとシャルルが目立ってしまう。まだ幼子な所もあるが、ルキウスより堪え性だ、我慢ができる。何よりこの森の事を聞いてどのように交易を繋げていくかを三つの子どもが考えているのだ、シャルル側の者達の方が圧倒的に指示者が多い」
「ルキウス君を支持するのは?」
「ルキウスの権威の恩恵を貰いたいものばかりだ」
「ワオ」
まともなヒトが多いけど、アレなヒトも多いのね。
「シャルル君ってそんなに賢いの」
「少し前に王都を訪問した時にあったが、あれは賢いぞ。口調はたどたどしいが、王族の誇りを持っている」
「……」
なんか凄いなぁ。
「癇癪を起こすようになったルキウスとは別格だ」
「いや、それは……」
癇癪を起こす子だっているからひとくくりにするのは良くない。
「分かっている、だがルキウスのは音彩が自分のものにならない事への苛立ちから起こす癇癪だ」
「うん」
そう、それが問題。
ルキウス君は音彩に執着しすぎている。
その結果トラブルを起こしている。
ああ、もう、トラブル起こさず諦めてくれればいいのに!
確かに親目線でも音彩は可愛い。
だからって何かするのはどうかと思う。
騒動起こすのも勘弁してほしい。
「梢、お前は本当苦労するな」
「苦労しているのは、マルス様とエリザ様なんだけど? エリザ様、ルキウス君のことで頭痛めてそうだし」
「確かにな」
「でしょう? それとシャルル君はまだ三つなのに重荷を背負っているし……」
「そうだな」
あー!
色々と不安で嫌になるー!
クロウと会話し終えた私は、頭を抱えて家に戻り、ミルクを飲んで一息つく。
「お母様、どうなさったの?」
「コズエ、どうした?」
夜起きている音彩とアルトリウスさんが声をかけて来た。
「うん、ちょっとね」
「……ルキウス関係か」
「鋭いね」
私はミルクを注いでちびちび飲み始めた。
音彩は嫌そうな顔をしている。
しょうがないよね、あれだけのことあったんだし。
「クロウおじ様はなんて?」
「シャルル君が年不相応すぎる位賢いから今シャルル君の派閥が圧倒的に多いんだって、妖精と精霊の愛し子というのも加算されているし」
「まぁ、そうなの?」
「そうよ、で結果ルキウス君の派閥は権威のおこぼれを貰いたがっている連中ばっかりなんだって」
「ああ……」
音彩はあきれた様な声を出した。
「改心していれば、こんなことにならなかったのに」
音彩はため息をつく。
「取りあえず、来年かしらね。シャルル君が来るのは」
「そうかもしれんな」
「何か謝罪されそうだわ」
音彩は再度息を吐き出して言う。
「うん、あり得るかも」
私は頷いた。
次の日、いつも通り子ども達と畑仕事などに専念した。
「母様、これでいいですか?」
「母さん、これでいい?」
「お母様、これはどう?」
疑問に思うとすぐ聞いてくれるので助かる。
「うん、いいのよそれで。ありがとう」
そう言うと子ども達はうれしそうに微笑むのだ。
12歳になった子ども達。
夫達とのぎくしゃくもあったけど、解決した。
さて、問題は反抗期、大丈夫だろうか……
不安だ……
「「いとしごさま!」」
「マリーローザ様に、カナン様、どうなさいました?」
「おかあさまたちにくだものをもっていきたいのです」
「どれがいいですか?」
「こんなに暑いのですから冷えた果物がいいですね、ついてきてください」
と保管庫に案内する。
「ひえひえー」
「ひんやり!」
私は冷却ボックスを持ち、冷えた果物を入れた。
「ご家族で食べてくださいね」
「「はいっ!」」
双子ちゃんはそう言って、お付きの人にボックスを持ってもらい、屋敷にてってこと走り去って行った。
それから数時間後、イザベラちゃんが私達にお礼を言いに着た。
子ども達の我が儘を聞いてくれて感謝の言葉を言ってくれた。
「お母さん達思いの子達ですね」
「ええ、でも森の保管庫から貰うのは……」
「いいんですよ、山のようにあるんですから在庫は」
「そうなんですか?」
「そうですよ」
「ああ、そうだな」
とシャーベットを食べながらクロウが同意した。
クロウ、いつも食べてばっかだな。
と心の中でため息をついた。
まだ出てない?シャルル君ですが、ドミナス王国では王太子に相応しい人物と扱われているようです。
一方のルキウスは音彩関係で癇癪を起こしたりするので問題視されています。
音彩もそろそろ勘弁して欲しい頃合いですよね。
さて、シャルルがいずれ来ることが判明。
子ども達の思春期?は取りあえず乗り越えたように梢は感じてますがまだ反抗期が残っていると冷や汗だらだらです。
多分反抗期は大丈夫だと思います、梢は。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
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次回も読んでくださるとうれしいです。




