ガネーシア王国の聖女と梢の子等
梢は何故ファルス達が狙われる事になったのか事情を聞くと。
色々な思惑が絡んでいた。
梢はその内容にげんなりしつつも、クロウの早期解決を待つのだったが──
「で、なんでファルスさんが追われているんですか?」
これがまだわかんなかったので聞いた所、フィリアちゃんを保護したのが原因らしい。
どうやら、それが有力貴族の孤児であるフィリアちゃんを虐待したのがフィリアちゃんの叔父夫婦らしく、その叔父夫婦と教会内のとある神官がつながっているのが発覚し、フィリアちゃんを保護した結果その神官と叔父夫婦の雇ったならず者達に命を狙われる羽目になり、ここは危険だと神に祈りながらここまで二人で逃げてきたそうだ。
うーん、なんか滅茶苦茶な構造。
取りあえず、ファルスさんを狙う奴らと、フィリアちゃんを狙う連中は森には絶対入れない!
決めた!
「クロウ、イザベラちゃん達だけでなく、ファルスさんとフィリアちゃんも守ってあげてね!」
「承知した、まぁ行く場所が増えたと思えば良いだろう」
行く場所が増えた?
「ガネーシア王国の国王と教皇に話しをつけてくる、明日」
「お願い」
二人が安全に戻れるように頑張らないと。
取りあえずフィリアちゃんは話せるようにしようね。
フィリアちゃんは私の治癒の魔法と、ジュースのお陰で喉は治った。
でも長い事喋ってなかったから上手くしゃべれないようだった。
こんな子に、酷い事を、叔父家族が許せない!
そう思いながら皆であれこれしゃべられるように、またはしゃべれなくても大丈夫なようにフィリアちゃんに色々と気を遣って貰って居る。
四歳になったうちの子達も、「フィリアちゃん、だいじょうぶ?」なんて声を掛けている。
随分できた子に育ったな、アルトリウスさん達の教育がいいからか、それとも神様の加護によるものなのか。
わからないが、取りあえず今のところは安心。
だが、反抗期が怖くて仕方ない。
こんな可愛い子達が反抗期になった時「うるせぇ婆」とか言うんじゃ無いかと気が気でない。
反抗期よ、どうか来ないでくれ。
「あーうー」
「フィリアちゃん、収穫手伝いしてくれて有り難う、必要な分持って行っていいよ」
「うー!」
畑仕事を嬉しそうに手伝ってくれるフィリアちゃん。
周囲には私程じゃないけど妖精と精霊がいる。
『聖女さまー』
『お手伝いいるー?』
害はなさそうなので放置。
フィリアちゃんとファルスさんは来賓の館で暮らしている。
どうやらクロウが「短期決戦で行く」と言って出掛けたらしい。
多分ガネーシア王国相当一部で問題あれこれで大変な事になってるだろうが知らない。
見過ごしていたのが悪い。
「フィリアちゃん美味しい」
「うー!」
「このリンゴジュースというものは美味しいですね」
「有り難うございます」
来賓の館にリンゴジュースを持って行き、二人に飲んで貰う。
「銀牛のミルクもあるので、あとで飲んでみてください」
「何から何まですみません、愛し子様」
「気にしないでください、私も好きでやっているので」
そう、好きでやっているのだ。
私のスローライフはこれまで通り続けていく。
「かーさま!」
「かあさま!」
「かーさま!」
家に入ると私に突撃する子ども達。
「肇に晃に、音彩、どうしたの? って泥だらけじゃない」
理由を聞こうとすると、子ども達は作物を抱えていた。
「しゅうかくしたの!」
「がんばったよ!」
「ほめてほめて!」
私はくすりと笑い、子ども達を抱きしめる。
「本当、有り難うね」
「えへへ」
「うん!」
「わぁい!」
それから一呼吸いれて。
「でも綺麗な服を泥だらけにしちゃうのはだめだよね? こんどから泥だらけになっていい服に着替えようね?」
「「「はぁい!」」」
子ども用のジャージ作らねばと決意した。
それから二日ご、クロウはファルスさんとフィリアちゃんを連れてガネーシア王国に居った。
大丈夫なのかなと、思ったらすぐ二人を連れて戻って来た。
「フィリアちゃん、お疲れ様」
「いとしごしゃま」
「!」
フィリアちゃんが、喋った。
「聖なる泉に住まう精霊と妖精の効果だ。まぁ梢にもできるだろうが、奴らの虐待の痕跡を見せる為にお前の手当は最小限にさせた」
「……」
何かいつもと違うなと思ったらそれが原因かよ。
「で、どうなった?」
「叔父家族とその神官は精霊と妖精、神々に呪われて牢獄行き、近いうちに処刑が確定されている。依頼を受けてファルス達の命を狙っていた者のも同様だ」
「うわぁ」
急展開というか展開が早すぎるというか、フィリアちゃん大丈夫かなぁ。
「フィリアは聖女の力を使いこなす為に始祖の森でしばらく保護し、ファルスも監督役として一緒にいるということになった」
「誰が教えるの」
「我以外に誰がいる」
「デスヨネー」
私の力は無自覚で使ってるらしいから教えるには向かない。
子ども等が大きくなったらクロウが教えるのかなぁ?
「ちょうどいい、お前の子ども達にも教えよう」
「え゛」
困惑する私を無視し、家まで行って、子ども達を抱えてフィリアちゃんとどこかへ行った。
「ちょちょちょ、クロウ!」
「梢様、ここはぐっと堪えてください」
「シルヴィーナ!」
「クロウ様は梢様の御子様達がうっかり力を暴発しかけたのを見たことがあるので此度良い機会だと」
「ええええええ⁈」
私そんなの知らないよ!
「私知らないよ!」
「クロウ様がそれを見た全員に時が来るまで口を閉ざすようにと」
「クロウー!」
余計私を不安にさせるな!
なんでこんなに不安にならなきゃならないんだ!
「ちなみに見てたのは⁈」
「吸血鬼とダンピールの御子様勢と保護者一部、それからアルトリウスさん達と私、クロウ様です!」
「アルトリウスさん達ー⁈」
ちょっとうちの旦那達なにしてんの⁈
やめてよね、こう言う隠し事は‼
心臓と胃に悪いから!
「あとで、問いただす」
「御手やわらかに……」
シルヴィーナがそういうけどできる気がしない。
だが、アルトリウスさん達三人が正座して土下座で謝罪してきた。
なので許すことにした。
本当止めてよね、私抜きで色々進めるのは……
と、心中でため息をついた。
梢の子ども達はしっかりしてますね。
ただ一回力を暴発させたことがあるのでクロウのお勉強が始まります。
梢は知らなかったので「教えなかったのマジ許さぬ」ってモードでしたが、夫達三人の土下座で溜飲を下げました。
クロウが梢に教えなかったのは、梢に余計な負担をかけたくなかったのが原因です。
まぁ、バレちゃったので意味は無いのですが。
あと、クロウはファルスとフィリアをぶっちゃけると森から帰すつもりはないです。
理由はいずれ。
ちなみに子ども達が暴発したのは一回同時にです、クロウに言われて以来使ってないのでお勉強で扱えるようになるでしょう。
梢は感覚派なので教えるのには向かないかと。
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