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もう一匹のエンシェントドラゴン~強襲~

音彩の夢の件をクロウに相談する梢。

すると神様の声が聞こえ、どうやら昔封印されたもう一匹のエンシェントドラゴンの封印を下級神が解いたらしい。

吸血鬼を悪とし、目の敵にされていると分かった梢は──




「クロウ! ──という夢を音彩が見たんだけど」

「おそらく正夢だな、だがそんな事ができるドラゴンなど──」


 クロウは私の言葉を聞いて考え始めた。


『あーもしもし、すまんのぉ、非常に、非常に、言いづらいんじゃが』


 神様が口ごもりながら話しかけてきた。


「何ですか神様? ……まさか」

『下級神の連中が昔封印したもう一体のエンシェントドラゴンの封印を解き放った』

「ヴァー⁈」


 思わず奇声を上げる私。

 いや、上げるだろうこれ?


「もう一匹のエンシェントドラゴン、確かに居たな? 神々に封印されたが」

「なんで?」

「夜の一族──吸血鬼を悪しとする下級神に唆されて吸血鬼達を滅ぼそうとしたのだ」

「つまり、狙いは」

「お前だな」

『そういうことになる』

「ふざけんなよ‼」


 テーブルを叩き、ウガーと声を上げる。


「それで、始祖の森の村壊滅の未来が待ってると! ふざけんな!」

『あの夢はお前さん達がたまたま遠出してた時に来てしまったという状態のものだ』

「決めた! もう一体のエンシェントドラゴン殺すまで私森から出ない!」

「そうだな、我も出ないでおこう」

『下級神は罰与えて消滅したし、エンシェントドラゴンがどこかちょっと見づらいから来たら連絡をくれ』

「了解!」


 やけくそになって答える。

 平穏無事のスローライフを邪魔する奴は何だろうが許す者か!

 この森に手出ししようとした罪は命を持って償わせる。

 絶対だ。


 その日から、音彩は眠ると怖いと言ってぐずるようになってしまった。

 そんな音彩をティリオさんに任せつつ、悪夢を見ないようにする薬を私とアインさんで共同制作。

 それを服用すると、夢をみずすやすや寝るようになった。


 そして七日目──


「梢!」


 クロウが私を呼ぶ。

 私はブラッドワインをがぶ飲みしてから、外に出る。


「来たぞ」

「神様、来たってよ」

『うむ、目視が漸くできた』


 会話をそれで終えて、スマホをアイテムボックスにしまう。


『夜の一族を庇護する森など穢れている! 燃え尽きよ!』


 ドラゴンが火球を吐き出す。


「させん」


 クロウはそう言って、強力な防御壁を作り、それによって攻撃が塞がれる。

 クロウがエンシェントドラゴンの姿になり、ドラゴンを森から引き離す。

 私はクロウにしがみつく。


『そんな馬鹿な! 神々の愛し子が吸血鬼だと⁈』

「うるせぇなぁ、単細胞。クロウと創造主様に謝れ」


 私はドラゴンの顔面に蹴りを食らわす。

 そして上から押しつぶすように蹴り続けると、火球が口内で暴発したのか、煙を吐いた。

 よろめくドラゴンをクロウはファイアブレスで燃やした。


 動かなくなるドラゴンに雷が直撃する。

 ドラゴンは光の粒になって消えた。


「これで、終わり?」

『うむ、終わりじゃ』

「終わりか、戻るぞ」

「うん」


 私はクロウに乗ったまま始祖の森へと戻った。

 その間なんかちょっと嫌な予感したけど、予感だけだからなぁ、明確な予感なら言えるんだけど。

 そして、クロウは小型化し、森の村に着地する。


 皆が出迎えてくれた。


「コズエ様! デミトリアス神様から神託があり無事で何よりです」


 ミカヤさんが祈るように私を見た。


「過去に多くの土地を燃やし尽くしたドラゴンが復活したからクロウ様とコズエ様が迎え撃ったと」

「あーうん」


 もう一体のエンシェントドラゴンだというのは内緒にしておこう。


「うむ、その通りだ。昔神が封印したのだが何者かによって封印が解かれた」

「そ、その者は?」

「神罰を受けて魂すら消滅している」

「そ、そうですか」


 ミカヤさん、ちょっと引いてるよ。

 そりゃそうだよね、魂すら消滅って言われてるんだもの。


「「「かーさま!」」」


 晃達が駆け寄ってくる、私は身をかがめる。

 そして抱きしめた。


「かーさま、ぶじでよかった!」

「ええ、無事よ」

「くろうおじちゃんありがとう!」

「たいしたことはしてないぞ」

「パパたちもしんぱいしてたんだよ!」

「まぁ」


「「コズエ‼」」

「コズエ様」


 遅れてアルトリウスさん達も来る。

 そして私を抱きしめる。


「無事で良かった……!」

「何かあったらどうしようとかと思いました……!」

「ご無事で何より……!」

「心配しすぎよ。でも、心配してくれてありがとう」


 そう言ってから私は深いため息をつく。


「あ゛ー疲れたわ」

「コズエ、今日のことは我らに任せてさっさと休め」

「え、クロウは大丈夫なの?」

「大丈夫だ、だからお前は休め」

「うん、分かった」


 私は自宅に向かい棺桶の中に入った。

 そしてすやすやと眠りに落ちた。





 夕方──

 次の日の夕方目を覚ました。


「ふぁああ……」

「かーさま!」


 音彩がふくれっつらで私の所にきた。


「ど、どうしたの?」

「ねいろ、あのおうじさまきらい! かいるおにちゃいじめるんだもん!」

「はい?」


 事情聴取をしたところ、音彩がカイルになつくのが許せなかったルキウス王子。

 決闘を申し込むが、カイル君がその気を出せば大怪我をしてしまうと考えず決闘をもうしこんで、木の棒で防御している所を叩いたら音彩が怒って「あなたきらい!」となったそうだ。


 ルキウス君、もう少し大人になろう。

 カイル君お疲れ様。


 と思いながら、音彩の恋模様は見ているが、晃と肇は見ていない。


 そのことをパパ二人──アルトリウスさんとアインさんに言うが、二人にはそんな影は見られないとのこと。


 ただ、女の子達の憧れではあるということは発覚しているらしい。

 はてさて、誰が晃と肇のハートを射貫くのか。


 音彩の恋模様はどうなることやら。


 気になることが多すぎる!







梢とクロウの共同での退治です。

珍しい組み合わせですが、相手が相手なので。

シルヴィーナだと、足手まといになりますし。


そして音彩の恋模様、どうやらカイルに軍配が上がってしまった様子。

ルキウスはよく考えず、カイルを一方的に敵視したのが敗因かと。

また晃と肇の恋模様は不明のようす。

多分、クロウあたりが知ってるんじゃないかと思うけど口止めされていると思います。


ここまで読んでくださりありがとうございます。

反応、感想、誤字脱字報告等、ありがとうございます。

次回も読んでくださるとうれしいです。

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― 新着の感想 ―
うーわ…。下級神またやらかしましたね。すっかりこいつらのこと忘れてたわぁ。もう、下級神はその役職を消して連帯責任で地位剥奪の上、過酷な環境のところに人間として堕としちゃえばいいんですよ!(激怒)しかし…
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