子ども達の思う事
梢はマルスとアンネの娘カーリャとマルスとマーガレッタの娘メルディを見て微笑ましい気持ちになる。
そこへ音彩がやってきて──
「わー! 可愛らしいですねー!」
マルス様とアンネさんとの娘、カーリャちゃん。
マルス様とマーガレッタさんとの娘、メルディちゃん。
友に2歳児。
「何歳ですか?」
「「にちゃい!」」
元気よく二本の指でピースするカーリャちゃんと、三本指立てちゃってるメルディちゃん、うーん可愛い。
「愛し子様、どうなさったのですか?」
「ん? いやぁ、私の子達にもこんな時期があったなぁって」
三年くらい前の話だけど。
「かーさま、どうしたの? あ、かわいいー!」
音彩が駆け寄ってきた。
「かわいいねぇ、かわいいねぇ」
「ちょ、ちょっと音彩」
「愛し子様の御子様なら構いませんよ」
「はい!」
カーリャちゃんと、メルディちゃんときゃっきゃと遊ぶ音彩。
楽しそうだから、お言葉に甘えよう。
あと……物陰からじっと見ているルキウス君に関しては何も言わないでおこう。
「かわいいねぇ、かわいいねぇ」
「えへへ!」
「きゃっきゃ!」
うーむ、和む空間だ。
あ、晃と肇が物陰に隠れているルキウス君に声をかけた。
「ねいろのことすきなの?」
「うん!」
「でも、ねいろ、きみのことにがてがってるよ」
「うん……」
「ねいろとなかよくしたいならもうちょっとくふうしたほうがいいよ」
「あそこまでねいろがいやがるの、ぼくらみたことない」
「うん」
と言った会話をしていた。
小声で。
音彩は器用に花冠を作ってカーリャちゃんとメルディちゃんに被せてる。
「おひめさまにははなかんむりがにあうの!」
「わぁい!」
「わぁ……!」
花冠を被っている二人は目をキラキラとさせている。
「音彩、誰に花冠の作り方を教えて貰ったの?」
「リサおばーちゃまから!」
「リサさんかー……」
パパ達は花冠を作るという考えはまずないだろう。
となると、村人の誰かからだと思っていたが、まさかリサさんだったとば。
さすが義母さん、孫は全員平等に愛してくれる、寛大。
「じょーず?」
「うん、とっても上手よ」
そう言って頭を撫でると音彩は満面の笑みを浮かべた。
そして、私に笑いかけたまま、もう一個花冠を取り出した。
「かーさまに!」
「いいの?」
「うん!」
私は身をかがめて、被せて貰う。
「わぁ、かーさますてき!」
「そう?」
少し気恥ずかしい。
「ねいろはね、おおきくなったらかーさまのてつだいをするのがゆめなの!」
「素敵な夢ですね」
「ええ!」
アンネさん達は微笑ましげに頷くが。
これはあくまで今の夢、大きくなったら変わるかもしれない。
その時、子離れできるだろうか。
そして反抗期になった時、私はそれを受け入れられるだろうか。
不安は尽きない。
「ね、ねいろさん!」
「……なぁに」
あ、ルキウス君に話しかけられたらものすっっっっっごい不機嫌になってる。
そんなにルキウス君が嫌いか、音彩。
「ど、どうかぼくのおよめさんに──」
「い・や!」
あ、ルキウス君、ガーンで擬音がつきそうなレベルでショックうけてるよ。
物陰で晃と肇が呆れてる。
どうやら、助言をいかせなかったようだ。
「音彩、そんなにルキウス君きらい?」
「まいかいまいかいけっこんしてっていわれたらいやになるの!」
ぷんすこと怒る音彩。
「にーに、だめー」
「だめー!」
カーリャちゃんとメルディちゃんがめっちゃ駄目だししてるぞ。
腹違いの兄貴に。
それで更にショック受けてるぞルキウス君。
で、見かねたマルス様が回収して行った。
親として見守っていたかったけど、これは不味いと思ったんだろうね。
「音彩はどんな人と結婚したい?」
「パパたちみたいなヒトたちとー!」
なるほど、パパにはどうあがいても勝てないぞ、ルキウス君。
惚気になるが、内の旦那達は凄いからなー色んな意味で!
懐広いし、顔はいいし、優しいし、それだけじゃなく──
って上げたらキリが無いな。
仕方ない。
「それは難易度が高いわね」
「うん! でもみつけるの!」
「ふふ、応援してるわ」
「わーい!」
抱きつく音彩を私は優しく抱きしめ返す。
物陰から晃と肇がやって来た。
「ぼくたちもぎゅーして?」
「ぎゅー!」
「はい、ぎゅー!」
子ども等全員を抱きしめる。
嬉しそうに抱きしめ返す子ども達が愛おしい。
「ぼく、おおきくなったらかーさまみたいなヒトとけっこんする!」
「ぼくも!」
「それは……さらに難易度が高いわね」
と、言葉を濁すしかできなかった。
私みたいなヒトはやめておいたほうがいいとはいえなかった。
それは子どもの夢を壊すことだ。
だから難しいといってお茶を濁すくらいしかできない。
「音彩は私達のような男性と結婚したいといっていたと?」
「うん」
子ども等がお昼寝ならぬ、夜寝をしている間にアルトリウスさん達と話し合う。
「それは難易度が高いでしょうね」
「だよねぇ」
「だが音彩はよりどりみどりだろう」
アルトリウスさんの言葉に、確かにと頷くべきか悩んだ。
「大人になったとき、美人なティリオに似てればよりどりみどりかなぁと」
「コズエ様、後で全員で褒めちぎりますからね」
ティリオさんが即座に言う。
「なんでぇ」
「コズエ、貴方はとても綺麗ですよ」
「えー……」
アインさんに言われるが納得できない。
「よし、子ども達が起きるまでコズエを褒めちぎるぞ」
「ええ」
「分かりました」
「ひぇええ……」
その後、アルトリウスさんの言葉通り三人に褒めちぎられ萎縮する私だった。
こればっかりは慣れない!
音彩、ちっちゃい子と交流する。
と言っても三歳しか違わないんですけどね。
梢も交流にほんわかしてます。
で、晃と肇はルキウスに色々と助言とダメだししたようですが、全くいかせなかったようです。
二人ともあきれています。
そして梢は音彩がティリオ似に育ったら美人だろうと思いますが、ティリオ達はそうではない様子。
ぶっちゃけると音彩は梢に似た女の子に育ちます。
お父様達ご満足です。晃と肇は自分の父親似に。
梢からすると男性陣全員美人美形だから、そっちに似て欲しいようですが、男性陣は梢がどんな女性よりも素敵なのです。
だから褒めちぎります。
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