表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
261/310

村の作物を堪能する子等~そしてトラブル~

王族の子ども達が村の作物を堪能している。

梢はそれを見てイザベラと話をする。

その後色々あって、疲れた梢が休んでいると──




「このおやさいおいしいおいしい」

「うん、おいしいねぇ」

 音彩が畑にカナン君とマリーローザちゃんを案内してトマトを食べさせている。

 ちなみに、ここだけの話私は自分の作ったトマトを生のまま食べたことがない。

 実はトマトが凄い苦手なのだ、でもケチャップが作りたいので作っているのだ。


「くだものみたいにあまい!」

「ねー!」


 そうなのか?

 果物みたいに甘いのかそれ?

 そんな事を思いながら収穫作業を続ける。


「わ、みどりのぶどうだ!」

「マスカットよ、食べる? 甘くて美味しいわよ」

「たべる!」

「たべる‼」


 音彩が鋏でマスカットの房を一房切り取り、二人にとるように言う。

 一粒ずつとって食べると、二人は目を輝かせてぱくぱくと食べて行った。


「おいし、おいし!」

「かじゅえんのぶどうよりもずっとおいしい!」


 と言って首をかしげる。


「果樹園?」

「王宮に果樹園があるんです、ムーラン王国は」

「イザベラ様、王宮に果樹園?」

「ええ、最も品質の良い種類の果物だけを作っている果樹園なのですが……やはりコズエ様がお作りになる果物には色々と劣ってしまいます」

「え? そうですか?」

「はい、葡萄なら宝石のように美しく、みずみずしい。そして味は甘く濃厚」


 まぁ、褒められて悪い気はしない。


「リンゴは艶めいていて、紅く、甘く美味しい」

「ありがとうございます」

「ムーラン王国は果物大国と知られていますが、コズエ様の作物があまりにも美味しすぎるのでドミナス王国とブリークヒルト王国では輸出は庶民向けになってしまいました」

「oh……それはすみません」

「いいえ、だってそれ位美味しいのですもの、それに他の国では未だ高級品扱いですから大丈夫です」

「う、うーん……」

「ちょっと意地悪でしたね、コズエ様はそういうのに良心を痛める御方でしたから」

「ははは……」


 見抜かれてーら。


「コズエ様は、色んな国と交流なさる予定ですか」

「いや、そのつもりはないよ。面倒だし」

「クロウ様も、コズエ様なら面倒だと言うとおっしゃってました」


 イザベラちゃんがニコニコと笑う。

 クロウの奴……まぁ、事実だから仕方ないんだけどね!


 私は盛大にため息をついた。





 ちょっと疲れたの休むことにし、家でアイスを食べていた。

 夏場は冷たいものに限る。


「お母様、休憩中?」

「うん、そうよ」

「なら良かった、お父様が『今もし母さんが働いていたら容赦なく兄妹総出で家に引きずり混め』とおっしゃっていましたから」

「誰がいったの?」

「全員ですわ」


 アルトリウスさんたちェ……今は無理はせんわ!


「もう無理はしないわよ、だって疲れちゃうもの」

「でも、昔のお母様は疲れるのも分からず働いていましたよね?」

「うぐ」


 反論ができない。


「お母様、私たちが小さい頃はよく無理してたもの」

「仕方ないじゃない、貴方たちは小さい子で、小さい子はいつころっと死んじゃうか分からないのよ」

「……まぁ、お母様の気持ち分かりますけど……」

「どうして?」

「マリーローザ様や、カナン様が産まれた時、こんな小さいのか! と驚きました。村の赤ん坊も同様です」

「なるほど」

「そんな小さな子が、自分より脆い存在があちこち走り回っているんです、気が気でないでしょう」

「そういうこと」


 どうやら音彩はイザベラちゃんの御子様のことで色々と考えさせられたそうだ。


「私も親になったら色々と大変なのかしら」

「音彩」

「どうしたのお母様?」

「それはまだお父さん達には言わない方がいいわよ」

「? 分かりました」


 まだ、音彩は十歳だ。

 子どもだ。

 そんな子がそういう発言をすると、色々と父親勢は落ち着かなくなるだろう、おそらく。

 と、イマジナリークロウも言っている。

 だから、言わせないのだ、今は。


「ところで音彩、カイル君とはどうしている?」

「カイルさんはね、私のことをいつでも思いやってくれてるの、自分の意見を押しつけないのがうれしいの! でも、ハッキリと言うときは言ってくれるのがいいの!」


 とうれしそうに報告。


「ルキウス様はどうだったの?」

「あの王子様は自分の意見ばかり押しつけてきたわ、ソレが一番正しいことのように。でもカイルさんは違うの、正しいか分からないけど、よりよい選択をしようとするの、皆の為に、自分の為以上に。だからそんなカイルさんを私は支えてあげたいの」


 なるほど、そう言う理由か。

 なら納得──……


「お母様?」

「ちょっとクロウとシルヴィーナにお願いしてくる」


 森に無理矢理入ろうとしている存在がいる。





 私は二人に頼んで追い払って貰った。

 森に入ろうとした者達の目的は音彩、そしてカイル君。

 音彩は連れて行き、カイルは亡き者に。

 依頼人は、言わずもがな。


──ドミナス王国第一王子ルキウス──


 どうやって依頼をしたのか知らないが、少し痛い目を見て貰うことにした。

 クロウとシルヴィーナ、私、音彩、カイル君で王宮へ向かう。


 国王様には拘束しているルキウス王子を待機させてもらう。


「来たぞ」

「おお、エンシェントドラゴン様! 愛し子様、申し訳ない。我が愚孫の愚かな行為を止められず」

「国王様には不満はありません、手段を潰していったのに、隙間を見つけたそこのルキウス殿下が全て悪いのですから」


 ルキウス王子は口を塞がれ、うーうー唸っている。


「二人ともできる?」

「はい、お母様!」

「は、はい……」


 小声で言うと、二人はルキウス王子の前でキスをした。

 より正確に言えば口づけをした。


 ルキウス王子は拘束から逃れようと暴れるが、逃れられない。


「此度、ここで宣誓しよう。愛し子梢の子音彩は、将来必ずカイルの妻になると! 同様にカイルは、音彩の夫になると! 誰も引き裂くことは許さん、このエンシェントドラゴンが言おう!」


 ルキウス君大ダメージ受けてるな、もうボロボロと泣いている。


「何度もいうけど、ルキウス王子、私貴方が大嫌い! なの!」


 音彩のその言葉が最後のダメ押しになってルキウス王子はへたりこんだ。


「次同じ事したらルキウスよ、お前は今すぐ廃嫡し、教会に預ける。二度と王族を名乗れると思うな」


 国王様が厳しい言葉をぶつける。

 まぁ、それだけのことをしちゃったんだからしょうがないよねぇ。


 何せ、ドミナス王国とうちの村は貿易相手。

 作物、畜産物、加工品など色々あるが、どれも一級品。

 それが手に入らなくなる恐れがあるんだから、まぁしょうがないよね。


「それとルキウス、今のお前は王の器にあらず、王になりたいのならばその性格をなんとかせよ」


 王様、多分無理じゃない?


 とは思うけどいいはせず。

 マルス王太子夫妻に謝罪され、家に帰ったが、カイル君と音彩には今日のキスのことは内緒にするように言った、パパ達が怒ると。

 ただし、音彩の暴言を言ったことは言っていいと言った。


 これで似たようなこと、起きないといいんだけどね──






子ども達は村の、正確には梢の作物を堪能しています。

梢の作物は青臭さが全くなく、新鮮でみずみずしい香りがします。

例えるならトリコのベジタブルスカイみたいなもんだと思ってください、アレが近い。

それが一日か二日置きに収穫でき、魔法の力で鮮度が収穫時のまま来るのですからどの王室も欲しくてたまらないでしょう。


さて、そんなほのぼの空間でトラブル勃発。

ルキウスがまだ音彩を諦めていなかったので、クロウがカイルと音彩に言って強硬手段にでました。

夫たちがいないのはキスシーンを見せないためです、刺激が強すぎる。

音彩はカイルと添い遂げる気満々ですし、カイルも共に生きる気満々なのです。

ルキウスはそんな二人を引き裂いてでも音彩を自分のものにしたいのです。

音彩の意思はガン無視、そこも音彩は分かっているからかなりむかーっときているのです。

さて、これで終われば良いのですが……どうでしょう?


ここまで読んでくださりありがとうございます。

感想、反応、誤字脱字報告等ありがとうございます。

次回も読んでくださるとうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ここまで読んで思ったこと。音彩たんがかわゆい!そして、ついにルキウスくんを野郎呼びするとは…。ルキウスくんも音彩たんを諦めきれないと自覚しておきながら、行動は止められないんですね。 やはり肇くんと晃く…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ