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情報収集と出産ラッシュ

梢はレイヴンに依頼していた普通の家畜が欲しいというラルグの要望を叶えられると思ったが、ラルグの資金では全て買えないとなり急遽自身がお金を払い家畜小屋を作る。


その後、レイヴンからこの森の自分の情報はどうなっているか尋ねる──





 クロウは風の精霊と妖精達を集めていた。

『帝国はどのような情報を持っている?』

『帝国の連中はねー始祖の森に愛し子がいるって情報しか持ってないのー』

『愛し子が吸血鬼って事を知らないのー』

『なるほど……一度は追い払ったが、何か対策を本格的に立てねばな』

『愛し子に今度なにかしたら許さないのー!』

『呪うのー! もっと呪うのー!』

『それが良かろう』


 クロウは精霊や妖精達に何かあったらすぐ連絡するように言って家へと戻っていった。

 小柄になり、扉を開け、寝そべる。


『やれやれ、帝国の連中は見飽きたわい』


 そう呟くと目を閉じた。





「ふぁーあ」

 私はちょっと早く目を覚ます。

「今日だっけ、行商来るの」

「牛と羊と鶏だよね、ラルグおじちゃんお金足りなさそうだからお金準備しないと」

 私は畑仕事とかをさっさと終え、村に向かった。

 行商さん──レイヴンさん達が来ていた。

「コズエ様、こんにちは」

「レイヴンさん、こんにちは! あれ、ラルグさんどうしたんですか?」

「いえ、村で牛と羊と鶏を飼おうと思ったのですが、少々金額が足らず……」

「じゃあ、私出しますよ」

「そ、そんなコズエ様に……!」

「その代わり、卵とか分けてくださいね」

「‼ 勿論です……‼」

 ラルグさんは私の手を握り涙を流した。

「では、牛二頭、羊二頭、鶏二羽、ご要望通り」

「有り難うございます」

「家畜小屋あった方がいいんじゃないですか」

「そうですなぁ……」

「じゃあ作りますね! 何処がいいですか」

「儂の家の近くで……」

「はい!」

 私は村の端のラルグさんの家の近くに家畜小屋を作った。

「レイヴンさん、家畜たちを運んでくれますか」

「はいはいー」

 エルフの方々が牛と羊を誘導し、鶏を運んでくれた。

「おお……」

「ラルグさん、困ったことがあったらいつでも相談くださいね」

「勿論です」

 感極まっているラルグさんをそっとしておき、私はレイヴンさんに耳打ちする。

「レイヴンさん、ちょっと良いですか」

「はい、良いですよ」


 先日の帝国の連中が来た事を話した。


「どこから情報が漏れたのでしょうか?」

「今はこの国では愛し子は始祖の森にいる、とだけの情報になっています」

「吸血鬼って部分消えたん?」

「どうやら、イブリス神、ネロ神、デミトリアス神の加護を受けた愛し子の証が王家に収められたらしく吸血鬼というのは出なくなったそうです」

「まぁ、吸血鬼が太陽神の加護受けるなんてありえねーですしね」

「それをやってるコズエ様が凄いのですが」

「あるぇー?」

 すっとぼけておく。

「さて、ユグドラシルの葉っぱは……」

「ここにありますよー」

 と一袋出す。

「有り難うございます、白金貨100枚で」

「どもー、でワイン一式」

「種類が増えましたね、160白金貨でどうでしょう」

「おけおけ」

 大金持ちだが、散財する予定は今のところ作物や畜産関係以外ではない。

 後──お守りのアクセサリー作り!

「アクセサリーの為の宝石とか見せてくださーい!」

「勿論ですよ」





 嬉々として購入する姿に、宝石と鉱石を販売しているエルフは苦笑していた。





「では、今日も泊まってから明日帰りますね」

「はーい!」

 戦利品は全てアイテムボックスに入れて保管した。

 そして、夜やるべきことをやって朝方眠りに落ちた。





「あれ? 何でまだ居るんですか?」

 夕方に起きて村にいったらまだレイヴンさん達がいた。

 何かしているようだ。

「実は馬車の車輪が壊れてしまって、その修理が終わるまで居て良いですか?」

「構いませんよ」

「有り難うございます」

 私は住処の方に戻り、仕事をこなした。


 子ども達が途中でやって来て果物やとれるサイズの野菜を収穫してくれたが、暗くなってしまうとできなくなる。


 獣人族の子は「夜目が効くから大丈夫」と言っていたが、人間の子はそうはいかない。

 ので──


「おーらよ!」


 夜だけ付く街灯? ライト?

 まぁどっちでもいいやそれをつけてみました。

「村人増えないかなぁ、増えなくてもいいけど」

 と呟いていると──


「愛し子様ー!」

「ルフェン君どうしたの⁈」

「母さんが産気づいて‼」

「え、妊娠してたの、マジ⁈」

 私はルフェン君に案内された。

「えーっと確か産湯が必要なはず!」

 産湯入りのたらいを出す。

「あんれま愛し子様、産婆の知識があるのけ?」

「うろ覚えです!」

 えばれることじゃない。

「産婆のばーさん、うちのかみさんも陣痛が始まった!」

「ええええ!」

「うちのもだ!」

「……獣人は春に出産が多いのですよ」

 手伝っているシルヴィーナが言う。

「な、なるほど! 頑張って 足手まといにならないぞー!」

 そう叫びながら産湯を配る。

 三軒の家が出産だった。

 人間家族元いラカン君とフィネちゃんの家はまだ妊娠中らしい、良かった。


 出産ラッシュが終わり、全力で疲弊した私は家に帰って風呂にも入らず棺桶に顔面からつっこみ、泥のように眠った。





「いやぁ、助かっただ。出産がこんなにも重なるのは珍しいでよ」

 産婆のお祖母ちゃん、元いラルグさんの奥さんはそう言った。

「妻の仕事を手伝ってくださり、ありがとうございます」

 ラルグさんは頭を下げた。

「いえいえ、私達はやれることをやっただけです」

 シルヴィーナさんはそう言った。

「ええ、その通りです」

 レイヴンさんもそう言った。

「ところで、愛し子様」

「はい?」

「いい人はおりませんだか?」

「ぶっふ」

 直球に聞かれて吹き出す。

「居ないですよ、私みたいな奴」

「愛し子様なら選び放題なのだとおもうのですだなぁ……」

「ほっといてくだされ」

 彼氏いない歴=年齢の私には辛いのじゃ。

 あっちだと男運悪かったし。

 いや、引っかかるじゃなくていじられたり、いじめられたりで関わりたくなかった。

 女子も女子で関わりたくなかったが。

 今はともかく、あの世界ではつくづく生きるのに向いてなかったな私。


 と、一人ため息をついた──







家畜を飼育できてラルグは喜んでおります。梢にも感謝しています。


それと、梢は自分の事がどうもれているか不安で仕方ないようです。


そして獣人組の出産ラッシュ。梢てんてこ舞いです。

その上産婆であるラルグの奥さんからいい人いないのかと言われる、梢の自己肯定感の低さの表れです。

気づいてないんですよ。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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