フルーツゼリーを皆で
ティリオと梢が話をした翌日クロウが帰って来た、
ムーラン王国であった事件の首謀者達を探して派閥を全滅させて、処分してきたというクロウ。
梢は今までの経験から処分内容は聞かなかった。
帰って来たクロウは甘い物をねだり、梢は──
ティリオさんとお話とかした翌日の夕方クロウが帰って来た。
「帰ったぞ」
「誰が犯人だった?」
「料理長だ」
「え⁈」
「国外の王族と結婚するのに反対する派閥があってな、死なない程度の毒を盛れば料理中に入れたと考えず、片方が毒を盛ったと思うだろうと思って持ったそうだ」
「馬鹿じゃない」
思わず言った。
「馬鹿だな」
「料理長って事は協力者がいたんでしょう? 使った毒は特定毒だから」
「ティリオから聞いたな、まぁその通りだ。王子の従者の一人と、イザベラにつけられた侍女の一人だ」
「……クロウがここまで時間かかったってことはその派閥全滅?」
「ほう、読みが早くなったな。その通りだ」
「だてにクロウと10年近く一緒にいたわけじゃないよ」
「そうだな」
「そしてどんな方法で処分になったかは聞かない!」
「うむ、それが良い」
クロウも言わないし、聞かないのが正解なのは重々承知。
「何か甘い物が欲しい、作れ」
「フルーツゼリーでいい?」
「構わん」
私は家に戻り台所でシロップで甘く煮たフルーツ類をボウルに移した。
ボウル一杯になったフルーツに少し甘くしたゼラチン液を流し込む。
ちょっと固めに。
そして時間経過用の冷蔵庫で冷やし、時間経過の魔法で固まらせる。
ボウルで蓋をしたまま、クロウの家に持って行く。
「おお、それか」
「はい、フルーツゼリーです、どうぞ!」
ぶるんとフルーツぎっしりのゼリーが皿の上に鎮座している。
スプーンを既に持っていたクロウは冷えているそれを食べる。
「うむ、美味い!」
「ならよかったよ、じゃあ」
そう言ってクロウの家を出る。
「かーしゃま」
「かしゃま」
「かーしゃま」
私の三つ子ちゃん達がいつの間にか足元にいた。
私は屈み、目線を合わせる。
「どうしたのー?」
「くろおじちゃのやつ、たべたい!」
「たべたい!」
「ちょーだい!」
作ってたのをみられていたか、仕方ない。
「いいよ、ただし。お父さん達も呼んでおいで」
「うん!」
「わかた!」
「うん!」
子ども達はピコピコと靴を慣らしながら自分の父親の元に行った。
その間に私は猛ダッシュで家に戻り、同じようにフルーツゼリーを作る。
少々疲れたが、子ども達の為ならば仕方あるまい。
フルーツゼリーがボウルで隠れた状態で冷蔵庫に入れておく。
時間経過の魔法で固まらせてもいる。
「とーしゃま、はやく!」
「はやく!」
「く!」
音彩、もはやそれでは単語にすらなっていないよ。
「どうしたのだ晃」
「どうしたんです、肇」
「説明を音彩」
ちょっと困惑君のパパ達だったが、私がテーブルに、フルーツゼリーをどんと置くと理解したようだった。
「これが食べたかったのか」
「うん!」
「食いしん坊ですね」
「おいちそうなの!」
「音彩は、ちゃんと説明を」
「えへへ」
「皆の分を取り分けるから、座って座ってー」
そう言ってゼリーを崩し取り分ける。
各自スプーンで取り分けられたゼリーを食べる。
勿論余っている。
「おいちー!」
「おいしい!」
「おいち!」
晃達はそう言ってほっぺたを押さえる。
可愛いなぁ。
「「「おかわり!」」」
「はい」
子ども達におかわりをよそう。
既に夕食は食べ終わって時間が立っているし大丈夫だろう。
「おなかいぱい……」
「あしたもたべたい……」
「うん……!」
この食いしん坊さんたちめ。
可愛いんだから。
「うん、また明日ね」
「では、私達はこの辺で」
「ええ」
「お休みなさい、アインさん、ティリオさん」
「お休みなさい、コズエ」
「お休みなさい、コズエ様」
夜も遅いので、アインさんとティリオさんは先に寝て貰う。
アルトリウスさんに晃達を頼んで公園に行って貰う。
公園には今の時間帯吸血鬼やダンピールな子達が遊んでいるからだ。
「ふぅ」
私は一息ついて、織姫の所へ行く。
織姫は夜遅くなのに起きて服を作っていた。
「織姫、寝ていいんだよ」
そう言うと織姫は私に三着の服を渡した。
二着は男の子向けのデザイン。
一着は女の子向けのデザイン。
「もしかして、うちの子の?」
織姫は頷いた。
「ごめんね気遣ってくれて、私何にも返せてない」
そう言うと織姫は首を横に振り、手も振った。
「でも……」
織姫は食地場に置かれている私が作った作物を指さした。
「私の作った作物、美味しいの?」
織姫は頷いた。
「そっか、じゃあこれからも美味しい作物を作らないとね!」
そう言うと、織姫は満足そうに頷いた。
夜が更ける頃、アルトリウスさんが晃達を抱っこして帰って来た。
三人とも夢の中。
私は音彩を受け取り、抱っこして寝室に向かう。
今は三人とも、体に見合わない位広い棺桶ベッドに寝ている。
三人をふかふかの棺桶ベッドに寝かせて、蓋を閉める。
「じゃあ、私達も……」
「お休み、コズエ」
「お休みなさい、アルトリウスさん」
そう言って棺桶に入り、眠りに落ちた──
一応派閥の者は処分できた様子、しかし本当に解決できたのかは不明。
これで終わったとはクロウ言ってませんからね。
それはそれとしてクロウが頼んだフルーツゼリーをねだる子ども達。
この子達も食いしん坊ですね。
多分、食べてる量も親達より覆いと思います、子どもってある意味そういう所ないですかね?
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