子ども達を見守る~反抗期への不安~
冬の夜、のんびりと過ごしていると、ロッズと遭遇する梢。
ロッズの現状が語られ──
冬の夜。
やることを終わらせて久しぶりにのんびりしていると子ども達が遊んでいるのと、親達がそれを見守っているのが目にとまった。
その中にロッズさん達が混じって居た。
「ロッズさん」
「おお、コズエ様、ごきげんよう」
「ごきげんよう、良い夜ですね」
私は吸血鬼風に挨拶を返す。
「何をしているんですか?」
「孫の様子をみているんですよ」
「ああ、サフィロ君とペルラちゃんの」
サフィロ君はペルラちゃんに蝙蝠への変化方法の仕方を教えていた。
三回に一回は成功する感じだが、ペルラちゃんは全部成功しようと努力中。
「サフィロは賢く、ペルラは努力家に育っている」
「それはいいですね」
「ここに来た時は他人行儀でしたが、今ではお祖父様と呼ばれるようになったと」
「アリー……」
「良かったじゃないですか」
「それには儂の並々ならぬ努力と苦労があったのじゃぞ?」
「でしょうね……」
としかいえない。
イリスさんとのわだかまりはどうなったのだろう?
「あの、イリスさんとは?」
「まぁ、『馬鹿親父』『馬鹿娘』と腹を割って話せる間柄にはなりましたとも」
「それはまぁ……」
良いのか?
本人達がいいのなら、良いか。
「まぁ、たまに口論が白熱して周囲に止められるがの」
「ダメじゃ無いですか」
「いやぁ、言いたいことは山ほどある、儂も、娘もな」
「……」
ちょっと家族不幸者かなと思った。
お母さんは知らなくて病んだから教えた。
お婆ちゃんは知っている。
他は知らない。
多分、兄貴達は知らないだろう。
お母さんの夢物語だと思っているんだろうな。
お祖父ちゃん達とお父さんは亡くなってるからまぁ、でも……
あっちの世界じゃ親より早く死んだのは事実だし……
「はぁ」
「どうかなさいましたかの?」
「いえ、ちょっと」
家族を思い出していたなんていえない。
記憶が無い設定だからね。
「「「お母様ー!」」」
我が子達が駆け寄ってきた。
カイル君と一緒に。
「愛し子様、ごきげんよう。良い夜ですね」
「カイル君、ごきげんよう。良い夜ね」
「愛し子様の三つ子さん達、蝙蝠、狼、霧変化できるんですよ、この年で」
「ほぉ、それは凄い」
「ええ、凄い事です。僕が教える事が全くなくて僕が教えを請う位です!」
「凄い!」
普通に凄いわ!
やっぱり私の子だからかなぁ?
「「「お母様!」」」
三人の呼ぶ声に振り向くと、三人はぽんと蝙蝠になり、私の体にしがみついた。
可愛らしい鳴き声で、甘えているようにも聞こえる。
「皆凄いわね」
そう言って優しく蝙蝠になった我が子の頭を撫でる。
すると、蝙蝠姿の我が子達は嬉しそうに頭をかいて、私から離れた。
元の姿に戻り私に抱きつく。
「「「お母様、大好き!」」」
「私もよ」
三つ子達がこう私を好いてくれるのは嬉しいが反抗期が怖い。
こんな子達に「クソ婆」なんて言われたら私の心が死ぬ。
「お母様? どうしたの? お腹痛い?」
「ううん、何でも無いのよ」
「本当?」
「本当本当」
「うーん、疑わしいのでお父様達を呼びましょう」
ちょ⁈
音彩⁈
「アルトリウスお父様ー‼ アインお父様ー‼ お父様ー‼」
大声で言うと、どこからとも無く、しゅばっと三人が現れた。
「どうしたのだ、音彩」
「音彩、どうしました?」
「音彩どうしたのですか?」
「お母様、何か心配ごとあるのに、無いって嘘ついてるの」
直球!
でも事実だから反論できない。
「コズエ、今度は何に心を痛めている?」
「何を心配しているんです?」
「お答え頂きたい」
「……反抗期」
「「「反抗期?」」」
「そう、反抗期! 今は可愛いけど、あと十年近く経ったら反抗期来るでしょう! だからそれを心配してるの!」
「……まぁ、気持ちは分かる」
「確かに」
「そうですね……」
「はんこうき?」
「はんこうき⁇」
「はんこうき⁇⁇」
晃達はこてんと首をかしげている、可愛いのだが私の杞憂で終われば笑い話ですむのだが……我が家は特殊だ、何かありそうだ。
「反抗期っていうのは、精神発達の過程で、他人の指示に対して拒否、抵抗、反抗的な行動をとることの多い期間のことなの、大人になる上で起きることがあって当然ともいえるような事なのよ」
「それがどうして怖いの?」
「晃、お母様は僕らがお母様達に暴言吐いたりするのに怖がってるんだよ」
「えー私そんな事いわないわよ!」
「大きくなった僕らが、だよ、音彩」
「じゃあ、お母様達には反抗期にはならないわ」
「いや、無理に我慢する必要はないのよ、それを私が受け入れればいいだけなんだから」
「でも、お母様、受け入れられないんでしょう」
晃の問いかけに口ごもる。
そうだ、受け入れられない。
反抗期は酷い時は酷いと聞く。
反抗期のあれこれが原因で離婚して子どもと離れて暮らすなんてこともあるとか動画で見た気がする。
なので、反抗期が非常に怖いのだ。
「大丈夫だよ、お母様、僕らに反抗期なんてきやしないよ」
「そうだよ、お母様、こないよ!」
「そうよ、お母様、だからいつもみたいに微笑んでくださいな?」
不安そうな表情の子ども達。
いけないいけない。
私はこの子達の母親なのだ。
不安にさせるようなことはさせてはいけない。
「そうね、お母さん、貴方達を信じるわ」
「「「わぁい!」」」
嬉しそうに抱きついてくる三人。
私はぎゅっと抱きしめ返した。
「何だそんなことがあったのか」
「そんな事とは何よ」
クロウの屋敷にチーズケーキのホールを持って行くと、クロウはホール事食べていた。
「それにしても反抗期か、前々からお前は怯えすぎなのだ」
「ぐうの音も出ない」
「お前が大変な思いをすることはないだろう」
「本当?」
「夫連中はどうだかしらんが」
「止めてよねそういうの!」
クロウは本当一言余計なのよもう!
ロッズとイリスの親子は色々とありすぎて今も「馬鹿親父」「馬鹿娘」が限度です。
口論もヒートアップして回りをヒヤヒヤさせます。
ただ、必要なのが分かっているから周りはそっとしておいてます、それにディスってるのは互いの事だけなので。
さて、梢の三つ子達ですが相変わらず無邪気に才能を見せつけています。
お母さんである梢に褒められるのがうれしくてしかたないのです。
ただ、梢はそんな無邪気な子をみると反抗期への恐怖が凄まじくなっています。
クロウの言うとおり、梢には何もないでしょう。
アルトリウス、アイン、ティリオのお父さんズは分かりませんが。
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