思春期?故の潔癖性
誕生日のプレゼントを大切にする梢。
そんな梢に子どもたちは既に「母と共に森で暮らす」という意思を伝える。
梢はそんな子どもたちに──
誕生日に貰ったアクセサリーは仕事以外の時は身につけている。
花束はしばらくしてからドライフラワーにした。
懐中時計は身につけてある。
問題のブルーダイヤモンドの原石は加工して、いずれ結婚するだろう音彩の為にとっておいている。
目を覚まして時計を見て、そして着替えて準備された食事をとる。
子ども達が小さい頃はなるべく一緒にとり、しばらくしたら別々になったが、また一緒にとるようになった。
どうしてかな?
「お母様、私達は森を出ず。森と共に暮らす覚悟はできています」
「はい、私もです」
「お母様、だから一緒にいてお母様の手伝いをしたいんです」
まだ10歳、春になれば11歳だけどもこんなに小さな子達が覚悟を決めているなんて。
「いいのよ、貴方達はまだ若い。だから色々と学びなさい。決めるのはそれからでもいいわ」
私は三人をたしなめる。
三人は少し不服そう。
「どうしたの?」
「お母様、私達はもうすぐ11歳になります、子ども扱いは困ります」
「私のいた場所では11歳は子ども、20歳にならないと大人扱いされないわ」
「「「むぅ」」」
三人ともむくれる、そういう所が子どもらしくて愛おしい。
「まぁ、ここでは16歳位で大人扱いらしいから、16歳になってからもう一度答えを出しなさい。後四年しかないんだから」
「「「はい」」」
私の言葉に三人は頷いた。
「だからクロウやレイヴンさん達、お父さん達に相談して将来をきちんと決めて頂戴、四年たって答えが出なくてもいいわ、ちゃんと時間をかけて答えを自分なりに出してほしいの」
「何かお母様矛盾しているような……」
「矛盾してはいないわよ、だっていくつになっても貴方達は私の子どもなんだもの」
私がにっこり笑うと三人は抱きついてきた。
「「「お母様大好き!」」」
「私も貴方たちが大好きよ」
抱きしめ返してそう言った。
しかし、こんな子たちの反抗期は怖いなぁと思った。
反抗期、できれば来ないで、と願った。
冬がまだ半ばの頃、子ども達が外出した後、アルトリウスさん達に呼ばれ家で話合いが始まった。
「何があったの?」
「晃が『父様達は母様が好きなのが分かるけど、三人同時にってどうなの』とか言い始めた」
「肇もです」
「音彩もです」
「はい?」
私は耳を疑った。
「年も年だし、クロウ様が子作りについて教えたのでしょう、その結果……」
「音彩に『お父様達けだもの』と言われましたよ……」
「Oh……」
私に反抗期が来ない変わりに、アルトリウスさん達来たかー。
でもしょうがないよね、事実だもん。
三人同時に出産して、全員親が別々ってことはそういうことだもの。
クロウも余計な事いうなぁ。
「コズエは何も言われていないですよね」
「全くもって言われていないね」
その一言に落ち込むアルトリウスさん達。
「ただいま帰りました! 母様! あれ、父様どうして今いるのです?」
「なんでここに父様がいるのです」
「お父様、お仕事は?」
地味に何でお前ここにいる発言を遠回しでする子どもらに、ダメージを更に受けるアルトリウスさんたち、もといお父さんたち。
「そんな事お父さんたちに言わないの、お仕事ばかりしてたら私が無理してるみたくなるのよ」
「それは……」
私がそう言うと口ごもる子どもたち。
「……お母様、お父様たち三人を相手にしたんですよね」
「あー……それクロウからの情報?」
「いえ、クロウおじ様からの勉強で三人そろってそんな気がして」
「同時には相手してないわよ」
「「「え」」」
子ども達が目を丸くする。
どうやら三人同時に私とことに及んだと思ってた様子。
「誰からやったのかはノーコメントだし言う気もないけど、三人同時じゃ無くて順番に、休みながらやったわよ、まぁそれでも疲れたけど」
「「「……」」」
「でもそれに不満はない。だって貴方達三人をお腹に宿すことができたから」
「お母様……」
「そういうことで、あんまりお父さん達をいじめないで頂戴ね」
私が言うと三人はこくりと頷いた。
それから、三人のアルトリウスさん達への反抗期は無くなった。
まぁ、反抗というか思春期特有の潔癖性からくるものだったのだろう。
あと、日を改めてするという考えはなかったのかと聞かれた。
だからこう返した。
『それをやったら貴方達の三人誰かが欠けていたかもしれないのよ、だから考えはなかったわね』
と言うと、三人は納得してくれた。
それで普段の家族に元通り。
ただ、それでもちょっとあると、人目のない所でお父さん達にちくちく文句を言うのが見えたので私が諭してなんとかしている。
やれやれだ。
「そうか、愛し子様の子もそんな多感な時期か」
休憩中マリア様のところを何となく訪れて私達は話をした。
「……あのーその多感な時期に入ってるであろうルキウス様に変化は?」
「ますます悪化している」
「オゥイエ」
思わず天を仰ぐ。
「『貴族の女共は私の地位しか興味がない、やはり私にはネイロ以外考えられない』と言うばかりでな、マルスもエリザも頭を抱えているよ」
「2歳のシャルル君はどうですか」
「あちらは健やかに育っているよ」
「それは良かった」
私は安堵のため息をつく。
「それと、あの子は精霊と妖精の愛し子のようでな、精霊と妖精を見て遊んでいるようだ」
「おお、それはそれは」
王族でそういう国王ができたら良いんじゃないかな?
多分。
「シャルルはたどたどしい口調で『いとしごさまにおあいしたい』と言っているよ」
「あれまー……」
会うのは構わないが、ルキウス君の二の舞だけはゴメンだぞ。
「ただ、本人もルキウスの現状を何となく把握しているらしく、婚約者が早く決まらないかなーと言っている。だが二歳児で婚約はいくらなんでも早すぎるしな」
「ははは……」
二歳児より物わかりが悪い十二歳児ってどうよ。
「まぁ、あと数年の間には見繕う予定だ」
「そうですか」
「だが、案外自分で見つける可能性もなきにしもあらずだ、何せ精霊と妖精の愛し子だ」
「確かに」
私はそれに頷く。
あり得る話だからだ。
成長も早いし、賢い子が多いからだ愛し子は。
私は神々の愛し子だが、元がアレなのでノーカンで。
「それにしても、愛し子様は凄いな。あの小さな村からこんな大きな村に作り上げたのだから」
「あ、有り難うございます」
私一人でやったことではないのだけども……
褒められるのはうれしい。
「愛し子様、今後も末永くお付き合いを」
「はい」
マリア様はシードルを、私はリンゴジュースの入ったグラスをかかげ乾杯して、飲み始める。
こう言う時間も、たまには悪くない──
梢と子どもたちの話がメインですね。
子ども達は母親である梢を慕い、森と共に生きる事を伝えています。
一方その言葉に梢はまだ早いといい時間をかけて本当そうなのか問いかけています。
それと、やっぱり来た子作りについて。
そのためアルトリウス、アイン、ティリオ、父親たちはこどもたちに「けだもの」呼ばわりされます。
ある意味否定できないのでダメージがでかいですが、梢のお陰でできた溝は埋まりました。
そして、ルキウスとシャルルの情報を聞き、いろいろあるが、二歳児より物わかり悪い十二歳児ってどうなのと梢は心の中で頭を抱えます。
きっとマリアも同じでしょう。
シャルルは、ルキウスと同じ轍は踏まないと思います。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
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