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ドミナス王国での騒動~クロウの悩み~

春になり、シャルル王子の一歳の生誕祭をやることになったドミナス王国に作物などを卸しに行くことになったレイヴン達。

だが、ドミナス王国では梢の予想が一部当たる事態が発生し──



「春も収穫が大変ねぇ」

「そうですね」


 今更ながらな事を呟く。

 私の作物は直ぐに収穫できるようになるし、大きさもかなり大きい。

 あと、何か効能とか籠が山ほどあるようだが、私は分からない。

 何せ鑑定能力が無いのだから。

 神様が、余計な事を考えないようにと鑑定能力だけ封印しているから。

 まぁ、私もそっちの方がやりやすいので有り難い。


 そんな事を考えていたら、レイヴンさん達が作物をマジックボックスに入れていた。


「どうしたんです?」

「王国で、シャルル王子の生誕祭が行われるので、作物の納品をお願いされたのです」

「作物、足りる?」

「十分なほどに」

「そっか」


 そうして詰め終わると出発して行った。

 念の為白亜達を護衛につけておいた。





「レイヴンさん達は?」


 二日後音彩が私に尋ねて来た。


「ドミナス王国に作物の納品に行ってるわ。シャルル様の生誕をお祝いするんだって」

「何歳になるの?」

「確か一歳?」

「シャルル様はルキウスみたくならないといいけど」


 うわぁ、呼び捨てだよ。

 相当、毛嫌いしているわこれ。

 まぁ、そうだろうなぁ。

 同じ事をしつこく言ってきて、そして音彩の大好きなカイル君を敵視して、結果音彩はルキウス君の事が大嫌いになってしまったものね。

 他の子──肇と晃のアドバイスをちゃんと受け止めていれば、まだマシだったかもしれないけど、それができなかったのでしょうね。


 そして今、廃嫡と臣籍降下がもう決定されている。

 これを覆すのは相当難しい。


 おそらくルキウス君派の連中には音彩は相当恨まれているはずだ。


「ルキウス王子を誑かした魔女」


 とかね。

 音彩はドミナス王国には行かない方がいいだろう。

 行ったら、色々と問題になるだろうし、ルキウス君が大人しくしてるわけないし。

 クーデターとか起きたらどうしよう?

 はぁ、どうしてこうなったんだか。


 と、言っても仮にルキウス君が音彩に少し気に入られても、ティリオさんが婚約を許さないだろう、音彩が不幸になると言って。

 確かにその言葉は否定できない、音彩はダンピール。

 今も忌避している方々は多い。

 そんなダンピールが王族に入るとなれば反発が強いだろう。

 それを考えると、これで良かったと思うしか亡いんだと私は思うことにした。


「ところでレイヴンさんに何を教わろうと?」


 レイヴンさんを探していた理由が気になり私は問いかける。


「マジックボックスが使えるようになったからどういうのか教わろうかなって」

「クロウに聞いてみた方が早いわよ」

「やっぱり? でもクロウおじ様あとでお菓子をお母様に請求するでしょう?」


 鋭いな。


「大丈夫よ、それくらいなら。だから気にせずクロウから教わりなさい」

「お菓子請求するのが羨ましいの!」

「あらあら」


 やっぱり子どもね、可愛いわ。


「分かったわ、リンゴのパイを作っておくから行ってきなさい」

「わぁい! ありがとうお母様、大好き」


 そう言って私に抱きついてから、クロウの元に走って行った。

 それを見ている二つの影。


「晃、肇、貴方達の分も作っておくから行ってらっしゃい」

「やっぱり母様には叶わないや」

「そうだね」


 そう言ってふたりの頭を撫でると照れくさそうに二人は笑い、クロウの元へと走って行った。



 その日、クロウに特別に大きいアップルパイを渡し、別のアップルパイを家族みんなでおしゃべりしながら食べた。

 やっぱり誰かと談話しながら食べるのは美味しいね。





 そして一週間後、レイヴンさんが帰って来た。

 その一週間の内クロウは森からいなくなっていたが、レイヴンさんが来る前に帰って来た。

 レイヴンさんはかなり疲弊した様子だった。


「どうしたんですか?」

「ルキウス王子派の者達がクーデターを起こしたんですよ」

「えぇー⁈」


 何か、ある意味予想が的中した。

 悪い意味で。


「クロウ様を呼び出す、鈴を持っていたのと、梢様が護衛につけてくれたフェンリル達のお陰で無事でしたが……」

「え、えーとなんでクーデターが起こったの?」


 内容を聞くと、やはり音彩がある意味関わっていた。

 ルキウス王子が始祖森の魔女(音彩)にうつつを抜かし、他の貴族の令嬢を見なくなったのは始祖の森の者達が悪い。

 始祖の森を贔屓する現国王と、現王太子も悪い。

 だから、ルキウス王子を国王の座につけ、始祖の森との交流を断ち切り、始祖の森を燃やす。

 とかまぁ、言い出したそうだ。

 で、そこにクロウがやって来て。


『神々の愛し子の娘が森の魔女だと⁈ ふざけるな! 我が愛し子の子を侮辱するなら神の怒りが降るだろう、そしてルキウスは愛し子の子に嫌われているのだ、それに執着しているのをどうにかしようとしたが本人が変わろうとせぬからこうなったのだ! 恨むならルキウスの愚かさを恨め愚か者共!』


 と言って、神様のお怒りもとい、呪いが叛逆した貴族達全員にいって、国家反逆罪で牢屋行き。


 多分処刑されるだろうって。

 呪われて居ない子ども達が、そのまま後を継ぐことになるっぽい。


 まぁ、子どもだけでは無理だから王室から派遣された補助する人の手を借りることになるだろうけど。


 王室も大変だなぁ……

 まぁ、そのクーデターが終わったら直ぐさま切り替えてシャルル君の生誕祭をやったらしい。

 国民を不安にさせないように。


 ルキウス君はこの時珍しく王室にいたが、ショックを受けていたらしい。

 自分がそんな風に思われていることと、音彩がそんな風に言われていることも何も知らなかったらしい。

 でも、ルキウス君は変えられないと吐露したそうだ。


 それ位、音彩を思う気持ちが強すぎるらしい。


 音彩に会う前に婚約者がいれば違ったのかなぁと今では思う。

 でも、たらればだ、これは。

 ifの話なんてしたって世の中変わるわけでもない。


 あくまで、ifの話。

 だからこれはここで終わり。

 婚約者がいれば違ったかも、しれない。

 でも、婚約者がいても同じだったかも、しれない。

 分からないifのお話。


 取りあえず、クロウには感謝しといた。

 お礼に苺のパイプレゼントした。


 クロウはため息をついていた。


「何でそんなため息ついてるのさ」


 と、私が尋ねると──


「馬鹿が増えていて昔を思い出した」


 と。

 昔、ああお祖母ちゃんが処刑されたあの時代か。

 まぁ、処刑されずに、お祖母ちゃんは神々の計らいでわたしの世界に転移したんだけど。


 マリー……鞠子お祖母ちゃんを処刑するという考えをカインド帝国がしたとき、似たようなものだったらしいと行ってた。


 神々の愛し子を、人々を誑かす魔女として処刑しようとしていたらしい。


 結果、神々に呪われ、国も滅んだけど。

 人間とか、知的な生き物は同じ事を繰り返す。

 何度も、何度も。



「梢、お前は森から出るなよ、我が言わぬ限り」

「でないよ」


 わたしは森の外にはめったに出ていない。

 これからもそのつもりだ。

 ただ、子ども達はどうなるんだろう?

 どうするんだろう。

 それだけが気になった──






ドミナス王国、クーデター未遂。

ルキウス派の連中からすると、賢いようで愚かなルキウスは傀儡には最適なんですよ。

それには音彩が必要だから、悪く言っておいて、音彩を確保しようと動いて居た、レイヴン達と使って。

が、クロウにぜーんぶ台無しにされました。

神様に呪われるし、その上。

クロウも愚か者が出てくるとやってられなくなって梢にお菓子をねだりたくもなります。


子ども達に教えてお菓子を報酬で貰うならいいんですが、そうじゃない場合はストレス発散です。


ルキウスは、自分でも変えられないと言っているので、多分臣籍降下とか廃嫡も受け入れるでしょう。

いずれ。


そして最期に梢は、将来子ども達がどうするのか不安を抱いております。

さて、どうなるのでしょうね?


ここまで読んでくださりありがとうございます。

感想、反応、誤字脱字報告等ありがとうございます。

次回も読んでくださるとうれしいです。

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― 新着の感想 ―
うっわぁ…。これはおじいちゃんお疲れ様ですねぇ。案の定ルキウスくん派のクーデターですか。うむ、これはまぁ予想はしてましたね。作者様の後書きにもルキウスくんは傀儡にしやすいと書かれてしまっていますしね。…
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