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ムーラン王国とドミナス王国の反応

音彩が婚約した件をムーラン王国とドミナス王国に報告に行ったクロウ。

クロウからムーラン王国が祝福の証として寄越した宝石を受け取る。

一方ドミナス王国は──




 翌日、クロウが帰っていたので私は聞いた。

「クロウ。どうだった?」

「ムーラン王国は問題ない、祝福の品として『黄金結晶石おうごんけっしょうせき』を貰った」

 箱を渡される、箱を開けると黄金色に輝く石が何個かあった。

「おうごんけっしょうせき?」

「黄金色に輝く石だ、かなり稀少でムーラン王国では王族しかつけられぬ代物だ」

「そんな凄いの貰っていいの⁈」

「王国存続の危機を回避したときの礼もあるそうだ」

「ああ……」

 私はなんとか納得する、でもあれイザベラちゃんが不幸にならないように努力をお願いしただけなんだよね、私……。


 私何モシテナイ。


「まぁ、貰えるものは貰っておけ」

「ドミナス王国はどうだった?」

「それがな……」


 現国王様と王妃様達、王太子と王太子妃達に言った結果、ルキウス君の耳にも届いたらしく──

 荒れに荒れたそうだ、ルキウス君が。

 これでは不味いとルキウス君を教会に一時謹慎処分にしたらしい。

 マルス君達が。


 その間に宝石の数々を箱に詰めてクロウに託したらしい。

 こちらも王族しかつけられないような高価な品らしい。


 今までの返礼だと言われたら受け取るしかない。

 取りあえずこれらは、音彩(あの子)が大人になって結婚式をあげる時に使おう、と思ってマジックボックスに仕舞った。

 一時的に。


 しかしルキウス君、教会に一時的とはいえ謹慎処分か──……

 ……ルキウス君が変わらないようならシャルル君、まだ赤ん坊だけどに次の王太子になってもらった方が安全かもしれない。

 音彩に執着されても困る、あの子カイル君一筋みたいだから。

 そこは私とは違うのよね。


 なんか少しだけ自分が優柔不断に思えてきたぞ?


「お前は優柔不断ではない、向こう三人が全員を夫にと言ってきたんだ、それを受け入れたお前はふところが広いのだろう」

「そ、そっかなー?」


 クロウに見透かされるのは嫌だが、そう言ってもらえると安心できる。

 取りあえず家に帰ろう、そう思い家に帰った。


「コズエ様、クロウ様からのご報告は?」

「ムーラン王国は祝いの品と祝いの言葉を、ドミナス王国はルキウス君が大荒れして、ルキウス君は強制的に教会に入れられた、一時的だけどね。それとお祝いの品」


 ティリオさんの言葉にそう答えると、ティリオさんは安心した。


「本当に、ドミナス王家に嫁がせなくて良かったと思っております」

「本当?」

「ドミナス王家、いえルキウス第一王子に嫁がせたら、娘は正妃かつ寵妃になるでしょう。そのことで娘は大きな負担を強いられる、だから私は娘を王族に嫁がせるのは嫌だったのです」

「なるほど」


 理由も納得できるものだ。

 ルキウス君は音彩一直線だったから、他に側妃を娶っても、側妃達は蔑ろにされ、正妃になったら音彩に負担が多く行くだろう。

 ルキウス君はそれを思考する事は無い。

 だから、音彩はいやがっていた。

 周囲を見られないから、付き合いたいと思わなかったのだろう。


「こうなると、シャルル王子が大きくなって王太子になるのがいいかもしれないね」

「そう言えば、お生まれになったと聞きました」

「エリザ様の第二子ね、産まれた子どもの中では五番目に当たるわ」

「なるほど」


 そんな話をしていると、アルトリウスさんとアインさんがやって来た。


「どうした?」

「何かあったんです?」

「実は──」


 私はクロウとの会話とティリオとの会話を二人に説明した。


「ドミナス王国も真っ当だということだな」

「ただ、我が子を一時的とはいえ教会に入れねばならないと決断したマルス王太子とエリザ王太子妃のお心は平常ではないでしょう。シャルル王子がいるとはいえ」

「そのシャルルが村の者を好いたらまた大変だがな」

「止めてください、ルキウス君だけで騒動は充分です」

「冗談だ」


 アルトリウスさん、いまの冗談に聞こえませんでしたが?


「何を話している?」

「ああ、クロウ」


 クロウが家にやって来た。


「働いたから甘味を所望する」

「はいはい!」


 ずるっと滑りそうになった三人を見て、クロウのこう言う時の行動は理解していたから急いで甘味を作る。

 シロップ漬けの桃のケーキと、苺のケーキ、ホールで出してやると満足そうに笑う。


「そういえば、シャルルの件が聞こえたが」

「なんですか?」

「ルキウスの件があるからシャルルは婚約者が決まるまで森に来ることはよそうという話になったそうだ」

「だろうね」

「その後、婚約者も森に一緒に来るようにするという風に聞いた」

「夏?」

「夏」


 まぁ、森に囲まれているから避暑には最適ですけども!

 建物は夏は涼しく、冬は暖かいから良いのですが!


 シャルル君も生まれて間もないのに、これから苦労しそうで大変だ。

 そう思って間にクロウはケーキホールサイズ、特大なのを喰い終わってた。

 アンタの胃袋とかどうなってるんじゃ、本当。


「そうそう、アシュトンの件は聞いたか?」

「何?」


 カイル君のお父さんがどうしたのかな?

 まさか婚約に反対とか……


「喜びのあまり飛び跳ねて天井に頭を激突したらしくいま、医療院で寝込んでるとか」


 ずるっ


 私達四人はずっこけそうになった。

 アシュトンさん、何してんすか!


「レベッカがあきれて看病しているらしい」

「つまり家には……」

「今スピカとカイルしかおらぬ」

「何かあったら大変じゃん! クロウ、見張ってて!」

「了解、報酬は?」

「苺タルトと、ピーチタルトと、レモンタルト、全部おっきいサイズで!」

「良し任せろ」


 そう言って出て行った。


 ……案だけ甘いもん食って糖尿病ならんのかな?


『ならんぞーエンシェントドラゴンじゃからなークロウは』


 とか思って居たら神様のお告げがあった。

 なるほど、なら大丈夫だろう。


「仕方ない、今のうちにお菓子作るから、晩ご飯の方はお願い」

「分かりました」

「任せろ」

「勿論です」


 二つの台所に別れて調理を開始、クロウの分のついでに家族の分も作った。

 アルトリウスさん達は子ども達と私達の料理と作った。

 ポテトサラダには胡椒をたっぷり、ハムもたっぷり。

 パンはライ麦のパン。

 スープはポトフ。


 私が作ってきた料理を真似て作っている。

 胡椒が高級品なのは外の話。

 この村では香辛料は安い、塩もクラフト小屋で大量生産できるようになった。

 何故か、理由は不明。

 あ、ただしニンニクは別、吸血鬼やダンピールが住んでいるからね作らない。


 家族用の苺タルトを冷やしておく。

 他はクロウ用の冷蔵庫にぶち込んでおく。


「よっしゃ、終わり!」

「こちらも終わった」

「しかし、コズエの料理は早いですね」

「本当そうですね」

「ハハハ……」


 乾いた笑いを浮かべる。


「お母様、大変! カイル君のお父様が頭打って気絶しちゃったの! そんなにショックだったのかなぁ……」


 音彩が戻ってきて言うので私は抱きしめた。


「大丈夫よ、嬉しすぎて飛び上がっただけだから、今日はお祝いに苺のタルトを作ったから皆で食べましょうね」

「! はい、お母様!」


 音彩は笑顔で頷いた。

 晃や肇達も帰ってきたので、皆で食事をとり、最期にデザートのタルトを食べる。


 ふと思う、晃や肇にもそんな子いるのかしら、と。

 でも喋らないなら詮索しない方がいい繊細な事だからね。


 そう思いながら苺を頬張る。

 うん、甘くて美味しい!

 こういう時農業やってて良かったって思うわ!





ムーラン王国は普通に祝福してくれましたが、ドミナス王国はルキウスが荒れに荒れてそれを抑える為に謹慎させている間に祝福の品を渡しました。

ただ、音彩が婚約した件がルキウスの耳にも届いたので何かあるかもしれません。

一方村は平和です、アシュトンが喜びのあまり飛び上がって頭を打って医療院に運ばれる位です。

妻のレベッカが呆れるのも仕方ないでしょう。

ただ、梢はこどもたちしかいないから気にしてクロウに頼みました。

対価は菓子ですが。

そして子ども達とほのぼのする梢、これが続けばいいのですがね。


さて、今回で250話に到達しました。

割とキリがいいですね。

でもまだまだ続きますので、お付き合いいただけたら幸いです。


ここまで読んでくださりありがとうございます。

感想、反応、誤字脱字報告等ありがとうございます。

次回も読んでくださるとうれしいです。

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― 新着の感想 ―
あちゃー、やっぱりルキウスくんこうなったかー。まぁ、予想はできてたけど…。一時的な謹慎で頭が冷えて音彩たんのことを諦めてくれるといいなぁ。そして、シャルルくんはルキウスくんの失敗をふまえて梢ちゃんのと…
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