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イザベラ達との別れ

米が食いたいと田んぼを作り苗を植えた梢、あっという間に苗は生長していた。

それについてクロウが言及し、そこで「鑑定」という能力について話がでる。

だが、梢は「鑑定」することができず、またクロウが見たところ「鑑定」能力に鍵がかかっている事が発覚する。

そんな時神様からスマホで連絡が来て──





 夕方目を覚ますと、私は購入している米を見る。

「……」

 パン率が多いが、米を食いたい。

 よし、開墾しよう。


 私の家の周囲を開墾し、耕し、水路を作り、水の精霊と妖精に水を流してもらい田んぼを作る。

 苗を購入し植える。

「ちょっと時期的に遅いから、少し早く大きくなってほしいなぁ」

 なんてことを呟きながらジャージ姿で村へ向かった。


 ちなみに、朝方になる頃には稲はめちゃくちゃ成長していた、妖精さん、精霊さん、私の加護、やばすぎ。




『まったくお前さんのやることは本当とんでもないのぉ』

「そんなに?」

『……前々から思ってたんじゃが梢、お前さん鑑定できんのか?』

「鑑定?」

『目をこらし、そのものがどうであるか調べる術じゃよ。試しにそのマット調べてみるといい』

 とクロウおじちゃんに言われて目をこらすも何も分からない。

「全く見えない」

『変じゃの、前の愛し子は鑑定なんぞ余裕で──なんじゃこりゃ鑑定の能力に鍵がかかっとる』

 クロウおじちゃんが首をかしげるとスマホが鳴った。

「はいはいー」

『電話にでてくれてよかったぞー。すまんがおぬしの鑑定能力には鍵をかけてある。分かるのはこれは良いもの、悪いものとかその程度じゃ』

「いやー私はその程度でいいんですが、何故鑑定能力を?」

『……前の愛し子が死んだ理由の一つがその鑑定能力じゃったんじゃよ』

 あっはい、分かりました。

 二の舞は御免だと。

「わかりましたー有り難うございます」

『理解が早くて助かったわい』

 通話を終え、クロウを見る。

「なんか前の愛し子の二の舞は避けたいんだって」

『なるほど、それなら仕方ないのー』

「だね」



 そんなこんなしていたら、あっという間に一週間経って、イザベラちゃん達は戻ることに。

「とっても楽しかったわ! コズエ様、また来るわ!」

「勿論楽しみにしてるわ」

 イザベラちゃんは嬉しそう。

「次は母君と来られたらいいな」

「はい!」

 マリア様がそう言うとイザベラちゃんは子ども達に挨拶をしに行った。

「実はだな、愛し子(・・・)様。聞きたいことがある」

「何でしょう?」

「イザベラの誘拐指示をした側妃メリーウェザーとその娘が精霊と妖精の両方に呪われて未だ苦しんでるんだが、心あたりはないか?」

「え゛」

「……その顔全く知らないようだな。失礼した」

 マリア様はそう言って馬車に乗り込んだ。

 私は冷や汗を垂らしながら妖精と精霊達を見る。


『バレちゃった!』

『そうだよ、僕達の仲間が呪ったんだよ‼』

『愛し子様の大事な子を酷い目に遭わせたから‼』


 頭痛が痛いと言いたくなるほど、頭が痛い。

 これは一生黙ってなきゃなと思った、下手すりゃ不敬罪で殺される。


 殺されるのは御免だ。

 昔は死んだように生きていたけど、今は精一杯今を楽しんで生きているんだから。


 私はそう思うと心に堅く誓った。





「では、コズエ様。さようなら! また今度!」

「またどうぞー!イザベラ様ー!」


 其処へ白亜がやって来た。


『また、護衛をしましょうか?』

「お願い」

 白亜はすぅと姿を消して、居なくなった。

 無事に帰れる事を祈るまでだ。


「さぁて、そろそろ、寝よう。眠気マックスでしんどみ……」


 私はそう言って日中を歩き、棺桶に入って眠りについた。





 日が暮れた頃私は目を覚ました。


「だからやめなさいー!」


 シルヴィーナさんがあわあわした感じで怒ってる。


 私はパジャマのまま外にでる。

 そこには畑を掘り掘りしている子フェンリルが。


「ゴルァ‼」


 怒鳴りつけると、きゅ~~ん、きゅ~~んと掘り返すの止めてビクビクし出す子フェンリルが。

「遊ぶ場所なら作ったでしょ……畑掘り返したら毛刈りするっていったよねぇ⁇」

 ゆらりと蠢いて言うと、涙目になって子フェンリル二匹が震え始める。


『ど、どうしたのです! ってこらお前達‼ またコズエ様の畑を掘り返して‼』


 石榴がやってきて、二匹を押しつぶす。

『コズエ様、申し訳ございません!』

「きゅぅう~ん」

「くぅ~~ん」

「石榴さんや、頼むから畑掘り返すのは止めるようにきつく言ってくだされ、せっかく運動公園作ったんだから」

『そうですね……お前達、あちらの広場で遊びなさい、いいですね!』

「きゃうん!」

「わぅん!」

 逃げるように走って行った子フェンリル二匹を眺めて私はふぅと息をつく。

「さて、畑治すか……」

「わ、私も手伝います!」


 私はとぼとぼと畑を治し始めたのだった。

 前回よりは被害は少ないが、それでも困った物だ。

 シルヴィーナさんに手伝ってもらい、すぐに直った。


 運動公園に不備があるのかなと思っていくと、子フェンリル二匹は、きゃっきゃと他の子ども達と遊んでいた。


 不備ねーじゃん!


「なんだぁ、私の畑には掘り返したい要素があるのか?」

 と呟いてしまう。


『子どものすることだから分からないねー』

『まだ小さいフェンリルだからねー』


 妖精と精霊が慰めに来た。

「……対策は……しようがないよね」


『だねー、僕らの声も聞こえない位熱中してたし』

『そうそう』


「仕方ない、諦めるか……」

『私が見ております』

 石榴が会話に入って来た。

「石榴?」

『コズエ様の手を煩わせないよう、遊ぶ際はここに来るように誘導します』

「できる?」

『はい、その間の狩りは玉髄に任せきりになりますが……』

「本当? 有り難う」

 それだけで助かる。





「コズエ様」

「ロドノフさん」

 ドワーフの職人ロドノフさんが声をかけて来た。

「此処に定住が完全にできるし、ドワーフの住処を作ってくれるのもわかっとる、じゃからお願いがあるんじゃ」

「何?」

「ドワーフの里にいる儂らの家族を連れて来たいんじゃ」

「いいよー。でもどうやって?」

 と悩んで居ると白亜が帰って来た。

『ただいま戻り増した、何かありましたか』

「あー白亜お帰り、あのやんちゃ二匹がまた畑荒らしてた」

『孫がすみません……後で締めておきます』

「いーよいーよ、それよかさ、ドワーフの里にロドノフさんの家族迎えに行きたいんだけどどうすればいい?」

『では一人私の背中に乗せましょう、ドワーフの里まで行ってそこからは馬車を出して貰いましょう』

「ロドノフさん、白亜が背中に乗せてくれるから一人ドワーフを案内役というかドワーフの里での事情説明の為乗せてくれない?」

「ドガノフがよいじゃろ、おーいドガノフ! 旅支度をせぇ!」

「おうよ!」

 しばらくすると旅支度をしたドガノフさんがやって来て、白亜の背中に乗り出発して行った。

「無事帰ってくるといいけど」

「ドガノフはアレでも元冒険者だから大丈夫じゃろ、フェンリル様もいらっしゃるし」

「なるほど」

「早く娘に会いたいの」

「奥さんは?」

「娘を産んだ時、肥立ちが悪くて亡くなっちまったんじゃ」

 頑丈そうなドワーフでも、出産は命がけ、ということかと私は思った。


 私は煌々と光る夜空を見上げながら、二人が無事帰ってくることを願った──







イザベラ達王族の帰還と、ドワーフの新しい住民達のフラグが立ちました。

また、梢の愛し子としての秘密が明らかに。

前の愛し子が処刑された理由の一つも明らかに。

色々と明らかになったりしました。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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