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秋の終わり11年目の冬

秋の終わりが近づくと、梢の子ども等は冬の作業を手伝いたいと言い出した。

まだまだ遊んでほしいと梢が悩んでいると、アルトリウスがやって来て──




 秋は子ども達が色々と教わる時期だった。

 収穫の手伝いをしてると思いきや、クロウの元へ行って勉強までしていた。

 みんなそろって。


「かあさまのやくにたちたい!」


 と、嬉しい発言をしてくれたが……

 それもいつまで続いてくれる事やら……

 つまりまぁ、私は反抗期を怖がっている。

 子ども等にクソ婆とか言われたら環境を変えられたグッピーの如く死んじゃう心が。

 そんなこんなで、アルトリウスさん達もいつもの倍くらい働いた秋、作物も私の心情を知ってか知らずか大豊作。

 畑広げたのもあるけど、それでも食うに困らないし、交易や貿易をしても問題ないほど。

 ただ、その為か保管庫の数をまた増やす羽目になったのは言うまでも無い。


『もうすぐ冬ですよー』

『冬ごもりのじゅんびをしてくださいー』

『さいー』


 妖精と精霊達がそんな事を言いながら飛んでいる。

 そんなこんなしていたら冬が近づいていた。


「かあさま、ふゆはなにをするんですか?」

「晃達はクロウの所で勉強していて、私達は雪かきとかしないといけないから」

「ゆきかき?」

「何もしないと道とかも無くなって村の移動ができなくなっちゃうでしょう? その為の雪かきなの」

「かあさま! ひかるもする!」

「はじめも!」

「ねいろも!」

「ええ⁈」


 嬉しいが子ども達にはまだのびのびとしていて貰いたい。


「大丈夫よ、パパ達が手伝ってくれるから」

「「「えー!」」」


 何、そのえーは。

 パパ達だけだとそんなに不満か。

 そんなに手伝いたいの?


「どうしたんだ、コズエ」

「アルトリウスさん」

「とおさま、ひかるゆきかきてつだう!」

「はじめも!」

「ねいろも!」

「って言い出してね?」

「なるほど……」

 アルトリウスさん、何がなるほど、なんですか。

「いいか三人とも」

「「「うん」」」

「お前達のサイズに合う道具が今のところ、無い」

 

 アルトリウスさんの言葉に「ガーン!」と言わんばかりの表情をする三人。

 嘘は言っていない嘘は。


「なのである程度大きくなった雪を固める作業をしなさい、それならできるだろう」


 三人の顔が「ぱぁあ!」っと明るくなる。


「「「うん!」」」


 そう言ってパタパタと走り去って行った。

 多分今年着るスノーウェアを確認しにいったのだろう、先日作り上げたの知ってたし。


「これでいいのかなぁ?」

「いいだろう、多分」

「うーん……」


 首をかしげる私であった。



 リザードマンさん達は冬眠に入り、私達は──



「今年もドカ雪かよ!」

 といいながら雪かきをする日々が始まった。

 ただ、子ども達が手伝うのはまだ早いと言うアルトリウスさん達の説得でしばらくの間は子ども達と雪遊びする日々が始まった。


 子ども達は勉強と雪遊びをする日々。


 雪の山が大きくなった頃、子ども達は雪踏みで道の外の雪を固める作業をしていた。

 子ども達に雪がかからないように、雪を積み上げていくと、善狐さん達がその雪をかまくらに変えていた。

 そして水の精霊を奉っていた。


「どうか、今年も良い水に恵まれますように」


 そう祈っていた。


 妖精や精霊達がふよふよと集まって。


『まかせて!』

『まかせて!』


 とかやっていた。

 妖精と精霊の声を聞こえている善狐の方々は頭を下げていた。

 うちの子達もまねして頭を下げていた。


 こういう所はまだ、子どもなんだなぁと思うと可愛く思えてきた。





 雪がしんしんとふる夜。

 私は編み物をしていた。

 クラフト能力を使わないで、マフラーやセーターくらいなら編める。

 正直品質的にはクラフト能力を使った方がいい。

 ただ、こうのんびりしたいときはクラフト能力を使わず編んでいたい。


「かあさま、なにしてるの?」

「ん? マフラーを編んでいるのよ」

「まふらー」

「ねいろもやりたい!」


 音彩がやりたいと言い出した。


 なので試しに子ども用ので教えてみたが、ちょっと難しい様子。

「かあさま、できない~」

「そっか、じゃあ、手で編もうか」

「「「て?」」」


 三人はこてんと首をかしげた。


「おててでまふらーあめるの?」

「細いのだけどね」


 私は立ち上がり、クラフト以外で使わない、フワフワの毛糸が沢山ついている毛糸玉を持ってきた。


「これで編むの」

「「「ほへー」」」


 私は音彩の手を掴み編んでみせる。

 音彩はこちらはすぐ覚えたのか黙々と編み始めた。


「かあさま、ひかるにもおしえて!」

「はじめにも!」

「ええ、分かったわ」


 あらかじめ予想はしていたので、毛糸玉をアイテムボックスから出し、編み方を教える。

 子ども等は黙々と編み始めた。


 しばらく放置していると、音彩がかなりの長さを編んだので、最期にまとめるやり方を教えた。


「できた!」


 音彩の言葉を皮切りにするように、晃や肇も完成させた。


「かあさまにあげる!」

「ひかるも!」

「はじめも!」


 音彩達はそう言った。


「有り難う、順番に使うね」


 私はそう言って三人を抱きしめた。





「──それでここ最近違うマフラーを毎日交代で使ってるのか」

「そゆこと」


 クロウに指摘されたので説明した。

 アルトリウスさん達にも説明済みである。

 ただ、パパの分が無いのにショックを受けていた。

 ごめんね。

 代わりに私が編むから許して。


 そう思いながら、寒空の下で、私は春に思いをはせた。

 11年目の春。

 五歳になる我が子達を思って。


「そう言えば七五三って文化あるんだっけ?」


 と今更ながら首をかしげた。

 三歳の時は色々あったし、七歳になったらまた色々ありそうなので五歳の内になにかしたい。

 そう思っていた──











子ども達は素直でいい子に育っています。

今のところ。

なので、お手伝いできないとガーンとショックを受けてしまいます。

お手伝いしたいお年頃なんですよ。

そしてマフラー、実際に私も手で編んだとき、ふわふわの毛がついたマフラーで編んだんですよ。

それを思い出して書きました。

今はもう編めないかなぁ;

ちなみにママの分しか作らなかったのはうっかりです、子ども達パパ達の分忘れてます。

さて、春になれば五歳になる梢の子ども達。

梢が気にすること、この世界に七五三はあるのか否か。

次回をお待ちください。


ここまで読んでくださりありがとうございます。

感想、反応、誤字脱字報告等ありがとうございます。

次回も読んでくださるとうれしいです。

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― 新着の感想 ―
まず一言、ありがとうございまああああす!色々あった後のこういう日常回本当にありがたいです。しかし、なろうあるあるで言うとこういう癒し回の後って大抵シリアスですよね…。まぁ作者さまのシリアスって、大体が…
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